プロレス技列伝

2006/04/12

佐野巧真のソバット

「プロレスの技  ローリングソバット」と言う検索が。

ローリングソバットと言えば、タイガーマスクが広めた技ですが。とーちゃんが子供がプロレス見るの嫌がってたから、初代タイガー、あんまり見てないんだよね……。

ローリングソバットを使う人は、ジュニアの選手にたくさんいるけど、誰か1人図抜けた使い手と言っても、思いつかないなあ……。

自分的に一番にパッと連想したのは、NOAHの佐野巧真選手の強烈なソバット。

厳密にはローリングソバットと呼ばれるのは、ジャンプしてくるりと回り、胸板や顔面を狙う後ろ回し蹴り。佐野さんのは飛ばずに土手っ腹を狙う、ソバット。こいつをプロレス技列伝二桁突入の10発目に。

佐野さんのソバット、とにかく的確で、強烈です。

佐野さんは元はジュニア戦士でしたが、NOAHに入団してから体重を増やして、ヘビー級に。その際、むやみにぶくぶく太るんじゃなくて、じっくり肉体改造して、技のキレをそのままに、動ける状態で階級を上げた。

そのため、ソバットの威力が大幅アップ。技を繰り出す際のバランスを失うことなく、回転スピードも落ちず、増えたウェイトがばっちり乗って。

あと特に、繰り出す時の間合いやタイミングが絶妙です。回転するから一瞬目線が切れるんですが、それでもいつもジャストミート。ばちーんとみぞおちをカチ上げる。

攻め込んでいる相手も、こいつを一発食らうと、動きがぴたりと止まってしまう、非常に頼れる技となりました。

佐野さんのソバットで印象的なのは、こいつが出るとお客さんから、「あああ…」とか「うわあ…」とか、ため息ともつかない声がいっせいに漏れることです。

みんなが痛みを疑似体験(笑)。

見ているみんながみんな、格闘技経験があって、技の痛みをリアルに想像できるわけではありません。だから、見ただけで痛そう、と言うのは、プロの技としては、とても大切。

見てるだけで、胃の辺りがむずむずしちゃうもんね(笑)。

佐野さんのソバットは、威力、使い勝手、そしてお客さんへの訴求力と、三拍子揃った素晴らしいプロの技と言えるでしょう。

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2006/03/21

獣神サンダーライガーの垂直落下ブレーンバスター

この間ブレーンバスターに触れたので、「プロレス技列伝」9発目は、獣神サンダーライガーの垂直落下ブレーンバスター。

この間も触れましたが、オイラがプロレス見始めたときには、すでにブレーンバスターは、必殺技じゃなくて、つなぎ技になっていて。

「脳天砕き」のはずなのに、背中から落としているのはなぜだろう? という状態でした。

アメリカの放送見てると、ブレーンバスターではなく、バーティカルスープレックスと呼んでるときがあって、そっちの方が正確な表現ですね。

そんなブレーンバスターにフィニッシュホールドの地位を取り戻させたのが、獣神サンダーライガー選手だった……と思うんだけど、川田選手とどっちが先だったっけ?(←うろ覚え)

真っ逆さまに持ち上げて、真っ直ぐ落とす。そうそう、それこそ脳天砕きですよ! ……なんて余裕はなく。初めて見たときには背筋が凍る思いがしました。……死ぬ?

そんな垂直落下ブレーンバスターは威力も絶大で、現在ではいろいろな選手がフィニッシュホールドに使っていますが。ライガー選手のブレーンバスターが素敵だ、と思うわけは。

ギリギリのところで、相手をコントロールしているから。

真っ直ぐ落としているんだけど、すんでの所で首をホールドした腕をぐっと絞めて、きっちり相手を倒している。落ちて倒れるところまで、ちゃんとコントロール出来ていて、危ない技なのに、見ていて、なんかきれいに見える。

ライガー選手は、「プロレスは芸術だ」と言ってます。あれだけ危ない事をして、それでもあんまり怪我しない。それはプロフェッショナルとして、ギリギリの線で闘っているから。まさに芸術的な技術が、それを支えている。

ライガー選手はさらに、雪崩式垂直落下ブレーンバスターという、二階から真っ逆さまに落ちたら普通死ぬじゃろ! というような、すんごい技も使います。受けて生きてるレスラーも凄いです。

過激の一途をたどるプロレスで、それを支えるプロフェッショナルな技術と心意気。ほんと、凄いなと思うのです。

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2006/03/02

大谷晋二郎のスワンダイブ・ミサイルキック

プロレス見ている時、ふと思ったのです。一番のドロップキックは、誰のだろう。

ドロップキックはプロレスの華です。と言うか、ドロップキックがあったらプロレスで、なかったら格闘技、と言ってもいいぐらいです。そんなドロップキックの一番の使い手は……?

