ハーメル回顧録

2005/08/05

ハーメルンのバイオリン弾き 総括

というわけで、ハーメル回顧録のまとめ。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

このシリーズを書こうと思ったのは、ブログを立ち上げてみたら、結構ハーメルで検索してたどり着くお客様が多かった事がきっかけです。

連載終わってもう何年も立っていて、まさか今でも好きな人がこれだけいるなんて。関わった者としては、非常に嬉しい事態でした。

そこで、そういうお客様にちょっとした裏話を伝え、違う視点でまたハーメルを楽しんでもらえたら、と考えました。上手く行ったでしょうか?

全体として眺めてみると、「ハーメルンのバイオリン弾き」という作品は、知る人ぞ知る、という世間の評価で。アニメが上手く行かなかったこともあり、ミリオンセラー級メガヒット、というわけには行きませんでした。

さらに言えば、ナベ先生のスタイル、ギャグとシリアスを極端に混ぜている事が、評価を真っ二つに。弟子の僕が言うのもなんですが、ナベ先生は正直、アーティストのタイプじゃないし、テクニシャンの系統でもない。突っ込もう、揚げ足取ろうと思ったら、隙だらけです。

お話としても、途中、中だるみが起きている感は否めません。

でもね。近くで見ていたからというだけではなく。この作品には、そんな弱点を補って余りある物が込められていると思うのです。

どれだけ、漫画に対して純粋でいられるか。

どれだけ、自分の作品を愛して、誠実に向き合えるか。

それは好きな人にとってはかけがえの無い物となり、その作品をその人にとって、唯一無二の物にすると思うのです。

テクニックは確かに大切だけど、それだけじゃない。込められた魂が重要だ。魂と魂が惹かれあったとき、作品と読者との間に、固い絆が生まれるんだ。

そういう事を感じさせてくれる作品でした。

そんな作品に深く関わることができ、そんな姿勢を間近で学ぶことが出来たという事は、僕にとってもかけがえのないことだったと思います。

それだけに気がついたら絶版になってたのは、ちょっとショック(笑)。(関連記事)

さて、昨年10月より続いたこの「こっそり週刊連載企画」も、これでお終いです。

ハーメルが最終回を迎えた時には、なんとも言えない心にぽっかり穴が空いたような、哀惜の念を感じたものですが。今回記事を書くにあたり、作品を丁寧に読み込み、当時の出来事を思い出していたら、また同じような気持ちになりました。まさか二回、最終回気分を味わうことになるとは(笑)。

約10ヶ月にわたる長い間、ご拝読ありがとうございました。

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2005/07/31

ハーメルンのバイオリン弾き 37

ハーメル回顧録の37。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

とうとう来ました最終巻。

ナベ先生と、最後までのプロットを打ち合わせている時に、二人で確認したことがあります。

1.ベタでいいから、ケストラーを圧倒的な敵として描こう。

2.ベタベタのハッピーエンドで行こう。

ケストラーを圧倒的な敵として描く、というのは現在の主流とは、ちょっとかけ離れてるかもしれない。今は勧善懲悪のラスボスよりも、敵にも考慮すべき事情があって、という描き方の方が多いです。もしくは精神的にとんがってる感じ。ケストラーみたいな力の権化、というのは一昔前のタイプと思われちゃうかも。

でも考えたのは、流行り廃りじゃなくて、この話をどう決着つけるかという事。そのためには完全な対比構造にしないといけない。仲間とか思いとかを信じていない敵が、それによって滅ぼされる形。

かくしてケストラーはしつこいまでに復活を遂げ、圧倒的な力で、オーボウ、パンドラ、ライエル、サイザーと手をかけていくのです。

さらにこれでもかとケストラーの圧倒的な力。地球全体が焦土に。人類絶滅の危機。そして、そこに現れた、フルートまでもが。

そして迎える、最終章。

ベタベタでいいから、ハッピーエンドに。それを合言葉に考えたのが、この形。スフォルツェンドの女王として、慈母の力に目覚めたフルートが放つ光で形勢逆転。そして最後はやはり、みんなの力でケストラーを倒す。

「いくぜケストラー!! 貴様には…地獄の交響曲を聴かせてやる!!」親友ライエルと共に奏でる、交響曲「第九」。そして、フルートとパンドラの聖女二人のハーモニーによる第四幕「歓喜の歌」。魔曲に力を与えられたみんなが力を合わせ、そして弱ったケストラーを新しいパンドラの箱に封印。

こうして全ての災いの元を断ったのです。

…いや、断ってなかった(笑)。ここからがエピローグ。死闘の後はいつものハーメル。実はギータは下の犬が本体で、ケストラーの残した血痕を舐め進化を遂げ、更なる凶悪な魔族の王が……と思いきや。遅れてたどり着いたコルネットの「聖母殺人伝説」にて、あっけなく死亡(笑)。

これも、もうここしか出せないね、と言ってました。何しろあまりにコルネットが化けすぎて、シリアスなシーンには出しようがない(笑)。だって、どんな敵にも勝てそうだし。途中で、壮大なオチとして使うしかないな、という事で意見が一致しました。

そしてみんなの後日談。なんかもう、全てやり尽くした、これこそ最終回という感じですね。最後のページ、オイラが描いたんですよねえ……しみじみ……。

さて、裏話もこれで最後となりますね。それでは取って置きのヤツを。実はプロット考えている時、もしかして単行本のページが合わないんじゃないかという懸念があり、外伝を描くか、というアイディアも出たんですが。36、37巻を増ページすることで解決しました。

描くとしたら、ハーメルとフルートの子供と、ライエルとサイザーの子供の珍道中。大きな話じゃなくて、ちっちゃい子が頑張る、ちょっとした冒険譚がいいな、と。その時はハーメル、フルートがあんなに子沢山だとは思ってませんでしたが(笑)。

そういう幻の外伝のアイディアもありました、という裏話。どうでしょう、見たかったですか?

さて、次回。ハーメルンのバイオリン弾き、総括。

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2005/07/21

ハーメルンのバイオリン弾き 36

ハーメル回顧録の36。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

前巻から始まっています、ハーメルvsケストラー。同時にトロンvsギータも。物語のクライマックスで、全面対決になった時、各所で起きている対決を同時進行的に見せる構成は、他の作品にもよく見られる手法ですが、これ諸刃の剣なんですよね。

盛り上がったところでカメラが切り替わっちゃうと、せっかくの読者のテンションが切れやすいし、戻ってきた時に、前どこまで進んでいたか思い出すのに時間がかかったりして、入りづらいし。作者が思っているほど効果的じゃないケースというのが起きやすい。ではなぜ、わざわざそうなっているかと言うと。

このふたつのエピソードは、実はテーマとしては同じです。魔族対人間。人間のほうが圧倒的に不利で、魔族の側から言わせれば、人間なんて、魔族に利用されて殺される、餌に過ぎない存在。そんな存在、虫けら同然。

それに対して、人間であること。肉体的には弱々しい存在かもしれないけれど、他人を思う心を持つ事で、肉体を超越して強くなれる。自分は犠牲になるかもしれなくても、その思いが人に伝わり、大きな力を生み出すことが出来る。

同時進行で起きている二つの話は、形を変えて同じテーマを追っている。だから一つを片付けて次、という描き方をすると、同じ話の繰り返しになってしまう。そこで同時進行、ハーメルがピンチの回はトロンもピンチで、逆転するのも同じ回。

このテーマは前回でも書いたとおり、ナベ先生の信念、人間賛歌です。結局長い連載を通して、一番書きたかった事がこれなのです。自分のために頑張るのは当然のこと。誰かのために頑張れるのが尊いのだ、と。

トロンは「誰かのために剣を振れるようになれ」との父の教えを理解して、それを実践した影の主人公。少年漫画を成長物語と定義すれば、まさに主人公的活躍です。ちっちゃくて泣き虫だったトロンが、いつの間にか大勢の人を助けて、慕われる存在に。

さて、トロンの方はこの巻で完全決着となりましたが、片やハーメル。

わが身を犠牲にしてでもケストラーを倒すと、あえて魔族の血にその身を染め、ケストラーを打ち砕く一撃を放ったかに見えたのですが。そこは敵も最後の大物、ラスボスです。

次巻とうとう最終巻、更なる悲劇が一行を襲い、そして最後に……。

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2005/07/16

ハーメルンのバイオリン弾き 35

ハーメル回顧録の35。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

「人はね…自分の"力"を、愛しい人のために使うことができたら…後悔など、しないんだよ」

かくしてスフォルツェンドの物語決着。

ぱっと見、これだけ絵柄も違うし、話の進め方も違うし、作風から言ったらまるで師弟関係が見えない僕とナベ先生ですが。何を描きたいのか、何が重要だと思っているのかという、根っこの所で繋がっている。

要するにこの手の話を描きたいわけで。

32巻の回でも書いたとおり、このクライマックスというのは、当初の予定通り。ホルン様が十字架に法力を込めていて、それと一緒に詰められた思いが最後に助けてくれて、リュートにもみんなの思いが通じて。

で、ベースを倒すんだけど、リュートの体はもう限界で、みんなと一緒に昇天してしまう。最後にフルートに思いを伝えて。

で、それを二人で煮詰めていきながら、やっぱりうるうる来ていたのも、書いたとおりです(笑)。ほんとに、二人とも好きなんですよ、こういうシーン。やっぱり漫画は気持ちや思いの深さを描くのが一番だ、と。

客観的に言えば、当然一番は人によっていろいろ違うんでしょうけど。でも自分達にとっては、一番はそれ。気持ちや思いを描き切らなかったら、漫画なんて面白くない。その信念の結実が、このシーンだといえるでしょう。

死んでるはずのリュートが普通に動けちゃったりとか、ホルン様の幽体がクラーリィ持ち上げちゃったりとか、真面目に考えたらありえない奇跡がバンバン起きちゃってますが、それもそれだけのエネルギーが思いには込められているんだという事で。

ともすれば漫画は、御都合主義になりがちです。「それが”想い”ってヤツだよ…ベース…」というリュートの言葉も、使い方間違ったら凄い言い訳になってしまう。それを防ぐのが、作者の信念だと思うのです。

そのほうが受けがいいから、ぐらいのネタとして取り扱ってたら、どっか隙が出来て読者に看破される。いや、無理矢理なのは最初から否定出来ないんだから、突っ込まれるのは承知の上。

でも根っこにエネルギーが込められていれば、寓話として成立する。読んでる方が現実には無い事だと分かっていても、気持ちの深さが伝われば、これは物語上の技法、出来事のデフォルメなんだと。伝えるために大げさに描いてるんであって、伝えたいのは根っこの所だと分かってくれるはず。

そこまで行けば、現実ではありえない事が描いてあるというのが、逆に物語の素晴らしさになるんだと思うのです。人を思う気持ちがどれだけのエネルギーを持ち、どれだけの奇跡を起こすのか。

現実の世界でも、思いの深さが不可能と思われていたことを可能にすることはあるわけで。そういう人間賛歌を描きたいのだ、というのはナベ先生の口癖でした。

その気持ちはハーメル全体にずっと貫かれていて、そしてそれが最終決戦へと。この巻から始まるケストラーとの対決。

としてとうとう長い物語も、最終局面を迎えるのです。

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2005/07/08

ハーメルンのバイオリン弾き 34

ハーメル回顧録の34。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

「もったいないねー」というのが、当時アシスタントの間で囁かれていた感想。

何がかと言うと、「スフォルツェンド聖十字軍王家親衛隊」が。漫画における絵の力というのは大きくて、ポンと出てきたインパクトで、物語のイメージが、わっと広がったりする。

手伝っててみんなが感じたのが、こいつらこれまで結構なドラマがあったんだろうな、という事。でも、もうお話は最終回に向かって突っ走っているから、その辺は触れることなく、みんなここで死んじゃう。それがもったいないね、と。

特にリーダー格のサックス君。片目に大きな傷はインパクト絶大。こいつ絶対クラーリィとライバルで、大神官の座を争ったんだぜ、と勝手に裏のドラマが出来ちゃう。

これもリュートの物語が、ちゃんと伏線張られていた効果です。過去のリュートの話で、ちゃんとリュートを慕う子供たちが描いてあったから。だから、いきなり出てきても「ああ、あの子達が!」と、納得できる。そして描かれていない部分にも想像が及ぶ。

これがいかにもこの後使いますよ、というタイミングで伏線張ってあったら、効果薄。手順としては間違っていないけど、想像力を掻き立てる、という所までは難しい。

伏線を張る、という言い方もちょっと違うんですよね。物語の作り方のレシピやノウハウとして、手順として伏線を張るんじゃないのです。一生懸命ドラマを考えて、想像力を膨らませていけば、後ろはこうなってるんだから、自然と前はこう、という感じ。

漫画の種類によって、違ってくる部分はありますが、ハーメルのような感情的なクライマックスを描く物語の場合は、そういう感覚で作品に当たるのが重要なんじゃないかと思います。その部分をナベ先生から学びました。

溢れる気持ちがクライマックスなのに、描いてる方が醒めてて打算だらけだったら、そんな嘘すぐばれちゃう。素直に真っ直ぐ描かないと。キャラクターを駒ではなく、ちゃんと、架空の存在でも一人の人間として扱ってやれば、感じていることが行動に結びついて、自然とドラマが出来ていくのです。

特にスフォルツェンドの物語は、ハーメルの中でも長い間語られてきたエピソードです。クラーリィにもフルートにも、それまで名も無きモブの子供たちだったクルセイダーズの面々にも、積み重ねてきた思いや行動がある。

それがこの34巻に結集している。そうして分厚いドラマになっていく。その中にはかなわなかった哀しい思いもあるけれど。

でも、その思いが、リュートの心には届いて、以下次号。

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2005/06/30

ハーメルンのバイオリン弾き 33

ハーメル回顧録の33。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

赤い羽根の天使。

サイザーの贖罪については何回か触れてますが、難しいテーマです。漫画だから、ある程度事態も単純化して描かないと描ききれないんだけど、あんまり都合よすぎても駄目だし。その辺のさじ加減が。読む人によっても違うしね。

で、サイザーについては、散々苦しんだあげく、オカリナの思いを受け止める形で、生きて頑張ることを選択したわけですが。読者に対してはそれでいいけど、それを知らないこの作中世界の人にとってはどうだろう。

というわけで、このテーマを完全決着させるために、オルゴールと最終対決。今までと同じように見せといて、違うのだ、サイザーは乗り越えたんだ、というところを描く。さらにその姿が人々にも伝わって、「赤い魔女」から「赤い羽根の天使」に昇格。

こうして長く続いたサイザーの贖罪というテーマは、ついに決着を見たのです。

こういうクライマックスを考える時には、キーワードが重要です。一言ぽんと収まれば、全体がすっきりまとまる。頭をひねって「赤い羽根の天使」というのを思いついたときに、それで決まりだ! と。上手く収まったと思うのですが、いかがでしょう?

さて、いい話に振ったところでドーンとギャグを持ってこないと気が済まないのがナベ先生で(笑)。早速天使がらみでオリン爺さん登場。ヒントは作中にちゃんとあるんだけど、断定されていなかった、オリン爺さん実は天使という衝撃の事実を発表。

これのために前巻に外伝が収録してあるのです(笑)。これギャグ王に載ったんですね。

ギャグ王と言えば僕らの間では、溝渕さんが連載とって、みんなで喜んで祝福して送り出したのもつかの間、すぐに廃刊。当然溝渕さんの連載もパーで、ギャグ王とは名ばかりで笑えない事態となった、因縁の雑誌です。

4コマとかショートギャグが結構子供に受けるから、別枠でやろうと始めて、辛抱しきれずにストーリー漫画を入れてリニューアル、そこでぽしゃったんですよね。漫画は難しいですね。

サイザーのテーマが終結した次に始まるのが、スフォルツェンド王家の物語、最終決着。この巻の後半から、リュートの強大な力の前に、みんな大ピンチ。術者を倒さねばという事になって、とうとう城に突入することに……。以下次号。

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2005/06/23

ハーメルンのバイオリン弾き 32

ハーメル回顧録の32。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

いやー、ナベ先生は律儀な人だなーと思うのですよ。魔族と人類の総力戦。勇者一行を助けるべく現れる、各国の精鋭達はいいとして。あんな人やら、こんな人やら。

漫画のクライマックスで、今まで出てきたキャラクターが勢ぞろいして、主人公を後押しするというのは、燃えるパターンなわけですが。一巻の頃のキャラとか、外伝のキャラとか、脇にチラッと出てきただけのキャラとか、とにかく全部勢ぞろい。

こんな遊びをしているから、なんかあっちにふらふら、こっちにふらふらという印象が否めない(笑)。でもそのため読者は、次に何のシーンが来るのか、さっぱり読めない。遊びは漫画に重要です。作りこみすぎちゃうと、消えちゃうんだけど。

さらに一見そう見えて、話作りは基本に忠実、骨の部分はしっかりしているから、ちゃんとストーリー漫画として進んでいく。クライマックスは燃える展開に。一挙両得、一粒で二度おいしい。ナベ先生を評価している人は、こういうところを押しているんだろうなと思うのです。

さて、この巻ではホルン様の凄絶な大往生が描かれているわけですが。お察しのとおりこの辺も、ラストに向けてのプロットに計算して組み込まれていて。

30巻のホルン様が病床に臥していながら、十字架に残った法力を詰め込んでいたりとか、この後リュートとの戦いや、最後の決戦で、その力が助けてくれたりとか、そういうのは全部一本の糸で繋がるように計算してました。

計算というと、何か冷たく聞こえるかもしれませんが、話作りにおける計算というのは、要するに一回全部想像してみることで。話を想像しながら、読む人の気持ちも考えていく。そんな作業をナベ先生と二人でやっていくと。

話し合っているうちに、どんどん細かいとこまで想像し始めるわけですよ。伏線があーなってこーなって、ホルン様はこのときこんなこと考えていて、それを後々こういうシーンで受けて……。アイディアを出し合う形で話を固めていく。

で、最後ホルン様が娘に心配かけまいと見送って大往生、というところにたどり着くと。…いかん、泣けてきた。二人でそんな感じで(笑)。

ベースの最後とか、ライエルがケストラーに立ち向かうとことかでも、話しててそんな感じになってました。自分で泣けたり、燃えられたりするレベルまで煮込まないと、人に伝えるなんて出来ないんですよね。

自分が10考えて、人に伝わるのは3とか4とかだから。自分で泣けるとこまで考えて、ようやく人の心がちょこっと動く。人には見られたくないですが(笑)。

登場人物の想いとか、気持ちの流れとか、そういう物を最初に整理してあるという事は、全体を俯瞰して描けるという事でもあって。逆に一つのシーンを描くにしても、その後これがああなって、ということが分かっていれば気合も倍増なのです。

キャラクターを描いているのはナベ先生なのですが、自分にもそういう部分があったのでしょうか、今見ると大変な作画のはずなのに、辛かった記憶があまりないのです。乗れていた、という事なのでしょう。

自分の漫画でもそういう状態で描きたいなあ、と思います。

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2005/06/15

ハーメルンのバイオリン弾き 31

ハーメル回顧録の31。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

というわけで、前回書いたとおり、物語は終焉に向かって着々と進んでいるのです。まずは今まで断片的にしか描かれていなかった、ハーメルとサイザーの誕生秘話。

僕とナベ先生の間には、ケストラーを描くに当たって、一つの共通認識がありました。たとえベタになってしまってもいいから、絶対的な悪役として描くという事。

僕が子供の頃にはすでにあったと思うのですが、アニメなどで美形の敵役が出てきたあたりから、絶対的な悪役というのが描かれなくなっている傾向があって。敵にものっぴきならない事情があるんだよ、という描き方。

確かに現実世界ではそうなのですが、リアルだからと言って何でもかんでもそうしてしまうと、どうにもならないジレンマに捕まって、物語が不完全燃焼に終わってしまう。

さらに言えばハーメルは、明らかに寓話です。大体、いもしない魔族が出ているのです。この時点でリアルなんて糞食らえ。物語のテーマが浮き彫りになるように描くべきなのです。

ハーメルのテーマの一つとしては「仲間」というものがあって、大切な人を想うこと、その人のために頑張ることが描かれている。だったら敵役は、それを否定する存在でないといけない。かくして、我が子でさえも自分のために利用する、悪の大魔王が誕生。パンドラ母さん酷い目に。

そして、この巻では、ある伏線が張られています。ハーメルのバイオリンに合わせて、フルートが第九の歓喜の歌を歌っている。

これは最終回、どうやってケストラーを倒すか、というところまで決めてあっての伏線。さらにそれでハーメルとフルートがいい雰囲気になったところで、ケストラー登場。これから先の困難を暗示するのです。

このように、30巻代に入ってからは、プロットはかなり計算づくです。最短距離でラストに向かって突き進む。

ですが、ナベ先生の漫画の特徴として、話があっちに行ったりこっちに行ったりしている様に見えるわけで。それは遊びのシーンを描くのに余念が無いから(笑)。いや、漫画には必要なんですけどね、遊びのシーン。ないとつまらなくなっちゃうから。

その遊びが次の巻では大爆発。まさか、あんな人や、こんな人まで……(笑)。

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2005/06/08

ハーメルンのバイオリン弾き 30

ハーメル回顧録の30。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

それは年末進行を終わらした日のことでした。年末は印刷所がお休みになってしまうので、いつもより締め切りきついのです。

その日はエニックス出版部の忘年会がある日だったのですが、さすがに疲れていたので、僕は留守番。パーティでタダ飯食うより、しばしの休息を選んだわけ。しかし、僕の行かなかったパーティ会場で、事件は起きました。

ヘロヘローンとしながらみんなの帰りを待っていると、ナベ先生が帰ってきて開口一番、「もう、終わらせてやる!!」

激高するナベ先生、オロオロする連れのアシ達。ナベ先生がこんなに怒るなんて珍しい。と言うか、ほとんど無い。切れて爆発なんて、仕事場ではむしろ僕の役どころです。何があったのか聞いてみたところ。

パーティ会場で顔見知りの編集さんと話している時、言われた一言。「ハーメルも、もう、長いですよねえ」

これがナベ先生の逆鱗に触れたらしい。「そんなに不満があるなら終わらせてやる! やろうと思えば来月でだって出来るんだ! 北の都を前にして『さあいくぞ!』で…」すごい剣幕。

僕はその場にいなかったし、公正を期して推測で断定はしませんが。実際「長いですよねえ」と言う場合も、「だらだら続けやがって」なのか「すごいですね」なのか、両方の場合があるわけだし。その前後の細かいやり取りとか、言ってる様子とか見ないと分からない。

でもはっきりしているのは、目の前のナベ先生が物凄く怒っていて、ナベ先生には非常に失礼に聞こえたらしいということ。まさか本当に連載放り出すとは思えないけど、ここは何とかなだめないと。

で、これを機会に、前々からちょっと感じていたことを伝えてみたのです。

そろそろハーメルも30巻、確かに長期連載です。終わらせなければいけない時期は、確実に迫ってきている。だったらちょうど年末年始の休みがあるんだし、これを機会に、ここで思い切って最後まで展開を決めてしまったらどうか。今まで張った伏線を洗い出して、ちゃんと閉じれるように。

実際に単行本だって売れていて、ずっと楽しみについてきてくれている人がいるんだし、その人たちに最高のエンディングを見せなくては。ガチャガチャ言う人なんか関係ない。責任を持たなきゃいけないのは、そのお客さんに対してなんだから。

と言うわけで、年末年始で最後までの物語の構成をしました。細かいアイディアやエピソードの足し引きはありますが、最後に至る流れはこの時点で、「この回でこれをやる」というレベルで決めました。それが30巻冒頭でのこと。ここからラストに至るまでのカウントダウンが始まったのです。

この巻でいうと、フルートの「聖女としての役割」だったり。あれを描いた時点で、何回後にこれを受けてこういうエピソードが、というのは決まっていました。

また、この時から僕は、完全にブレーンとして働くようになったのです。今までは「困った時の相談相手」でしたが、「原案協力者」として。

プロットを切るときからネタ出し協力をし、ネームも見て、意見をして。実際採用されたアイディアとしては、リュートの最後とか、他いろいろ。

だからハーメルがちゃんとしたエンディングを迎えて、それが結果に反映されたということを知った時は、確かな満足を覚えました。

災い転じて福となす。ハーメルの終わり方を決めた大事件でした。

この流れで、次の「PHANTOM; DEAD OR ALIVE」の時に、名前が出てるわけですね。あっちも上手くいけばよかったんですけどねえ(笑)。

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2005/06/02

ハーメルンのバイオリン弾き 29

ハーメル回顧録の29。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録をどうぞ。

死んだら泣けるっつーもんじゃねーんだよ。気持ち伝わるから泣けるんじゃん? 死ぬほど本気だったって気持ちに泣けるんだよ!