という事でプロレス技列伝8発目は、ZERO-ONE MAX大谷晋二郎選手の、スワンダイブ式ミサイルキック。

ドロップキックと一口に言っても、いろんなバリエーションがあります。その中で、コーナー上やローブ上から飛ぶのを、ミサイルキックと呼ぶことが多いようです。

大谷選手のスワンダイブ式というのは、エプロンからぴょんとロープに飛び乗って、そこから撃つやり方。

何で大谷選手のミサイルキックを一番手に押したかと言うと、本人が「決める気で撃つ」と言ってた上、その発言にたがわぬ破壊力だからです。

昔の大技や必殺技が、今じゃすっかりつなぎ技、というケースはよくあります。これにはいろいろ原因が考えられるんですが。

一つには使う側の気持ち次第、という部分も考えられるのです。

例えば。ハーリー・レイスのブレーンバスター。ブレーンバスターといえば、プロレスのつなぎ技の定番ですが、それがフィニッシュってどういう事? と思って昔の映像見たら。

垂直落下式でした……。あれで昔のマットは状態悪くて、明らかに硬そうだもの、そりゃ決まるわな。大体ブレーンバスターなのに背中から落ちてるから、おかしいとは思ってたんですよ。元祖はまさに脳天破壊(笑)。

垂直落下式のブレーンバスターは、今はフィニッシュ技として復権しています。他にはビル・ロビンソンのバックブリーカーとかね。すんごい勢いでぶっこ抜いて、思い切った高さから。

というように、同じ技でも使う人の技量と気持ち次第で、つなぎになったり決め技になったりすることがある、という事で。

そこで大谷選手です。決める気で撃つ、と言ってるように、フラフラになってる相手の背後から、ぶち抜く勢いの渾身の一撃です。ありゃ交通事故です。鞭打ちになりそう(笑)。

実際にそれでフィニッシュ取れることは、そうはないのですが、本人その気なのが大事。

プロレスも長く見てると、試合の流れが分かるようになっちゃって、カバーに行っても「まあ、まだ決まらんじゃろ」と、ちょっと余裕が。(実際、フォルス・カバーというらしいです)

でもそれだと盛り上がれないから、やっぱりハラハラして見ていたい。そんな時、「間違ったら決まっちゃうんじゃないの?」と感じさせてくれるのは、かなり重要。

その点、大谷選手のミサイルキックは、こっちのボルテージを上げてくれる。そこで一番に押すわけで。

そういう気持ちのこもった技を持ってる選手は、いいですよね。

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2006/02/16

永源遥のつば吐き

プロレス技列伝7発目。ラッキーナンバー7番をゲットしたのは、NOAHの営業部長、永源遥選手のつば吐きです。

「おいおい、つば吐きって、もうネタ切れ?」と思われたのなら、違います!!(←力説)

永源さんの楽しいプロレスは、いつも楽しみなのです。絶対前座からちゃんと見るもんね!

そんな永源さんが、還暦迎えたのを機に、来月引退……そんなわけで、現役のうちにここに書きとめておかなくちゃ、と思った次第なのです。

プロレス史を紐解くと、当然ながら永源さん、昔からあのスタイルだったわけではありません。アントニオ猪木がパキスタンに遠征、現地の英雄とシュートマッチになって腕をへし折った、という伝説の試合では、セミを任されています。

でも、オイラが見たときには、もうああなってた(笑)。引退の報道で「つば吐き18年」となってたから、ちょうどオイラのプロレス熱が燃え上がり、生で見に行くようになった頃と重なります。

つまり、オイラのプロレス観戦史は、永源さんのつば吐きと共にあったという事で(笑)。

プロレス見に行って思ったんだけど、「楽しいプロレス」というのは重要です。全部真面目だと、見てて疲れちゃう。しかも、真面目な試合って、たくさん並ぶと埋もれちゃって、後で意外に覚えてない。