…失礼しました。つい取り乱してしまって。いや、多いからさ。とりあえず死んでる漫画とかアニメとか。

というわけで前回に引き続き。今度はオカリナが本気の気持ちを見せる番。ですが、ライエルと違うのは。彼女は死んでしまうこと。

小さい頃からサイザーの面倒を見てきて、唯一の理解者で。けれど負い目も感じていた。サイザーをこんな運命に引き込んでしまったこと。

魔族の片棒担いで、サイザーに本当の事を教えずに、「ハーメルンの赤い魔女」に仕立て上げるのに、一役買ってしまった罪悪感。ずーっと伏線として、それが語られてきていました。でもそれだけじゃないことも、ちゃんと描かれている。オカリナがどれだけサイザーのことを思っているか。

そしてずっと張られてきたそれらの伏線が、この巻に収束していくのです。いい演出なんだよなあ、ここ。

冒頭、二人のコンビネーションが炸裂しているところで、「ずっと…いっしょにいてね…オカリナ…」という過去のシーンが一枚入ってるんですよね。

それでギータが本性現して、地獄の番犬ケルベロスと化して、サイザー大ピンチ、オカリナも捕まっちゃう。で、ねちねちいたぶるわけですよ、オカリナの罪悪感つついて。さらにオカリナがもう寿命だ、という事をはっきりさせちゃう。

それを知ったサイザーは涙する。自分を止めようとして命を縮めたことを知って。そこでもう一度過去のシーンを回想。小さい頃から、どれだけオカリナが自分を支えてくれたかを思い起こす。そんなオカリナの気持ちを見せといて。

でもオカリナは、さらにそれを超える思いを見せるのです。まさにサイザー食われちゃう!という時。瀕死のオカリナ立ち上がって。「大丈夫…だからもう…泣かないで…ね…」と。

ここまでアクションシーンが続いているんだけど、この構成によって、ずっと根底にテーマが流れているのです。サイザーとオカリナの絆の深さ。最後のモノローグも、回想シーンにも繋がっているし、そこからずっと続いている、オカリナのサイザーへの思いなわけで。

で、命を顧みない渾身の鳳凰千破が炸裂、ギータとオルゴールを吹っ飛ばす。でも、ハッピーエンドかと思いきや、振り向くオカリナは寿命が尽きて崩れ始めていて。

崩れていくオカリナを必死で抱きしめるサイザー。オカリナは最後までサイザーに謝ってる。サイザーは否定したいんだけど、声にならない。ここでべらべら喋ると嘘になるんですよね、余裕あるじゃんという感じで。でもサイザー、もう動転しているから、言葉にならない。

で、最後のオカリナのサイザーへの遺言。聞き取れない。口の動きだけ。これも秀逸な演出。読者はみんな分かっているわけですよ、オカリナの気持ち。でも、サイザー本人は聞いたことがないわけで。それを引っ張って事件の後、オカリナの墓の前で。

ライエルの心の中の問いかけ、「最後にいいかけたこと…わかるかい…それは…」に応えて、「”生きる”ことに…したよ…」と。

ドドーンと見開きで。ホントいいシーンですよねー。オイラもオカリナの気持ちに応えて、一生懸命描きましたよ、背景。

前に「サイザーが最後まで生きてるのはまずいんじゃないか」と思った話をしましたが、これを見たら納得。ここまで悩んで、そして思いを託されて、頑張って生きようと決めたならいいか、と。いや、むしろ頑張れ、サイザー。

漫画家人生でこういうシーン描く機会、なかなか無いですよ。ここまで伏線積み込むのがまず大変。クライマックスの形だけ描いても意味無いから。気持ちの積み重ねが大切だから。いいなー、ナベ先生。うらやましい。オイラもこういうシーン描く機会にたどり着けるだろうか。

「バド○イザー」にコメントしようかと思ったけど、やめた(笑)。せっかくのいいシーンだったから。

さて次回、とうとう予告通り、大事件が起きてます。

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2005/05/24

ハーメルンのバイオリン弾き 28

ハーメル回顧録の28。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

黒サイザーがいっぱい……。

羽根は面倒くさいし、鎧は描くの前より大変だし、服のベタは感覚的な塗り方でナベ先生の要求に合わせるのが難しくて、やたらリテイク出るし、もう散々で。

そんなサイザーがライエルの活躍により元に戻りました。ありがとうライエル!

…と言うのは冗談で。いや、大変だったのは本当ですが(笑)。

この巻ライエル大活躍。作中でも最大の見せ場といえるでしょう。奪われた魂を取り戻し、戻らないはずのサイザーを元に戻す。その奮闘振り。さすがは愛の勇者です。

冒頭で「元に戻らない」とホルン様が言い切っちゃっているから、簡単に戻るわけにはいかないのです。それなりの説得力が無いと駄目。前回「僕は漫画も甘党だ」と書きましたが、この点については辛口ですよ。つかね、甘いハッピーエンドも、ちゃんと作らないとベタベタで食えたもんじゃないわけですよ。

漫画は作者が描くから、現実と違っていかようにも出来る。作中では作者が神様。どんな困難もペン先一つですぐ解決。でもそんなハッピーエンドは、他人が見たらただの妄想にしか見えない。

で、どうやって説得力を出すかが重要になってくるのです。このエピソードの場合は。

サイザーに滅多切りにされても頑張るライエル。怪我した自分よりオカリナを先に手当てしてくれと言う、仲間思いのライエル。崩れ落ちるサイザーを抱き止め、語りかけ、裏切られ、それでも彼女のためにギータにぼろぼろにされながら突き進むライエル。

ここまで行動で見せることで、説得力を生む作戦。常人には出来ないぐらい頑張ったんだから、サイザーの魂が応えてもいいんじゃないか。魂が応えたんだから、元に戻ってもいいんじゃないか。

元に戻ったサイザーが、ぼろぼろのライエルの姿を見て、愛しそうに抱きしめるのもポイント。その後ライエルの持ってた羽根を口にくわえて飛び立つのも。ライエルの思いをサイザーが受け止めたんだ、という演出だから。

セリフでべらべら喋らずに、行動で見せること。口では簡単に嘘をつける。でも行動で見せれば本気なんだというのが伝わる。これ、意外に意識されていないんですが、非常に重要です。

ライエルの本気の思いが伝わって、ようやくサイザーが元に戻ったわけですが、本気ということではこの人も負けてはいません。次回オカリナが……。

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2005/05/18

ハーメルンのバイオリン弾き 27

ハーメル回顧録の27。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

この巻でまず特筆すべきシーンは。嵐の海にピアノを捨てられたライエルの顔。

これは描いている最中、ナベ先生自身も考えていました。やり過ぎか? お客さんが引いてしまったらどうしよう? でもこれだけ魂のこもった顔、そうは描けないぞ。進むべきか進まざるべきか(笑)。

どうしようか、と意見を求められた我々も、なんとも言えず。ガンガンには女性読者も多いし、確かにライエルには女の子のファンもたくさんついているし、それでなくても最近雑誌の中で浮き気味だし……。考えに考えた末、面白いんだから、やるしかないと。

あの顔にショックを受けた、ライエルファンの方がいたら、すいませんでした(笑)。

あとフルートの海亀も物議をかもしていましたねー。卵産み続けているのはどうだろう? と(笑)。

でもねー。もう止められないんですよね、ここまで来ていると。人の目気にしてパワーのないギャグなんて、意味無いですからね。賛否があるのを予想しても、思いついた上に、インパクトがある以上、突き進むしか。

よく言われることなのですが、「まあまあだね」とみんなに言われるぐらいなら、賛否がバッキリ割れちゃった方がましなのです。「まあまあ」じゃ、本買ってくれないかもしれないでしょ? 賛否割れても、「賛」の人は買ってくれる訳だから。

これだけ漫画があるんだから、八方美人になっちゃ駄目。どっちにしろ、最後は棲み分けないといけないんだから。「面白い」と思ったら迷わずドーンと行かないと、個性が出ない。個性が出ないと、読む方が選べない。

好きな物は好きなんだし、嫌いな物は嫌いなんだし、甘党と辛党が永遠に理解しあえないのと同じ理屈で。嗜好品は、数字の多寡だけでは語れないところがあるのです。

というわけで、ナベ先生のギャグは行くとこまで行くしかない綱渡りなんですが、止められない。例え崖下転落したとしても。たぶん自分なら海亀フルートに卵を産ませるのは、なんかアレだからしないよね、というのは溝渕さんとの共通見解でしたが(笑)。

ちなみに僕は甘党です。漫画も。

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2005/05/10

ハーメルンのバイオリン弾き 26

ハーメル回顧録の26。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

この巻一番の大仕事。ベースがリュートの背中をひん剥くところから3ページ分のセリフ。オイラが考えた。いつものナベ先生の台詞回しと、ちょっとテンポが違うのはそのせい。「こういう意図で、なるべく難しい単語を使って…」と言われて捻り出したのです。

基本的に、僕が作画でエース格のスタッフだったことはありません。まず溝渕さんが、その後は佐々木君だったし。それでもナベ先生が僕をチーフとして扱ってくれたのは、こういう仕事をしていたから。元々ブレーン的な仕事をしていて、それはこの後ますます強まって行くのです。

さてリュート編、この巻で終結するわけですが。この回顧録を書くために久々読み返していて、思わず涙が出ちゃったよ、リュートがフルート助けるとこで。

ナベ先生とオイラの作風は、まるっきり違います。普通これだけ長く一緒に仕事をしていたら、もっと似てくるものなんですが。じゃあ影響まるっきりないのかと言うとそれも違う。

絵柄とか表に見えやすいところではあまり共通項がないのですが、根っこの部分が一緒。どういう話が好きなのか。どこにプライオリティーを置いているのか。それがこういうところで現れる。

要はこういう話に二人とも弱いのです。

だってさ、手足折られて動けないはずなんだよ? 目だって潰されて見えないはずなんだよ? なのに。

フルートを助けて、ページをめくったら丸々1ページ、あんな笑顔だなんて。反則だ。それで「スフォルツェンド第一王子大神官リュート―死亡」って、あーた。フルートじゃなくても泣きますよ。

前述のブレーン的仕事というのも、ここの感覚が一緒だから。何を描くべきか、根っこの感覚が同じなので、僕が意見を言ってもナベ先生は聞いてくれるし、採用してくれる。

体験談から言っても、ゴールが別の人とだと、どうしても最後平行線になってしまう。一番描きたいものが理解してもらえないと、話にあやふやな要素が盛り込まれてしまって、むしろマイナスになってしまう場合もある。

そこが一緒だという確信があるのが、ナベ先生が僕を重宝してくれる理由で、僕がナベ先生を師と仰ぐ理由。

お父さんのエピソードを入れるかどうかは、意見が分かれますけどね(笑)。

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2005/05/03

ハーメルンのバイオリン弾き 25

ハーメル回顧録の25。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

リュート編好調の理由。それは仕事のペースにありました。ガンガン隔週化の頃、みんな死にかけたのは前述の通り。しかし、このままではいけないと、ナベ先生一念発起。休みを利用してスケジュールを調整。実は途中から、締め切り数日前には上がる、余裕の仕事振りに。

出遅れさえ取り戻してしまえば、ナベ先生はもともと手が早く、週刊対応も可能。睡眠時間を削って仕事しなくてよくなったため、ヴォーカル編も途中から、ペースがよくなってきています。そして、リュート編は最初からちゃんと余裕のある仕事。

さらに巻頭作者コメントにもあるとおり、ガンガン野望に挫折、月刊に戻り。26巻からは月産60ページにペースダウン。さらに余裕が。

やっぱり人間、ちゃんと寝た方がいいってことですね。

さて、リュート編、懐かしい顔が出ています。スラー聖鬼軍とか、ドラムとか。特にドラムは、ナベ先生好きなキャラだったのに、早々に退治されてしまい描く機会がなくなって。久々の登場で大層喜んでおりました。

リュート編は全体の中で、とうとう物語を閉じる方向に一歩踏み出していることでも、特筆すべきエピソードです。漠然としていた旅の終わり、北の都へ向かう理由が明確になってきています。

ケストラーが復活、そして復活すると何が起きるか。そこが初めて語られて、それを阻止するために旅をするということがはっきりと。

「そろそろ、風呂敷広げてるばっかりじゃなくて、閉じないとだめなんだよね」とナベ先生寂しそうに語っていました。自分の生み出した、愛すべきキャラクターたち。しかし、別れが近づいてきている。それを予感させるエピソードでもあったのです。

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2005/04/26

ハーメルンのバイオリン弾き 24

ハーメル回顧録の24。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

前回に引き続き、作者コメント裏話、渡辺道明緊急入院について。これは事実です。原因は過労。そこから発熱し、過呼吸に陥って救急車を呼ぶ羽目に。しかし、語られていない衝撃の事実もあるのです。

川瀬浩、渡辺道明を見殺し未遂!!

じゃじゃーん。衝撃の告白。えー、真相を述べますと。

体調がおかしいと悟ったナベ先生、まずウチに電話を入れました。スタッフのうち、僕が一番仕事場近くに住んでいて、バイクで2分の距離。しかし、出ない。

なんとちょうどその時、僕はトイレに立っていて。しかもこれ以上ないというタイミングで、流した水の音と電話の音がかぶったらしく、まったく気がつかなかったのです。当然留守電入ってるなんて思ってもみないから、チェックするわけもなく。

ナベ先生の弱々しい「ひろしどん…助けて…」という留守電を聞いたのは、入院したという知らせを聞いた後でした。

ナベ先生、今度は次に近いきのした君に電話を入れ救援を求めますが、日ごろの行いのためか(笑)、深刻な事態だと伝わっていなかった。「ナベ先生病気かー。そういえば鍋食いたいって前に言ってたなー。じゃ、体力つけるようにジンギスカン鍋でも作ってあげよう」

ちょうど実家から送られた羊肉があったきのした君。いそいそと鍋を抱えて仕事場へ。その間にもどんどん弱っていくナベ先生。ついたときにはマジで大ピンチ。薄れ行く意識の中で、きのした君の取り落とした鍋のカラーンと響く音が、聞こえたそうです。

ちなみにナベ先生を見殺しにしそうになりましたが、僕と溝渕さんは北アルプスでナベ先生に殺されかけているので、これであいこと言えるでしょう(笑)。

さて本編。今回一番の大仕事は。コルネットの作ったチーズケーキ!

仕事場一の甘い物好きの誇りにかけて(?)、まずそうなケーキを描くわけにはいかん、と気合を入れ。かなり真剣に描きましたがいかがでしょう(笑)。

ちなみにコルネットに食われている牛のルーゼット。出所はアニメ「家なき子」。ナベ先生の大好きな作品です。好きな作品ほど、愛ゆえにギャグに使うナベ先生。恐ろしい人です(笑)。

そして始まりました、リュート編。どんなにかっこいい美形キャラも、お茶目なギャグキャラにされてしまうのはいつものこと(笑)。リュートもかなりの天然ボケに。

このリュート編は評判よかったのですが、それには理由が……。以下次号。

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2005/04/20

ハーメルンのバイオリン弾き 23

ハーメル回顧録の23。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

まずはほんとの裏話。カバー裏に書かれている作者コメント、ダイエットについて。

もともとナベ先生、根性の人なのです。やるとなったら命がけ。実は太ったのもそれが原因。腰痛肩こり防止には筋力トレーニングが効果アリと聞いて、ものすごいトレーニング。筋肉増量で体重増だと思っていた。実際凄いパワーアップしてました。でも、運動しているからご飯がおいしくて、それで脂肪もついでに蓄えていたのです(笑)。

で、今度はダイエット。ナベ先生の極端ぶりはこっちも知っているからみんなハラハラ。とにかく絶食だけはいけない、と必死に止めました。結果何とか死なずに20キロ減。エアロバイクの漕ぎ過ぎで、股関節を傷めたのはご愛嬌(笑)。

さて、本編に移りましょう。冒頭、久々のハーメル登場。しかし、いきなり熊に襲われてる。

ところがそれで魔族の力のコントロールが出来るようになる、という驚きの展開。溝渕さんが爆笑してたのを思い出します。ナベ先生の仕事を手伝ってると、突然予想もつかない凄い絵が回ってくるので油断がなりません(笑)。

21巻トロンのところでも触れましたが、ナベ先生はキャラクターの成長する話が好きです。当然物語の主人公、ハーメルも成長していきます。

ところがこういう話の主人公である悲しさ、せっかく成長したハーメル、いつもそれがギャグのネタに(笑)。そのせいか、キャラが変わっちゃったという指摘を受けることも。

ギャグシーンを取っ払ってよく見ると、最初はハーメル、誰も寄せ付けない孤独なキャラ。で、「人を信じていない」「分かり合えるはずない」という部分から転がっていって、あの暴虐な鬼畜主人公というギャグがある。

それがフルートのおかげでだんだん心を開いていって、悲しい過去とも向き合えるようになって。仲間にそっけない態度を取ることもなくなっていく。

そうするとギャグのパターンも変わっていくんだけど、シリアスの比べてギャグの変化は極端。つーか、極端に描くからギャグになるのです。だもんだから、成長した、という印象より、変わったという印象のほうが強くなってしまう。せっかく成長したのに、かわいそうだなーと。

そんなハーメルですが、ヴォーカルと対峙するこのクライマックスでは、さすがにギャグ抜きです。いくらなんでもここでガス抜きしたら、言いたいことがさっぱり伝わらなくなっちゃう。

もともとヴォーカルには、ハーメルと対比させる目的があって。誰も信じず、己の力だけで生きるヴォーカルと、仲間を得て、魔族であることを否定するハーメル。で、力だけを頼って生きる者の末路を見せよう、もしかしたらハーメルもこうなっていたのかもしれないよ、という作り。

という訳で、本来の姿に戻ってヴォーカルがハーメルを組み伏せるところ、そして力を使い果たして砕けていくくだりが、ヴォーカル編の当初から目論んでいた終着駅だったのです。哀れ、ヴォーカル。

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2005/04/15

ハーメルンのバイオリン弾き 22

ハーメル回顧録の22。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

前巻21巻に、外伝「リュート物語~序章~」が収録されていますが、それはこの巻のためです。荒れ狂う戦場に突如現れる、元スフォルツェンド王子リュート、現冥法王ベース。

外伝は増刊に載ってたので、これの前に単行本に載せとかないと、「兄の手にかかってフルートが倒れる」というシーンの意味が、増刊読んでない人には伝わらなくなっちゃう。それにそろそろリュートの謎も語らなければいけないし、と判断。

例のごとく「自分の古い絵は見たくない!」と嘆いていましたが(笑)。

ナベ先生はあまり増刊に描いてません。ハーメルやってる最中、よその雑誌に描くこともありませんでした。どっちもオファーはあったのですが、性格的に一点集中型なため、断っていたのです。

大人の判断としては、注目を浴びてる時にそういう仕事をして、さらに注目倍増売り上げアップというのが普通なんでしょうが、そういうのが出来ない性格。でもそういう一本気な所が漫画にも出ていて、長所になっていると思うので、人それぞれということですね。

さて、今まで散々思わせぶりな態度だったリュート王子。それが人気の秘密だったわけですが。

何かを思っているんじゃないか? と読者に思わせる演出法は、巷でもちょくちょく使われ、人気取りには非常に有効。しかし、実は何にも考えてなかった、とボロが出ちゃうと大ピンチ。その点リュートのエピソードは内容も濃く、事情が分かってから読み返すと、リュートの声にならない声が聞こえるようです。

ブリュンヒルデの死も、かなり評判よかったエピソードですね。

まあ、それにしても。何度も触れていますけど、この巻でもコルネットの暴れっぷりは凄いです(笑)。

ちなみに、コルネットの放つ物語中最大の威力を誇る必殺技、「聖母殺人伝説」。読み仮名が「ジェノサイド・エクストリーム」。訳が一言も合っていません(笑)。「必殺技っぽい、くだらない技名募集」とナベ先生仕事場で公募、その結果生まれたのです。

みんなの力を合わせて生まれたのさ! なんか、必殺技っぽいでしょ?(笑)

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2005/04/07

ハーメルンのバイオリン弾き 21

ハーメル回顧録の21。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

前の巻で気になる引きをしていたと思えば、ページをめくってびっくり、巨大コルネット登場。凄いです、まだ引っ張ってます(笑)。しかもオチでさらにびっくり。倒れた魔族の皮が破れて、中から清らかなコルネットが!!

「コルネットは魔族のとき、その絶大なる邪心で巨大化しましたが、倒されたことで邪気がなくなって、なんと心のきれいな真人間になってしまったのですじゃ…」(by岩神仙人)

思いつかないですよ、ふつー。ナベ先生の当時の仕事場は、後々連載を取るような人がずらり揃っていて、決して漫画力のない面子じゃないはずなんですが、この点では誰も及びもつかない。凄い発想力。どこから湧いて出てくるんだろう(笑)。

さて、ストーリーの本筋に戻りますと。まさにクライマックスを迎えんとしています。盛り上がるテンションとは裏腹に、スタッフ一同、死にかけています。

だってね。単行本を持っている方がいましたら、試しに数えてみて下さいよ。いったい何体の屍兵たちが出ているか。背景もひたすら瓦礫の山だし、もう大変。

かと言って代わりにナベ先生が楽していたかと言うと、主要キャラも勢ぞろいで全然楽できない。かくしてスタッフ一同大苦戦。描いても描いてもまだいる。屍描いてても嬉しくないですしね。

スタッフの中では溝渕さんがエース格だったので、特に辛かった模様。一番面倒で手厳しい絵ばかり描いてましたから。よく嘆いてました(笑)。

それだけに、最後みんなの魂が開放されて天に昇っていくとこは、仕上げてても気持ちよかったなあ。

長く続いたサイザーとトロンの軋轢は、ここで決着を迎えます。サイザーの「孤独な鳥」と、トロンの「誰かのために剣を振る」というテーマがここで出合って、結論に。そしてわだかまりが解けて、ようやく仲間として認めることが出来るようになる。

一見関連性のないと思われていた主題が、話が進むにつれてだんだん絡み始めてきて、最後ストンと一つ所にオチる。長編の醍醐味ですね。

さらに。泣き虫トロンも一つ成長して、父親のように「仲間のために剣を振れる男になるよ」と。ナベ先生は成長物語が大好きな人なのです。トロンの成長はお気に入りのテーマの一つでした。

成長して、立派な王となり、きれいなお后様ももらって…。ただ、きれいだけど、ねえ?(笑)

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2005/03/29

ハーメルンのバイオリン弾き 20

ハーメル回顧録の20。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

この巻のお仕事としては。超獣軍王虎大隊の戦車を。

背景は何人かのアシスタントで手分けして描いているわけですが、人によってタッチの違いがあるので、見ているとなんとなく誰が描いたか分かるのです。戦車も何人かで手分けしているのですが。

一番分かりやすいのは、ヴォーカルが空から攻撃して、吹っ飛んでいる戦車。どこかちょっと松本零士調。砲塔の辺りが宇宙戦艦ヤマト。確かナベ先生に突っ込まれたな。だって好きなんだもん(笑)。

さて前巻ではコルネットが大暴れしていたわけですが、この巻ではオリン爺さん大暴れ。またギャグの話なの? と思った方、すいません。だって、エピソード進んでないから、コメントできなくてさ。次回ではトロンとサイザーの顛末について触れる予定ですので、ご容赦のほどを。

コルネットとオリン爺さんが、ハーメルにおける二大破壊的ギャグキャラなのですが。いや二人もいれば十分ですけど(笑)。共通するのはギャグなのかと思わせといて、いつの間にかストーリーの根幹に関わっていること。

何しろこの作品、設定を考えてみると、オリン爺さんに始まってコルネットで終わってる。嘘のようなほんとの話。

オリン爺さんがハーメルの祖父というのは最初からあった設定ですが、細かいところはその後だんだん変わって行って。オリン爺さん実は若い時美形とかね。ギャグだったんですけど、ほんとの事になっちゃった。まあ、娘パンドラ、孫ハーメルと並べてみれば、辻褄は合うんですが(笑)。

神から魔族討伐の使命を賜ってというのも、ほんとの事になってるし。最初はオリン爺さんの妄言という扱いだったんですけどねー。シリアスとギャグの境界がないのがナベ先生の頭のつくりの特徴。でも漫画には元々そういう荒唐無稽な所があった訳で。

荒唐無稽という意味では、この巻の引きがハーメル中最大の引きでしょう。連載時の次号だけではなく、次の巻に繋がってるし。その直前、強引にコルネットの話題を振ってるのが伏線。

ワープ魔法でスフォルツェンドに戻ったクラーリィ。「なっ…あっ…あれはー!?」 クラーリィの瞳に映った物は一体!? 待て、次号(笑)。

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2005/03/23

ハーメルンのバイオリン弾き 19

ハーメル回顧録の19。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

来ました、来ましたよ。すげえ奴が。

ヴォーカルはもうずっと出てるじゃんと思った方。いえいえ、今回やって来たのは史上最強のモンスター、コルネット嬢でございます。

この巻から本格化するミニドラマ、言わば第三次スフォルツェンド大戦(笑)。いや、もう凄いですよ。手伝ってて、こんなに引っ張るなんて思ってもみなかったもん。「それは貴様たちだー!!」じゃないですよ、ほんと(笑)。

ほんと凄いですね。憧れます。だって、面白いと思ったからと言っても、普通そんな勇気ないですよ。でも、やっちゃう。その姿勢に。

ある意味やり過ぎだったかも知れない。「あれが駄目だったんだよな」という人もいるかも知んない。でもね、万人に受けるのは究極の理想だけど、ムリなんですよ、現実問題。

読者の顔色うかがって、漫画の主導権手放して、受けそうな展開にするのに血眼になって。でもどうせ駄目な時は駄目なんだから。

人に何かを伝えようと思ったら、本気じゃないと伝わらない。そりゃ、アンケートは怖いさ。売り上げは気になるさ。でもそこで曲げたら、相手に伝わるのはそんな卑屈な気持ちだけじゃん。そんな不完全燃焼で朽ちていくなら、ドーンと玉砕する方がよっぽどまし。