昔の全日では、だいたい休憩前に、「ファミリー軍団vs悪役商会」という楽しいカードがラインナップされていて、そこで一つアクセントがついてた。そこで永源さんは活躍していたのです。

NOAHになってからは、だいたい第一試合で、お客さんを暖める役割。一回笑うと、なんか騒ぎやすくなるんですよね(笑)。

永源さんの試合は、なんというのでしょう、もう試合じゃないと言うか。あれは落語とかそんなものに似た、エンターテイメント。みんな定番の動きと分かっているのに、それを楽しみに見ている。

ロープ際の攻防になったら、来るぞくるぞと、お客さんの間に予感が高まります。下から足を引っ張られたりして、永源さんが落っこちたら、つば吐きタイム。常連さんは、それ用に持ってきた新聞紙を、そそくさと用意(笑)。

毎回毎回、おんなじように試合が進んでるんだけど(笑)、でも微妙にタイミングをずらしたりするのが職人芸。予想外のタイミングでつばが飛び出たり、逆にじらしにじらされて右往左往したり、お客さん大喜び。

予想外、という点でのクライマックスは、GHCハードコアに挑戦した時の一撃でしょう。試合終盤、もう誰もが忘れていた時、チョップを食らって吐いたつばが、至近距離から丸藤選手に直撃。完全に虚をつかれた丸藤選手に、直後の丸め込み。あれ決まってたら、ほんとに伝説でした(笑)。

後にも先にも、人につば吐いて喜ばれるのは、永源さんぐらいだろうなー。

あれがもう見れなくなっちゃうのか……。寂しいですね。

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2006/02/08

藤原喜明の腹固め

関節技フィーバーがまだ続いています。

どうしてだろうと辿ってみたところ、Yahoo!の検索で上の方に出ていることを知りました。ちなみにGoogleでは普通に埋もれています。この辺の仕組みって、どうなってるんでしょうね?

自分の下に、もっとちゃんと、熱心に解説してあるサイトさんがあって、何か申し訳なくなりました(笑)。

という事で、も一個関節技で書こうかな、と思い立ち、今回取り上げるのは。「プロレス技列伝」6発目。藤原喜明の腹固め。

そういえば、厳密に言ったら、前回の肩固めは締め技で、関節技ではないことに気付いたけど、別にいいですよね、そんな真面目なサイトじゃないし(笑)。

さて、こいつも試しました。乱捕り中に。

そして失敗しました(笑)。

腹固めというのは、足でかける腕十字と言うか。タックルに来た相手を捌く時、サイドに回りながら相手の腕に足を絡めて、潰します。

腹ばいになった相手の上に、自分も腹ばいでのしかかっている状態。このとき自分は90度回っていて、足で相手の腕をがっちりホールドしている。

で、腕ひしぎ逆十字と同じ理屈、下腹部を支点にして相手の肘関節を伸ばす……はずなのですが。

たまたま、タックル切った時にうまい具合に引っかかったのです。まぐれだけど(笑)。この時オイラのプロレスに侵されている脳裏に、閃きました。この体勢は腹固めだ! と。

大失敗(笑)。

これは難しい。だって見えないんだもん。腕を使って掛ける技は、基本的に目の前でやってるから、自分と相手の体勢がどうなってるか分かるけど、腹ばいになった足の方は、全然見えない。

手探りならぬ、足探り状態(笑)。これはよっぽど練習して、感覚が身に染み付いてないと、ムリでした。

その点、藤原組長の腹固めは。

プロのタックル、という時点で、電光石火なのに、それを潰す反応の速さ。しかもさらりと足を絡めて。

なんか相手が飛び込んだような? と思った時には、腹固めが極まってる。スローで見ないと、何が起きてるのか、よく分からない。身に染み付いた、磨き込まれた技。

多聞さんの肩固めや、他のプロレス技はたいていそうですが、お客さんに分かりやすいように、いろいろ工夫を凝らしてるものですが、そういう要素は全然ない。

ただただ、速さと正確さで、凄みを感じさせる。まさに職人芸。芸術品です。

脇固めもきれいなんだよねー。そんな藤原組長は、プロレス界の人間国宝だと思います。

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2006/02/03

本田多聞の回転地獄五輪

「関節技 やり方」という検索が頻繁にかかってます。先週は、42件もかかってました。巷で流行ってるんでしょうか、関節技?

というわけで、じゃあ関節技で行こうかな、と思った「プロレス技列伝」5発目。NOAH本田多聞選手の回転地獄五輪。

この技問題があるんですけど(笑)。回転地獄五輪パートいくつ、というふうにバリエーションがたくさんあるんですが、形がばらばら。丸め込みもあるし、関節技もあるし、とにかく多聞さんがくるくる回って極めると回転地獄五輪になる模様(笑)。

というわけで、一番多用されてる、くるりと回って肩固め、について書きます。パートいくつだっけ、あれ……?

テクニシャンが好きなのです。多聞さんはもちろん大好きなレスラー。一生懸命応援しすぎて、いつの間にか肩固めを習得してしまうぐらい(笑)。

「門前の小僧、習わぬ経を読む」という言葉がありますが、この場合小僧はオイラ。ある日合気道の乱捕り稽古の最中。

寝技に持ち込んで、最初首抱え締め、柔道で言うところの袈裟固めから首を極める技を狙ってたんですが。当然相手も有段者、素早く察知して防御の姿勢。下から腕を突っ張って、締めさせない。

普通はそこでその腕を、外に払う払わないの攻防になるんですが、とっさに。逆に内側に押し込んで、素早くポジションチェンジ。

相手の上腕を自分の首で顔の方に押し込み、両手でがっちり首を抱える。体重をかけて、押し込んだ相手の腕と自分の腕で、頚動脈を締め付ける。これが肩固め。

これが流れるようにすっぱり極まって、相手はギブアップ。

ちなみに合気道の技ではありません。プロレスで幾度となく眺めているうちに、自然に身についてました。いやー、見とくもんだな、と(笑)。

多聞さんの場合は、この肩固めにさらに工夫を凝らして、まずスタンディングの状態で極め、そこから巻き込んで投げて寝技に持ち込む。この時の一連の動きに無駄がなくて、磨きこまれた美しさ。うっとり。

巻き投げの時に緩んじゃって、下でもう一度締めなおしてたりすると、もうガッカリなんですけど、そんなことは一切なく。くるりと投げて、ぎゃっと締め。相手はたまらずギブアップ。かっこいいー!!

プロレスの関節技って、単に極まってるだけだと、駄目なのです。勝つだけだと、アマチュアだから。魅せて勝たないとプロじゃないから。

だから、入り方に工夫を凝らしたり、磨きこんで美しさを感じるレベルまで行かないと、特にフィニッシュホールドには使えない。極まってるかどうかって、正直体験者じゃないと分かんないしね。

多聞さんの技は、その点最上級です。極めて魅せて勝てる技。

ただ唯一の弱点は、どれがパートいくつだか、覚えられないこと(笑)。

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2006/01/19

武藤敬司のシャイニング・ウィザード

「プロレス技列伝」4発目は、前回小島選手の項で触れた、「華」という単語をキーワードに。華があると言えばこの人でしょう、全日本プロレスの武藤敬司選手。その必殺技が「シャイニング・ウィザード」

相手が片膝立ちになった所を狙って、その足を踏み台にして膝を頭部に叩き込む技ですが。

何が凄いって武藤選手、プロレス界のトレンドリーダーです。この人の必殺技は必ず流行る。

若い時のムーンサルトプレスは、今や飛び技の代名詞的存在で、その次のフィニッシュホールド、ドラゴンスクリューからの足四の字も大流行。昔は蹴り足取ったら、「軸足刈って倒してエルボー」辺りが普通でしたが、今や猫も杓子もドラゴンスクリューです。

そしてこのシャイニング・ウィザードも言うに及ばず。いろんなところで見かけますね。

でも、これは技自体の威力とか使い勝手とか、そういうものじゃないと思いますね。思わず使いたくさせてしまう、武藤選手の華なのだと思います。だってドラゴンスクリュー開発したの、武藤選手じゃなくて藤波選手だもん。忘れられてた技だったのに。

だから今回スポットライトを当てるのは、シャイニング・ウィザード本体よりも、むしろその前。シャイニング・ウィザードに行くぞ行くぞと構えてる、武藤選手のたたずまい。

中腰半身で相手を覗き込んで、両腕開いてバランス取ってるあのポーズ。正直ポーズとしては、むしろかっこ悪いのではないかと思うのですが。武藤選手がやると、なぜかかっこいい。