いや、玉砕しなくてもいいのです(笑)。ナベ先生はちゃんとそれで食ってるわけだし。オイラもそうなりたいよなー。

ちなみに。モンスターと化したコルネットに貼られているトーンは、仕事場で「鼻くそトーン」と呼ばれていました。ドラえもんで、のび太の巨大鼻くそに貼られていた柄だから。

コルネットが出ている回では仕上げの時に、「鼻くそ取ってー」とか、「誰か鼻くそ持ってるー?」とか言う声がこだましていたのです。変な仕事場(笑)。

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2005/03/18

ハーメルンのバイオリン弾き 18

ハーメル回顧録の18。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録からどうぞ。

この巻で一番の大仕事。「雪みたいだな」というセリフと共に、ライエルとサイザーが見上げる星空の見開き。宇宙を他の人に任せるわけにはいかないと奮闘。

ここに限らず「宇宙にホワイトで星飛ばしてると、ウキウキしてくるよね」とみんなの賛同を求めるのですが、理解してもらえたためしがありません(笑)。

ちょっとホワイトの濃度が濃すぎて、星が楕円になってるな……。いまさらチェック。時間がね。

さてこの巻では、ストーリーの振幅と周期の話を。今ちょうど、自分の身にも降りかかってる問題なもので。

ストーリーの振れ幅大きいと、読者もびっくりするし予測もつきづらくなって人気出易いんですが。だからと言って、でかくすりゃいいってもんじゃなくて。

読者の予測を裏切るびっくり展開ってことは、逆に言えばついてこれないって事でもあるわけですよ。あんまりやってると、振り回されるのに疲れてきちゃう。そうすると、もうどうでもいいかなー、という気分に。

いいシーンと暗いシーンを交互させるのもそうだし、ギャグとシリアス混ぜるのもそうだし。リスクを取る描き方なのです。ナベ先生は、そんなリスク取りまくりな描き方をする人なのですが。当然リスク管理も考えないと、大失敗になってしまう。

そこで問題になってくるのが周期。ドーンと予想を裏切る急展開をした後、すぐにさらに切り返すと、読者が脱落していく。例えばこの巻の冒頭第72楽章で。

辛い話から入って、だんだんいい雰囲気にしていって、トロンとサイザー和解か? という所まで持っていく。で、どんでん返し、ヴォーカル登場スコア壊滅。フルートに花をくれた女の子まで死んじゃっていて。

こういうことをするのに、前述の通り、45ページが必要だったのです。例えばヴォーカル登場は唐突ですが、その後みっちり惨状を説明して、読者に印象付けている。一度引き離された読者が、追いつくための間なのです。

もしこの周期を短くして、どんでん返しの連続、という描き方をすると、気持ち掘り下げて描くことは不可能になる。読者の気持ちが追いつかない。感情移入させて最後感動、という路線じゃなくて、刺激的な展開で引っ張る描き方に。どっちがいいかは、もう好みですね。

ナベ先生のギャグが一つのネタでしつこく引っ張るのも、シリアスと混ぜてるから、という側面があります。シリアスの中に一コマだけギャグを入れると、見てる方としては、これ笑っていいのかな? と戸惑ってしまう。ある程度の長さがあれば、そこは明らかにギャグだと分かる。

どれぐらいの周期がいいのかは、もう作家固有のものでしょう。その人が何をどう描くかによって決まる。面白い漫画はそのリズムが取れてる。同じ作家でもリズムに乗り損ねると、失敗する。

編集さんのちょっとした一言で、リズム狂わしたりもするんですよね。そこだけ妙にテンポ悪くなって、お話ノッキング起こしたり。漫画は難しいです。

さて次回は。奴が来ます。

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2005/03/09

ハーメルンのバイオリン弾き 17

ハーメル回顧録の17。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

前巻から出てきましたね、ヴォーカル。モデルオイラらしいんですけどね(笑)。

18巻の前書きにもありますけど、オルゴールの後だから、今度は単純にパワーで何もかもぶっ壊すキャラを、と考えたようで。で、どーもその時に、ひろし火山大噴火な様を見ていてひらめいたらしいです。「今度はひろしどんがモデルだから!」と言われました。

なんてことでしょう、失礼千万。こんなジェントルなオイラを捕まえて。

確かにあの頃は若かったですから。不条理な世の中に向かって、しょっちゅう噴火しては「ちくしょー、ぶっ殺すー!」と叫んでましたけど。

そりゃね、ネームにつまったナベ先生に、「ここでフルートに酷い事したいんだけど、どうしよう?」と聞かれて、「せっかくおさげがあるんだから、そいつを掴んで吊るし上げじゃないスか?」(第19巻)とか言ってましたけど。

……おかしいな。

西川先生は口癖だけだったのに、これではオイラがかなり反映されていたことに……。いやいや、そんなことは。

冗談はさておき(笑)。ちょっと暴走気味なんですよね、ヴォーカル。

ページを45ページペースに戻して、ネームは切れが戻っています。30ページだと、ちょっとギャグを膨らましているとすぐに終わっちゃうから、ちっとも話が進まない。45ページなら、たっぷりと心置きなくギャグやって、なおかつ話が進められる。

復讐のコルネットとか、ハーメルと牛さんとか、エロチカサイザーとか(笑)。でもですね、その代償として前述の通り。確実に体力気力共に奪い取られていっているのですよ。

結果として、だんだんコントロールが利かなくなってきて、ヴォーカル暴走気味に。ネームを直す暇もないから、もうどうしようもなくて。突っ走るだけ突っ走って。

いきなりすごく悪くなってるわけじゃないんですが、読んでみるとやっぱり。ヴォーカルの攻めとセリフがちょっと単調な繰り返しになってる。飽きるかもしれない。

正直、ハーメル途中までは買ってたけどっていう人は、ヴォーカル編で脱落してるケースが多いんじゃないかな。古本屋でも、この辺で売られちゃってるのをよく見かけるんですよね。

ちょっとした変化をつければ、なんとでもなるんですけど。ネームを見直す時間があれば、いくらでもいじれるところですが、その時間がなかった。

それがすごく残念。

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2005/03/02

ハーメルンのバイオリン弾き 16

ハーメル回顧録の16。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録をどうぞ。

目次見ていて気付きました。ここからガンガン隔週化。一回当たりが45ページから30ページに減っている。代わりに月二回だから、計60ページに増ページ。

今だから言っちゃうけど、隔週化はガンガンにとって、完全に裏目に出ましたね。最初から対応不可能でよそに移っちゃう人はいるし、残った人もスケジュールがきつくなってガタガタになるし。

世の中週刊誌だってあるんだから、隔週ぐらい出来るっしょ、というのは描かない人の考えで。手の速さには個人差があるから、ムリな人もいる。ナベ先生はもともと週刊誌で下積みしていて、手も速いし一見対応可能だったのですが。落とし穴が。

それまで45ページで話を作っていたもんだから、30ページになったら、ペースが狂った。オルゴール編の事後処理に4回もかかってる。むしろ進みが遅くなって、業を煮やしたナベ先生、こうなったらページを元に戻すしかない、と。

なんと、隔週45ページ!!

月産90ページって、下手な週刊連載より多いじゃん! つーか、元の2倍ですよ!? ここからが地獄でした。

一週間以上缶詰で、睡眠時間は一日二時間。明らかに体に悪いし、頭は働かなくなってくし、みんなイライラしていて人間関係悪くなってくし。オイラも一度些細なことでマジ切れ寸前まで行って、次になんかガタガタ抜かしやがったらぶちのめす! という事態にまで。

他にしゃれにならないやつで言うと血尿出たし。あの時は死ぬかもなと思ったなあ。

第一回に書いた、便器抱えて失神というのもこの頃です(笑)。

トイレに立って用を足してて、あまりの眠さに、ああ、このまま倒れたら幸せだろうなあ、という気分になったんですよね。で、次の記憶が頭の上の方から「川瀬君大丈夫か」という溝渕さんの声。なぜ頭の上から? と目覚めると、便器抱えて倒れてた。30分以上帰ってこないので、おかしいということだったようです。

どうやら水を流して蓋を閉めて頭が下がったとこで、ふうっと落ちたらしい。蓋の上に突っ伏していました。蓋閉めてからでよかったです。じゃないと便器に顔を突っ込む大惨事(笑)。

トイレネタ多くて、すいませんね(笑)。

実際のところ、この隔週化は作品にも大きな影響を与えました。これは次号から。

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2005/02/23

ハーメルンのバイオリン弾き on TV

ハーメル回顧録番外編の3。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録からどうぞ。

とうとう来ちまったですよ、ハーメルのTVアニメ。1996年10月から放送。実はどうしようかずっと悩んでたんですが。

漫画とさっぱり別物だけど、あれはあれでいいと言う人もいるし、かと言って全然触れないのも明らかに不自然だし。でもねえ。漫画家サイドからはあれ、かばい様がないんですよね。

大失敗。

て言うか、ガンガンのアニメで打ち切られたの、ハーメルだけじゃないの? 少なくともあの時点では初打ち切り。

前の年にエヴァがあって、心の闇の部分を描くのがトレンド、みたいな雰囲気だったんですかねー。オルゴール編がそんな感じだったから、誤解されたかもしれない。でも前述の通り、ナベ先生は人間賛歌万歳な人で、あれもそのために描かれた話だから。

根っこの部分をいじられて、さらに結果も出ないんじゃ、かばい様がないですよ。

なんだかんだ言って地上波の宣伝力はすごいから、パプワ君にしろグルグルにしろ、アニメ化をきっかけにヒット作からメガヒット作へとグレードアップしたのですが、ハーメルはさっぱり。あれがもちっとまともだったら、単行本ももっと出てて、今の「37巻だけ買えません!」みたいなこともなかったかもね。

ささ、暗い話はこれぐらいにして、面白裏話を。

その1。だまし討ちだったんですよね、あれ。それが証拠に、スポンサーに食品メーカーがいて、そこが作った関連商品のおまけに。丸太抱えたフルートの人形が!

多分漫画見せられて、こんなの作りますって聞いてたんでしょうね。サイザー助けに行くとこですよね。フルート丸太で大暴れ。そんなシーンアニメにゃ全然ないし。とんだ赤っ恥(笑)。そりゃスポンサー撤退するわなー。「アニメの現場なんて、そんなもんだよ」と昔アニメーターの某先生が、若かった僕を諭してくれました。

その2。最初の主題歌は「Skirt」という新人アイドルユニットが歌ってたのですが。作詞作曲高見沢俊彦。…アルフィーの!

デモテープ仕事場に送られてきたんですが、歌ってるの本人なんですよ。幻のアルフィーが歌う主題歌、「MAGICAL:LABYRINTH//」。サビの所が「ラ、ラ、ラ、マジカル・ラビリーンス!」という、男が歌うにゃ勇気のいる歌詞なのに、なぜかかっこよく聞こえるから不思議です。

ラスト、その3。ナレーションの声を当てていたのは麦人さん。ピカード艦長!! 僕の影響でスタートレックにはまったナベ先生。むしろ僕を通り越してネクストジェネレーションLD全話を買い求める熱中振り。本人を前にして大感激。

ところが宴席で酔っ払った麦人さん、くだらない与太話をするんだけど、当然声はピカード艦長のまま。ああっ、あの知性溢れるピカード艦長がっ! とナベ先生の嘆き。

嘆いたナベ先生、どんな話だったかを僕に話して、一緒にがっかりしようよーと迫ってきましたが、断固拒否しました。…いや、結局無理矢理聞かされたんですけどね(笑)。オイラのピカード艦長がー!

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2005/02/17

ハーメルンのバイオリン弾き 15

ハーメル回顧録の15。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

表紙カバーの巻頭前書きにも書かれていますが、このオルゴール編を描いていた時のナベ先生、ぶつくさ言いっ放しでした。ああ嫌だ、胃が痛い、と。

オルゴール編辺りから変に心の闇を取り上げたもんだから、誤解されてる気配なんですが、ナベ先生は暗い話、大嫌いなんですよ。

じゃあなぜ描くかと言うと、夏の日差しの絵みたいなもんで。濃い影を描いてコントラストを出せば、日差しの明るさが目立つ、という方式。だから嫌いなんだけど、最高にきついやつを考えて、キャラクターたちに試練を与える。全ては最高のハッピーエンドのため。

オルゴール編もこの巻の最後、ハーメルの過去を全て受け入れたフルートがハーメルを救うシーン。子供ハーメルが鎖に繋がれ引き回されて、お母さんと思ってすがってみたら。見上げるとそれはフルートで、過去の象徴である鎖が砕け散って、過去のくびきからハーメルが解放される、というシーンのためにあったわけですよ。

基本的にナベ先生は「人間賛歌なんじゃあー」と叫びながら、漫画描いてる人ですから。オイラもなんですが、よく「人間の心のドロドロした所を描いているから、リアル」というフレーズを聞いては、それは違うんでねーの? と。

描きゃいいってもんでもねーべさ。何のために描くのかが分かって描いてねーと、意味ねーべ? 読者に嫌な思いさせっ放しじゃ、何のためなんさ? と、二人で語っていたものです。何でなまっているのかは謎(笑)。

ただ、このコントラストを出す方法。完遂するのは非常に難しい。暗い話が得意な人は、物の見方がもともとそっち寄りの場合が多いから、逆にハッピーエンドが描けない。描いてもいまいち信じてないから、取って付けたような感じになっちゃう。

ハッピーエンドが描ける人は逆に、優し過ぎて辛いシーンが描けない。キャラクターが可愛くて、虐められなくなってしまう。わが子を千尋の谷に突き落とす、獅子の父親のような強い気持ちが必要なんですが、なかなか。

両方本気で全力投球というのは、一種才能だと思います。

ちなみに前書きの写真。みんなでツーリングに行った時のですね。懐かしいなー。

ナベ先生の後ろに写っているのがオイラと愛機レイド君。「ツーリングに行くから、買え。強制!」と言われてお金を借りて買い、慣らし運転もしないまま引っ張り出されて。ですが未だに壊れることなく、オイラの足として活躍している健気なマシンです(笑)。

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2005/02/11

ハーメルンのバイオリン弾き 劇場版

ハーメル回顧録番外編の2。劇場版アニメについて。1996年春公開。

エニックスのアニメ祭り、みたいな感じで作られたんですよね。3本立てで、他はロトとグルグル。長さも50分ほど。TVアニメなら2話分。前後編だと思えばちょうどよい。

だからそんなに張り切った作りじゃなくて、漫画どおりの雰囲気で、ちょっとしたオリジナルの話。仕事場の評判としては非常によかったです。

特に僕が好きだったのは、フルートロボ。あのポンコツ振りが(笑)。形は丸く、色も赤くて、ちょっとロボコンを思い起こさせる所もいいですね。

仕事場に何度か、監督さんがナベ先生と打ち合わせするためにいらしてたのですが。隣の和室で打ち合わせしてたんだけど、仕事場広く使うために、ふすまが取っ払ってあったのです。だからオイラの後ろで打ち合わせいていて、その様子が丸分かり。

すげえ、ほんとにアニメになるんだ、とドキドキしました。

確か仕事場みんなで見に行って、平日昼間で他にあまりお客さんもいなかった。まさか後ろのほうでガヤガヤやってたのが、原作者とその御一行様とは思うまい。

エニックスのアニメ祭りは確かあれっきりだったと思うのですが。まあ、無理に劇場版を作らなくても、TVアニメに出来れば、雑誌としては十分だしね。

というわけで、ハーメルもTVアニメになるわけですが、それにはいろいろ問題が……。それはまた今度。

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2005/02/04

ハーメルンのバイオリン弾き 14

ハーメル回顧録の14。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

この巻では、フルートに焦点を。

オルゴールの登場により、ハーメルの過去が暴きだされ、みんな精神的にいっぱいいっぱい。厳しいエピソードが続きます。そんな中ハーメルに、スフォルツェンドに帰れと言われたフルート。大ショック。みんなと別れてとぼとぼと。とうとう行き倒れ寸前に。

そしてトロンに拾われて、ハーメルのことが好きなんだろー? と問い詰められて、はっと気付いて。前を向いて立ち上がる。ヒロインとして大車輪の活躍。

いえむしろ、ヒロインとしてはちょっと異色。読み返してて感じたんですが、少年漫画のヒロインじゃない。これは少女漫画の主人公のようだ。

ハーメルは女性読者にも人気がありました。まあ、キャラクターを並べてみれば、かっこいいにーちゃんがたくさんいるから、別に不思議じゃないのです。そういう少年漫画は他にもたくさんあるし。ただ、まだサイザーは分かるとして、フルートも女の子たちに評判が良かったのは、珍しいケースじゃないかなあ。

同性に好かれるキャラと、異性に好かれるキャラは若干違います。同性は親近感で見るし、異性は憧れの目で見るから。そして作家にとって描き易いキャラもそうなります。身近な同性と憧れの異性。

憧れの同性は、自分の憧れを反映させれば描けるから、異性の読者にとって身近な異性を描くのが、作家にとっては一番難しいことになる。女性作家が男受けのする男性キャラを描くのと、男性作家が、女受けのする女性キャラを描くこと。

ただ最近ではデータも貯まっているので、いくつかパターンが開発されてて、そのテンプレートに沿ったキャラなら何とかなる。サイザーなんかはそれに近い形だから、まだ分かる。でもフルートは異色。

女の子の内面も掘り下げて描こうとしてるのが良かったのかな、と。この巻ではそれがよく出ていて、フルートの心の揺れ動きが描かれてる。

当然女性ほどには女心に通じているわけじゃないんでしょうけど、それでもその部分が描かれていることが女性読者にとって入りやすかったんじゃないかな、という推測。実は僕はわりと少女漫画を読む口なんですが、読める漫画がそのパターン。男の子の気持ちがちゃんと描いてあるやつなら読める。

ナベ先生は別に少女漫画を読んで育ったわけじゃないし、どうしてそういう感覚なのかは不思議なんですが。

でも、そう言えば。溝渕さんと仕事中、おかしな遊びをしていたな。顔から火が出るような恥ずかしいラブコメを考えようという遊び(笑)。ペンネームもこっぱずかしいの考えてたけど、なんだっけ……?

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2005/01/29

ハーメルンのバイオリン弾き 13

ハーメル回顧録の13。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

という訳で、前回を受けて。オルゴールの秘密とは……! なんと、モデルが!

西川秀明先生です!!

……嘘。というか言葉足らず。このままでは西川先生が、オルゴールみたいな酷い人ということになってしまう。

正確に言うとですね。オルゴールの口癖ありますよね、「あー、楽しい」ってやつ。あれが当時西川先生の口癖で、それを頂戴したのです。

あの頃西川先生は、傍から見ていて心配になるぐらいの、物凄いハードスケジュールで仕事していて。そんな西川先生に大丈夫ですか? と聞くと。

「だいじょぶ、だいじょぶ。人間死ぬ気になれば、死ねるんだよ」「それじゃ、駄目じゃないですか!」「あー、楽しい。ヒヒヒ。漫画楽しいなー」という会話の流れ。明らかにヤケクソ気味で、楽しそうではないそのセリフが採用されたのです。

オルゴール自体は、前述の通り、魔界軍王サイドがかなり弱体化したのを受けて、考えられました。その時、ただ単純に強いキャラを出しても、ドラムとかがいたので、焼き直しになってしまうと。違う攻め方を考えなくてはいけなくて。

力押しじゃないなら、搦め手で。人の弱い所を突くというのはどうだろう、という発想。それに、いろいろ仕掛けをするわけだから、道化師なんてどうだ、で、西川先生の口癖を借りてきて……、となったわけです。

ちなみにモデルがいるキャラはあと一人いるんですが、それはまた、その時に。

あと、この巻では。パンドラ母さんが出てきますが。これまたすごいキャラですね。

実は必然性があるんですけどね。父がオリンじーさん、息子がハーメル。明らかに血筋(笑)。でも手伝っていて、お母さんで当然ギャグはやるよ、と聞いてはいたのですが、ここまですごいとはなー。

モデルという意味では、意識していないでしょうけど、パンドラ母さんナベ先生ですね。あの被害妄想(笑)。そりゃ当然、妄想行き過ぎて悪魔の血判状とか、街に火をつけるとかはしませんが。結構妄想止まらないタイプなんですよね。

そうなると周りはなだめるのに大変な訳で(笑)。幼少の頃のハーメルの苦労が、ちょっと分かったりするのです。

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2005/01/18

ハーメルンのバイオリン弾き 12

ハーメル回顧録の12。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

「点描」というテクニックがあります。細かい点々を打って、ほんわかしたムードを醸し出すのに使ったりします。「おどろ」というテクニックもあります。短いカケを使って、その名の通り、おどろおどろしい雰囲気を作るのに使います。

どちらも最近見なくなったテクニックなのですが……。得意なんですよね、オイラ。

ナベ先生のアシスタントの使い方の特徴は、その人の得意な物をとことんやらせる、というもの。普通そうじゃないの? と思うかもしれませんが、徹底しています。

この前の巻辺りから、溝渕さんがスタッフに加わっているのですが。溝渕さんは最初から達者な人だった。それに気付いたナベ先生、溝渕さんにどんどん難しい絵を回す。特に魔物の類や、グロ系の死体の山。

この巻ではまだ別の人が描いてますが、この後溝渕さんは「死体アシ」として、いやーな絵ばっかり描く羽目になるのです。そしてオイラは。

前述の点描やらおどろやら、とにかくこまごました物。カケアミ、ベタフラ、後多かったのはギャグ背景に咲き乱れてる花! サイザーが来てから、ライエル妄想大爆発だから、やたら描いたなー。

この巻で点描というと、例えばフルートとホルン様の周りに、ぐるーっと打ってるやつ。あれ打つの辛いんですよね。ひたすら単純作業で黙々と。なんかトランス状態になってくる。点描マシーンという感じ(笑)。 

得意な物を徹底してやらせるというのは、作業効率と品質の維持という点ではいいのですが、それが漫画家を目指してるアシにとっては負担だったりしたのです。月の半分仕事に入ってて、得意と言えば聞こえはいいけど、同じ物しか描いてない。これじゃ上手くならないんじゃないかと、気持ちばかり焦る。

オフに練習すればいいんだけど、オフは持ち込みのネームで手一杯になってる。人の仕事で練習させてくれとまでは言わないけど、まったくチャレンジできない状況は、苦痛でした。あの頃、溝渕さんがうらやましかったなー。

しかも、この後ほんわかしたムードに使えるトーンがいろいろ発売されて、点描なんか死滅したテクニックに。ナベ先生の仕事場だけで通用する、「ひろいら」というトーンの呼称があります。「浩要らず」の略。ひどいでしょ(笑)?

おどろとかナワアミとかも、もう見ない。散々描かされたのになー。悔しいから自分の漫画で使うか。

さて、ライエル妄想大ブレイク、いかがわしいおピンク妄想(笑)の影で、登場しています、オルゴール。ハーメルとライエルの過去を暴くこの悪役。ドラムがやられ、サイザーが寝返って、弱体化した魔界軍王サイドを補強するために登場したわけですが。

このキャラには実は隠された出生の秘密が……。以下次号。

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2005/01/12

フルート投げゲー

ハーメル回顧録番外編。ハーメルのゲームについて。

検索で「ハーメルンのバイオリン弾き ゲーム」というのが来てました。あのゲームのことですね。

1995年、エニックスから出たゲーム。当然仕事場にも送られてくるのでやりましたが。爆笑物。なんと言ってもフルートが。

ゲームの趣旨が明らかに、「いかにフルートを上手くこき使うか」になっている。ハーメルの攻撃でも敵を倒せるのですが、フルートを投げつけたほうが明らかに強いのです。しかもフルートが不死身です。失敗して谷底に落ちても大丈夫。ちゃんと戻ってくるから。その姿が面白いと、ナベ先生、わざと落として遊んでました。

やりこむにはセーブ機能がないなどの不備があって、そんなに評判にはならなかったようですが。

ゲームといえば仕事場で、RPGの話題になって。ゲーム好きの子が、シナリオがへっぽこで困るゲームがたくさんある、と。で、エニックスは漫画家を抱えているわけだから、漫画家に話作らせればいいんだよ、と無責任なゲームシナリオを作ろうという遊びに発展。

仕事疲れているのを紛らわす遊びなので、みんな勝手なことばかり。大爆笑必至だけど、金かけて作るには勇気のいるものが出来てました。

ハーメルRPGとかの企画があったら、すごいの作ったと思うんですけどね、僕ら。きっと通らないけど(笑)。

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2005/01/04

ハーメルンのバイオリン弾き 11

ハーメル回顧録の11。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録からどうぞ。

悲しき運命を背負ったサイザー、瀕死の重症。まさに事切れんとした時、フルートの中でスフォルツェンド王家の血が目覚め、サイザーを救う。

目次見て思い出したですよ。この巻、恐怖の大増100ページの巻だ。第45楽章が、前後編に分かれて100ページある。辛かったなー。描いても描いても終わらない。完成した原稿の束の、分厚かったこと!