こういう本人の持ってる華と言うか色気と言うか味わいと言うか。そういう物がプロレスの技には大切。手順とその行為による結果だけでは、完成された技とは呼べないのです。

この人が使うからこそ、というところまで磨きこんで、初めて完成。そういう技を持っている人を、一流レスラーと呼ぶのだと思います。

そんな技をいくつも持ってる武藤選手は、まさに超一流ですね。

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2006/01/05

小島聡のいっちゃうぞエルボー

久方ぶりにして、今年最初の「プロレス技列伝」。三発目は、全日本プロレスの三冠王者、昨年のMVP、小島聡選手の登場。

小島選手は前回登場のスタン・ハンセン選手から、直々にラリアットのコツを伝授された、言わば正統伝承者です。

ですが、これも書いたとおり、ハンセン選手のウエスタンラリアット以上に思い入れているラリアットはないので、ここでは別の技を。小島選手の試合でほぼ必ず見られる定番ムーブ、「いっちゃうぞエルボー」

相手をコーナーに振って、ドーンとエルボー、首根っこ掴んで引きずり倒す。ここでお客さんに向かって、「いっちゃうぞ、バカヤロー!!」とシャウト(お客さんも大合唱)。で、コーナーに登ってダイビングエルボー、という一連の流れ。

こういうお客さんが盛り上がれる定番ムーブの存在は、プロレス独自の華の部分ですね。

ですが、こういうアピール性の強い動きは、諸刃の剣でもあります。実際昔々オイラがプロレス見始めた頃は、ジャンボ鶴田選手の「おー!!」というアピールに、「そんなことしてる暇があるなら攻撃しろー!!」と地団駄踏んでいたものです。

ですが、ないとやっぱり、寂しいんですよね(笑)。

プロレスはホントに独特だなーと思うのは。他のスポーツ、例えばプロ野球と草野球では、競技レベルは違えどやることは同じです。それに対してプロレスとアマレスではまったく別物。最初はもともと単にレスリングの興行だったはずの物が、長い年月の間に進化を遂げて、こんなになっちゃった。

そこが見ていて楽しいんだけど、やってるプロレスラーの人は大変です。華やかな軽業やパフォーマンスでアピールするだけでは駄目、かと言って単に強いだけでも駄目。かっこよくて強い、という微妙なバランスを取らないといけない。

そんなジレンマがこの技にもありました。小島選手が三冠タイトルを取る前、武藤選手やら川田選手やらに散々叩かれていた時のこと。この技が槍玉に上がっていて。

特に武藤選手なんかは「意地でも食わねー!!」とばかりに、徹底してこの技を封じにかかっていた。技が決まらなくて、悩みに悩む小島選手。

しかし、そこを突き抜けることによって、この技は進化を遂げ、小島選手も三冠奪取となったのです! わー、ぱちぱち。

進化を遂げた「いっちゃうぞエルボー」は、相手を引きずり倒した後、まだ弱ってないと見るやストンピング等で追い討ちをかけたり、ダイビングエルボーへ行くと見せかけて他の技へ行ったりと、バリエーションが豊富に。

その辺の駆け引きが、緊張感を生んで、見てて楽しい。ちゃんと最後まで見れた時にお得感もあるし(笑)。

こういう華のある技が見れるのが、プロレスの好きなとこなのです。

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2005/11/16

スタン・ハンセンのラリアット

「プロレス技列伝」二発目は、前回を受けてスタン・ハンセンのウエスタンラリアット。

「不沈艦」と評された、スタン・ハンセンの恐怖のフィニッシュホールドがこれ。ハンセンさんはテキサスからやって来た荒くれカウボーイ、というキャラだったので「西部の投げなわ」という技名。

確か、大きな牛を引っ掛けてなぎ倒す投げなわの妙を見てヒントを得て開発、みたいな伝説だったはず(うろ覚え)。さらにこの技で、WWWF王者「人間発電所」ブルーノ・サンマルチノの首を折ったという伝説も。

実際には、元プロフットボーラーだったので、得意だったタックルを応用。昔は首引っ掛けてなぎ倒しても、反則じゃなかったんだそうな。相手の首を痛めたのも、ボディスラムのすっぽ抜けで、ラリアットではなかったと自伝にありました。