人気が出て読者サービスはいいですが、死んでしまうですよ、ほんと。

ただ、転んでもただでは起きません。前後編をうまく使ってる。前編でサイザーの過去総ざらい。シリアスモード全開で。そして後編、始まってます。サイザー、ギャグキャラへの道。

まずは小手調べ、サイザーをネタに周りがボケるパターン。そしてその次の回では、とうとうサイザーがボケに回る。世間知らずを利用され、コスプレ三昧。しかも、ワルキューレ達が、初めてセリフ付きだと思ったら、かしましいこと。これでサイザーも、立派なパーティーの一員に(笑)。

そして、サイザーの加入に押し出される形で、コルネット退場。ここからが凄いんですけどね(笑)。

さて、真面目な話。シリアスモードの前編で、サイザーが「こんな私が……許されるわけがない……」と言うセリフがあるのですが。仕事場でまさにそれが論点に。

いくら騙されてたとしても、あまりに悪事を働きすぎている。どう罪を償うのか。このまますんなり、なかった事には出来ないはずだ。仲間になったとしてもサイザーは最後、死ぬべきじゃないのか。

すいません、僕は死ぬ派でした。都合よすぎるような気がして、命であがなうテンションじゃないとおかしい、と思ったのです。

この辺、どこまでやるかは難しい。あんまり突っ込みすぎると、自分で首を絞めることになる。理屈ばっかりで話が動かなくなってしまう。でも、あまりに適当だと、御都合主義の謗りを免れない。

結局サイザーは死にませんでしたが、オカリナ、ブリュンヒルデが身代わりに。本人がその苦しみを背負う形で、贖罪ということに。単純に命であがなうよりも、むしろ苦しい選択です。

それに、最後まで読んだら、これでよかったんだと思います。これでもかというハッピーエンドですが、もし誰かが欠けてたら、あの読後感はなかった。これだけ長い漫画に最後まで付き合ってたら、力技でもいいから、大団円が見たいでしょうし。

長い連載の中で、いくつか分岐点がありましたが、ここはその一つ。間違ったほうに足を突っ込まなくて、よかったと思います。

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2004/12/26

ハーメルンのバイオリン弾き 10

ハーメル回顧録の10。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

何書こうかなー、と10巻を眺めていて、はっと気付く。冒頭の、サイザーがパンドラの箱を開けて、魔族達を吸い込むところの大渦巻き。オイラが描いた!

よかった、少しは成長してるんだ。何しろこの回顧録を書くに当たって読み返し、昔の自分の下手さっぷりにかなりショックを受けたので。まあ、もっと上手い人はたくさんいるけど、とりあえず、これぐらいは描けるようになったんだね。昔の自分に語りかけてみたり。

他に何描いたっけなー、と見ていて発見。ハーメルがバイオリン弾きながら大気圏突入している宇宙の絵と、ライエルが耐熱服の説明している所のバックの宇宙の絵。宇宙といえば川瀬君だよ! とナベ先生の御指名。

と言うほどの絵じゃないですが。大体ライエルの後ろ、火星探査スーツと言いながらなぜか月面、しかもいい加減なクレーター。ギャグ背景だしね(笑)。懐かしいなー、と思っただけです、はい。

さて本題。この巻で、サイザーの悲しい過去が明らかになるわけですが。

美人でナイスバディなんだけど、言葉遣いが乱暴で男勝り。正直、非常によく見かけるキャラクターです。よく見かけるというのはそれだけ人気がつきやすいからで、サイザーも例に漏れず。

漫画のキャラクターって、まず一番目立つ部分を、前面に押し出さなきゃ駄目なのです。はっきり特徴付けないと、読者に印象付かないから。だからその時、紋切り型のパターンに嵌りやすい。

パターン化されたキャラクターと言うと、ネガティブなイメージですが、要はそこでいろいろ工夫を凝らして、魂吹き込めるかが問題なわけで。そのままだとペラペラの人物像になっちゃうから、キャラクターの裏側とか、意外な面とかを作って厚みを出していく。実際の人間だって裏表あるわけで、そうすることでリアリティーが出てくる。

サイザーはこの巻で生い立ち語られることによって、完全にキャラが立った。

ものすごく強いキャラクターとして描かれていたサイザーの、心の奥底に秘められた弱さ。母の温もりを知らず、頼るものもなく。仮面の下に自分を押し殺して生きてきた。

こうして、ものすごい戦闘力を持ちながら、繊細で傷ついた魂を持つという二面性を備えたキャラとして、サイザーは完成。この手の二面性を持つキャラは、うまく作るとほんとに魅力的になります。

そう言えば、スタートレック・ヴォイジャーのボーグ美女、セブン・オブ・ナインがまったく同じパターン。いいキャラなんですよねー、セブン。本国アメリカじゃ、人気が出すぎてストーカーに襲われたって話。オイラもナベ先生も好きなんですよ、ヴォイジャー。セブンとドクターの絡んだ回は特に秀逸で……って、すいません、脱線(笑)。

サイザーのキャラ立て、ここまでだったらやる人は他にもいると思うんだけど、ナベ先生はここから先が。どんなシリアスキャラも、必ずいじられる。サイザーも御多分に漏れず、立派なギャグキャラになるわけですが……(笑)。それは次回から。

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2004/12/23

ハーメルンのバイオリン弾き 9

ハーメル回顧録の9。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

コルネットの頭にかぶりついているブルーサンダーが、つぶらな瞳でキュートでナイス。

すいません、唐突で。ナベ先生がたまに描く、テキトーな動物が結構いい味出してて好きなので。12月号のカスタードくんの、餌にされてる子犬とか(笑)。

犬といえば表紙カバーの折り返しに、ナベ先生の家のプーちゃんが写ってますが、僕の家の犬もプードルのプーちゃんでした。二匹とももう亡くなってしまっていて、月日の経つのは速いなあと。しんみり。

えー、なんでこんな書き出しなのかというとですね。いつもはなるべく一つのテーマを追っかけて書くようにしてるんですが、8巻9巻とペースを整えるインターミッションなので、掘り下げるテーマが無くて。というわけでつらつらと、思いつくままに今回は行きたいと思います。ご容赦のほどを。

さて、コルネットのフルートいびりはこの巻も続いています。ちなみにヒンズースクワットの絵のプロレスラーは小橋選手がモデルです。現在NOAHの絶対王者小橋選手、あの頃はオレンジ色の青春の握り拳でした。…プロレス好きじゃないと分かりませんね(笑)。

この巻でとうとう、クラーリィもギャグキャラの仲間入り。ナベ先生はかっこいいキャラに、馬鹿なことをやらせるのが大好きです。ものすごいシスコンにされてしまいました。「妹に手を出す奴は許さん!! この兄が消しズミにしてやる!!」と叫んでますが、そういや、トロンとコルネットが結ばれるときはどうだったんでしょうね。

ナベ先生はギャグを引っ張るのも好きです。こんなに適当に出てきたポセイドン様。この後も出てきます。この手のとっぴなギャグのアイディアをどうやって出しているのかというと、ほんとにさらっと思いつきで。マジでナベ先生はある種、天才だと思います。

ナベ先生の仕事場からはデビューした人、連載取った人が結構出ていますが、誰一人師匠に似ていません。みんな早い段階で気付くのです。駄目だ、あれは天賦の才能だ、真似したら火傷する(笑)。

だってね、仕事中に疲れてきたとき、誰かが無理難題を言うわけですよ、唐突に。「ナベせんせー、なんか面白いこと言ってー」「えー、そんなこといきなり言われてもなー、○○とか?」その切れ味のすごいこと。

たとえば今のカスタードくんでも。「これからこうしようと思うんだ」「ああ、いいですねー、じゃあこーなったり、あーなったり」「ああ、それもいいねー、そうしようかな」 でも出来上がったものは、オイラのイメージを遙かに超えてる。そんな凄い事になるとは(笑)。

さて、前半はインターミッションですが、後半は。サイザーが出てきてまたまた話が動き始める気配。そういやスラー聖鬼軍もプロレスですね。川田&田上組で聖鬼軍。ちょうどそれが発表された後楽園の試合、見に行ったの思い出した。

ワルキューレたちがこの回から、個性のついたキャラになってます。これがまたアシ泣かせで。「どれが何番?」とみんなで混乱していた記憶。同時にぞろっと出てくるから、ややこしくて。

今回は取り留めなくきましたが、次回はびしっと。何しろパンドラの箱発見。サイザーの真意が明らかに。

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2004/12/14

ハーメルンのバイオリン弾き 8

ハーメル回顧録の8。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録からどうぞ。

スフォルツェンドでの激戦も決着がつき、第2部がスタート。そしてこの巻で、世界の運命を左右する重要な(?)キャラクターが登場します。

大神官クラーリィ・ネッドの妹、コル・ネッドです。

一山超えてシリアスモードになっているストーリーを、また楽しい雰囲気にリセットすべく、フルートの恋のライバルとして登場した魔闘家コルネット。まさかそれが後々あんなことになるとは、このとき誰も思っていませんでした。ええ、ナベ先生本人でさえ(笑)。

マンガのキャラクターはもちろん作者が考えて作り出しているのですが、上手くはまると作者の駒としてではなく、まるで生きている人物のように勝手に動き始めます。そして、中には親である作者の言うことを聞かずに、好き勝手暴れ始めるキャラもいるわけで。

コルネットは最初ちょっと可愛い妹キャラを出そう、と言う目論見だったのですが、暴走。ものすごいギャグキャラに成長して、終いにゃ魔族化、スフォルツェンドを壊滅の危機に落としいれます。あげく、世界を救うのです! これだけ読んでたら、なんのこっちゃという感じ(笑)。

ちなみに第3回で書いた、再登場のタイミングを失ったキャラは、このコルネットです。破壊力ありすぎて出しづらくなって。でも最終決戦ではみんなを登場させるつもりだったから、どうしようと。で、ナベ先生の出した結論が、一世一代のギャグオチとして使おう、というもの。それであんなことに(笑)。

ほんと、最初は大人しい、可憐なタイプの妹キャラというアイディアもあったんですよ。元気な子の方がいいかな、というナベ先生の判断が、巡り巡ってあそこまで。

キャラクターはナマモノです。だから予想がつかなくて面白いんですけどね。

そうそう、タイミングを失ったといえば、巻末に載ってる番外編。特にハープ先生のお話が。単行本に収録するタイミングが無くて、ここに載っているのですが、描いたのは2年近く前。昔描いたものって、本人にとっては見るのが辛いのです。当然今のほうが上手くなってるから。ナベ先生が、うわー! と頭を抱えていた姿を思い出しました(笑)。

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2004/12/09

ハーメルンのバイオリン弾き 7

ハーメル回顧録の7。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

6巻7巻と、スフォルツェンド攻防戦盛り上がってます。ここで人気がブレイクしたのは前述のとおり。今回はその要因となったであろう、「引き」の技術について。

実は最近気になっているのですが。最近の漫画は「引き」が弱くなった。「引き」というのは漫画のストーリー構成で使う用語で、連載漫画で次回に話を引っ張るテクニックのこと。特に黄金期の週刊ジャンプで多用され、正直こいつだけで人気を保たせていた漫画もあるぐらい。(ドラゴンボ…いやいや、そんな。ねえ)

やりすぎちゃうと、後でどうにもならなくなって破綻をきたす「引き」のテクニックですが、うまく使えばほんとに盛り上がる。

漫画の絵のテクニックについてはいろいろ語られることが多いのですが、ストーリー展開のそれについてはあまり聞かない。そこで、ちょっと解説してみようかな、と。

6巻7巻は、実はずっと同じ構成でストーリーが続いてます。最初ちょっと優勢、それが逆転されピンチになり、各回のラスト付近で盛り返すのか? となったところで次回へ続く。読者がよーしここからだー、と盛り上がったとこで次に回しちゃう。おいしいところは次回へ、気になるから次も見なくちゃ、という作戦。具体的に言うと。

ドラムの前に立ちふさがるクラーリィ、「スフォルツェンドはこの俺が守る!!」で次回へ。

戦ったはいいが歯が立たず、ドラムにはやはり勝てないのか、となったところで実はそれは作戦。「今…地獄に送ってやるぜ! バケモノ!!」で次。

封印成功かと思いきや、ドラムには通じず、ぼろぼろにされるクラーリィ。こうなったら自己犠牲呪文で、となったところに「愛の勇者ライエル参上!!」で次へ。

「5つの大きな希望」がやってきて、形勢逆転、こりゃいけるとなった時、本部をギータが急襲。ホルン様大ピンチ。しかし、そこで弱虫トロンが勇気を出して立ち上がる。「余はスフォルツェンド守護国ダル・セーニョの王子! トロン・ボーンだ!!」ここで7巻に続く。

立ち上がったはいいけど、やっぱりギータには勝てない。トロンはぼろぼろ、ホルン様とフルートも襲われる。フルートをかばうホルン様に、とうとう言えなかった一言が。「お母さん!!」フルートの悲痛な叫び、その声に応えるかのように、とうとう主人公ハーメル参上。「貴様らにふさわしい葬送曲を弾いてやる!」

ハーメルの活躍によりギータを退ける。残るはドラムのみ。「ゆくぜ。戦いはまだ終わっていない」「ああっ!!」「ゆくぜ! フルート!!」「はいっ」「ドラム退治だー!!」かっこよく飛び降りる三人。