でも、恐怖の技だったのは本当です。だってオイラの応援しているレスラーが、こいつの前に何度涙を飲んだことか。

相手が弱ってきた頃、左腕を高く掲げ、サポーターを直す仕草をしたら、ラリアットタイムの始まり。そこからロープに振って、カウンターでなぎ倒すのが、正調ウエスタンラリアット。ですが、怖かったのはこいつより。

それを何とかかわしても、そこからはラリアットタイム継続中なわけですよ。助走なしでいきなり居合い抜きのラリアットが爆発することがあって、とにかくそいつが怖かった。頑張って反撃して押し込んでいても、ドガーンと一発で轟沈。

とにかく体重の乗り方が抜群でした。全エネルギーが左腕に集中って感じで。シンプルな技ですが、だからこそ、体の使い方とかそういうとこで差がつく。そこにある種の美しさを感じてしまうのです。

さらにラリアットには特別な思い入れが。

外国人ヒールとして全日で活躍していたハンセンさん。ですがだんだん年取ってピークを過ぎて。「不沈艦」が沈んだとか言われちゃう始末。

そしたらだんだんオイラの中で、ベビーフェイスのポジションに。衰えは隠せなくても、スタン・ハンセンであり続けようとするその姿。それに物凄く感情移入。そんなファンの人は多かったはず。

本人はインタビューで、「オレはヒール」と言い続けていましたが、明らかに会場人気は大ベビーフェイス。馬場&ハンセン組とか、燃えたなあ。

そんなオイラの心のよりどころが、ラリアットでした。「大丈夫だ、まだラリアットの威力はそんなに落ちてない。あれが決まれば勝てるはず!!」 ずっと恐怖の対象だったフィニッシュホールドが、今や一番頼れる技に。

ラリアット使いの人は今やたくさんいますけど、あれだけの思い入れをもって見れるラリアットは無いなあ。

ウエスタンラリアット、フォーエバー。

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2005/10/19

三沢光晴のエルボー

次のG+のNOAH生中継が22(土)。ちょっと空くので、予告通りやります、不定期企画「プロレス技列伝」一発目。まずは好み丸出しで、三沢さんのエルボーから。

誰の何から書こうかと思ったけど、やっぱり三沢さんから始めないと! 代名詞はなんと言っても強烈なエルボーバット。

僕ぐらいの年齢の人間だと、プロレスの洗礼はタイガーマスクに受けるのが普通なんですが。うちでは見せてもらえませんでした。子供にプロレスを見せるのは好ましくないと思っていたようで。

だもんだから、最初三沢タイガーが二代目だという事もよく分からず、「なんか強いはずなのにいまいち弱いな、タイガーマスク」と思ってたぐらい(笑)。

そんなオイラがなんとなく見ていたプロレスにのめり込むのが、三沢さんがマスクを脱いで、超世代軍を結成し、トップどころをばったばったと倒していった時。その時に武器になったのがエルボーとフェイスロック。

タイガーマスクの頃、ヘビー級に転向した三沢さんでしたが、当時の全日はとにかくでかい選手が揃ってた。190cm台がぞろぞろと。となるとどうしても体力的に不利だよなー、と見ていたら。

マスクを脱ぐ前は、今の横殴り式のエルボーじゃなくて、カチ上げ式のエルボースマッシュを主に使ってたと思うんですが。使い始めたこの横殴り式のエルボーバットが、とにかく強烈。体力差をひっくり返すぐらい。

こうして自分よりでかい大男をばったばったと殴り倒す三沢さんに、熱狂していったのです。すなわちこのエルボーは、オイラをプロレスにのめり込ませた技と言えるでしょう。

とにかく三沢さんのエルボーはきれいです。品があるとでも申しましょうか。無駄な力みも動きも一切なくて、余すところなく力が相手に伝わっている。研ぎ澄まされた名刀の美しさ。

三沢さんはとっさのひらめきを見せる天才型と言われますが、そのひらめきを見せる時もエルボー。回転して勢いをつけるローリングエルボー、逆回転とのコンビネーション、左右で繰り出すワンツーエルボー……激闘の中進化していくエルボーの、なんと頼もしかったことか。

さらに、モーションも小さいエルボーは、相手の一瞬の隙を突いて叩き込めるから、また頼もしい。

そんなエルボーと同様、一瞬の隙を突いて決まるスタン・ハンセンのショートレンジラリアットとの対決は、いつどちらの必殺技が火を噴くか分からない、手に汗握る緊張感に溢れたものでした。

ん? という事は次はハンセン……?

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