ドラム倒せるかと思ったら、なんと完全体に変形。めちゃ強し。こうなったらみんなで力を合わせて。「ゆくぜぇ!! みんなあ」「おお!」それを遠くから見つめるサイザー、はたして。

ところが完全体ドラム予想以上に強い。このままでは作戦失敗か、という時。北の都からベース体(リュート)が加勢。(伏線ですね)最後はハーメルの一撃。謎の力が炸裂。これまた伏線を張りつつ、しかしスフォルツェンド攻防戦、決着。

長々と書いてきましたが、気が付いて頂けたでしょうか。必ずと言っていいほどラストのコマに決め台詞があり、ドンと決め絵で終わっている事に。これが「引き」です。これ以外にもいろいろな手がありますが、ラストにインパクトを持たせて次回へ繋ぐテクニックです。

ナベ先生はハチャメチャなギャグがあったり、勢い任せに見えたりしながら、こういう基本的な構成力がしっかりしているので、ハーメルをストーリー漫画として成立させることが出来たのですね。合間に「パンドラの便器」だの「巨大フルート」だの入ってくるので、分かりづらいですが(笑)。

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2004/12/03

ハーメルンのバイオリン弾き 6

ハーメル回顧録の6。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

パーカスが、クラーリィが呟いています。「来たか、”千億の絶望”どもめ」

アシスタントも呟いています。「ほんとに絶望じゃよ!」

だってもうモブの多さときたら……。メインキャラは先生が描くわけですが、ザコ兵どもはアシスタントが描くわけですよ。”千億の絶望”と称される魔族の大群と、それを迎え撃つスフォルツェンド魔法兵団全勢力。描いても描いても終わらない。

これがキャラ同士1対1のバトルなら楽なんですが。キャラ描く先生が苦労するだけで、背景は集中線や流線ばっかりになるし(笑)。戦争になっちゃうともう大変。街は吹っ飛ぶ、人々は逃げ惑う、アシスタントは泣きそう。

しかし半泣きの苦労は報われました。この第二次スフォルツェンド大戦は非常に評判がよかった。と言うより、この辺で人気がブレイクして、ガンガンの看板作品のひとつにと成長していったのです。

長いストーリー漫画で人気が出るものは、最初の大きな山場でブレイクする場合が多いようです。それまでじっくりキャラクターを育ててきて、読者との距離を近づけておいて、いざ、というパターン。

人気を狙って最初から大仕掛けを打つ漫画も多いけど、キャラが育ってないことには意味がない。事件だけではニュースの見出しと同じです。人物に密着して、ドキュメンタリーの状態に持ち込んで初めて、感情移入して見ることが出来る。

ハーメルは5巻までがっちりその辺積み込んであって、それが花開いた。

編集部のナベ先生の扱い、変わったことで人気を実感。前の年の忘年会では、ナベ先生はその他大勢だったのです。僕らと一緒に楽しく騒いでいた。ところが。

この年の忘年会では編集さんががっちりガード、偉い人が入れ替わり立ち代り挨拶に。ご飯を食べる暇もなくて、帰りのタクシーで「腹減った、死ぬ……」と呟いていました(笑)。人気商売は怖いです。人の価値まで変わっちゃう。

さてこの巻は見せ場いっぱいですが、次の巻に繋がっているのでそちらでまとめてコメントするとして。この巻で「ハーメルンのバイオリン弾き」全体を見渡しても屈指の重要人物、この人から全てが始まったという(笑)史上最高の発明家、オリンじいさんが登場します。

何しろこんな変態爺さんのくせに、昔は美形の天使です。神様から魔族を封じるように命ぜられて地上に降りてきた勇者だったのです。嘘みたいなほんとの話。

ハーメルが大魔王ケストラーの血を引き、双子の妹サイザーが天使の血を引いてるとすると、確かに母方に天使がいないと辻褄が合わない。でも何もあの爺さんじゃなくてもねえ(笑)。

面白ければ何でもありなところも、この漫画のすごいとこですね。

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2004/11/24

ハーメルンのバイオリン弾き 5

ハーメル回顧録の5。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

5巻は何といってもフルート。スフォルツェンドのお姫様だったことが判明。さらに衝撃、実母ホルン女王と再会。そこで初めて素性を聞かされ、それを受け入れられない。さらにはハーメルのバイオリンを直すため、こっそり別れを決意して…。もう大活躍。

ヒロインが実はお姫様だった、というのはベタな展開といえばそうなんですが。ベタ、いい言い方をすれば王道。そうすると盛り上がるもんだからよく使われていて、ベタだね、と言われるようになっちゃったわけで。つまるところ問題は、引っ張り方がうまいかどうかに尽きる。面白ければいいのです。

そういやこの当時やたらと、これからは熱血ですよみたいに言う人がいたなあ。でもそう言って作ったものって大概つまんないんだよね。熱血だと自分で言ってる時点で終わってる。ほんとに熱い血潮を持つ人は、わざわざ断らなくても、自然とそうなる。

5巻になるとかなりテンション上がってきていて、感情大爆発という感じですが、ナベ先生が編集さんに言われたことが。

「よくこんな恥ずかしいこと、照れずに描けますね」

言われたとき、何のことだか分からなかったそうです。確かにこの王道の展開、このハイテンション。描くには照れてしまいかねない。そういうセリフもたくさんありますし。でもナベ先生いわく、「恥ずかしいことだなんて、全然思ってないのに」

結局、これは熱血なんだと言い聞かせなきゃいけない人には熱血は描けないし、王道を恥ずかしいと感じる人には、王道は描けない。描ける人は素で描ける。それが才能なんだと思います。

よく才能を語るときその多少を語りますが、あるなしよりも、才能の「色」をもっと重視した方がいいんじゃないかなーと思うのです。ナベ先生の才能の色は、「王道の展開、無理矢理なギャグ」に向いていたわけで。放っておいてもそうなっちゃう。それの結晶がハーメルンのバイオリン弾き。

そのほうが売れ線で受けるから、という編集部の意向からか、苦しそうに漫画を描いている人を見ると、かわいそうに、きっと違うやつのほうが向いているのになあと思うわけですが……。人事じゃないよ? 明日は我が身かも知れないんだから。

さて、この王道の展開は、次の6巻から始まるスフォルツェンド攻防戦で、ひとつの山を迎えます。乞うご期待。

そうそう、スフォルツェンド攻防戦と言えば押し寄せる魔族達、「千億の絶望」。これがアシスタントにとっても千億の絶望で……。これも次回で(笑)。

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2004/11/16

ハーメルンのバイオリン弾き 4

ハーメル回顧録の4。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。

だいぶ仲良くなってます、僕とナベ先生。その跡が単行本からうかがえます。3巻にはナベ先生サイン付き直筆カラーイラスト、温泉に入っているサイザーが描いてありますが、4巻はなんと。

凶羅が(笑)。

「うしおととら」の。流行ってたんですよ、仕事場で。前述のとおり、漫画の好みが一致して意気投合した二人なので、好きだったんです二人とも。「うしおととら」。フォローで後ろにメーテルのコスプレしたサイザーが描いてあります。「銀河鉄道999」も二人とも好きなのです。5巻になるとフォローもなし(笑)、堂々と「宝島」のシルバー描いてお終い。

仕事でも進歩の跡が。初モブが載ってる。モブというのは通行人等、背景の群集のことです。通常アシスタントのお仕事。うわ、でも下手だな、浮いてるし……。うまい先輩アシさんがいたので比べると差が歴然。がっかり。

4巻ではサイザー大活躍。ハーメル、トロンの過去も明らかになってきて、さらにはフルートの素性にも伏線が。初めて世界全体の様子が分かってくる。小出しにしていた設定が形を成してきています。

この頃のナベ先生の衝撃発言。「母をたずねて三千里みたいな話が描きたくて、ハーメル描いたんだ」

いや、確かに母をたずねて、北へ向かってますが。誰も信じませんよ、そんなこと(笑)。でも物描きってそうなんですよね。いろいろなものを吸収して、それが自分の肥やしになって吐き出している。ほんとにゼロから創作した物語なんてこの世にはなくて、何かしら聞き知ったものの影響を受けている。

問題は未消化のまま、原型がしのばれる状態で吐き出しちゃっている人。俗にパクリと言われちゃう状態。最近よく見かけます。見たものが自分の栄養になっていない。さらに言えば載せる方も、それでも売れるならいいかという風潮があるので、どんどん増えちゃう。

でもそれじゃ新しいものは生まれない。縮小再生産。ちゃんと消化して吸収して、違う物にして吐き出さなきゃ。

ナベ先生も当然いろんな漫画やアニメを見て育ち、たくさんの影響を受けているわけですが、吐き出すときにはこのように。渡辺道明風味のものになっている。

自分もそういう個性を確立して、仕事していきたいなと思うのです。

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2004/11/10

ハーメルンのバイオリン弾き 3

ハーメル回顧録の3。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録をどうぞ。

第3巻。ハーメルの正体がとうとう明らかに。そしてトロンが登場。さらにはサイザーがみんなの前に舞い降りたところで引く。フルート、オーボウ、ライエルとあわせ、後々のパーティ主要メンバー揃い踏み。

でも実はこのメンバー、意外に出入りがあります。結構別行動を取っている。これはキャラクター配置を考えた結果。

漫画って新キャラ出てくると盛り上がる。それでお話引っ張れたりする。でも人数増えるとキャラがかぶりだすし、うまく全員を動かせなくなっていく。その弊害については、よくナベ先生と話題にしてました。

そこで、別行動を取らせて、そのシーンに出てくる人数を絞り込む。さらにそうすれば、お話に広がりが出てくるし、後々いいシーンでかっこよく登場させることも出来るし、という作戦。この作戦の成果はこの後何度も出てきますね。

でも実はこれにはひとつだけ例外があって、別行動を取らせたはいいが、再登場のタイミングを失ってとうとう、というキャラが一人います(笑)。答は、後日。

ちなみに3巻は記念すべき作品です。非常に個人的に。初めて仕事に入ったからです。初仕事の回はトロンの出て来た回、フィーネ山中。一生懸命地面から生えてくるとげにトーンを貼っていた記憶が。今見ると……下手だな、トーン処理。

ナベ先生とは人の紹介を介してお会いしました。初めて会ったのは寒い冬の二月。一度も来た事ない駅で、どきどきしながら降りた記憶。駅の近所の喫茶店でナベ先生とお話ししました。

そのなかで漫画の趣味が合うこと、実家が意外に近いことが判明、仕事場に来るかいという話になって、お邪魔していろいろと漫画についてお話を聞きました。

そのときの印象は、漫画についてなんて熱く語る人なんだろう、というもの。こっちも気分が高揚してきて、話は盛り上がって。ナベ先生、語りだすと熱中して止まらなくなるのです。僕も似たタイプ、似た者同士。話、長いしね。ここの記事も長いし(笑)。

ちなみにナベ先生が後日語ったことには。実はあの時そんなに人手は不足しておらず、あんまり雇う気なかったそうな。知り合いからの紹介で断れなかったので、会うだけ会ってみるかというテンションだったんだって。決め手はやっぱり話が合ったこと。

確かに今見ると、まともに仕事できてないですからね。すいません、ナベ先生。ご苦労かけました(笑)。

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2004/10/28

ハーメルンのバイオリン弾き 2

ハーメル回顧録の2。前回はカテゴリー、ハーメル回顧録をどうぞ。

2巻になって新キャラ続々登場。まずは愛の勇者ライエル。ハーメルに負けず劣らずのお馬鹿な勇者です。さらには敵、魔界軍王たちも。ハーメルの素性も分かってきて、物語は広がりを見せています。

そして、物語の筋が見えてくるにつれ、ナベ先生の作風である、ギャグとシリアスのぎりぎりの融合というのも目立ってきます。人によっては駄目だと言うのでしょうが、好きな人にはそれがいいところ。渡辺道明独自の芸風です。

ギャグとシリアスをうまく両立させるのは難しい。ギャグがシリアスの足引っ張って、盛り上がらない作品になりがちです。ですがご存知のとおり「ハーメルンのバイオリン弾き」は、ただのギャグ漫画としてではなく、ストーリー漫画としてちゃんと評価されました。それを可能にしたのは何なのか。ナベ先生がよく語っていたことから拾ってみると。

まず、シリアスもギャグも両方本気でなければいけない。キャラがおバカな連中ばかりなのでギャグになってしまっているだけ。当人たちは大真面目なのです。自分で醒めた突っ込みいれてるギャグをやると、シリアスシーンのテンションを下げてしまう。あくまで本気。

これを一番体現しているのがライエルです。ハーメルの語る正義の勇者は大嘘ですが(笑)、ライエルの愛の勇者は本気です。最初に出てきたときにはそのセリフはギャグに聞こえていますが、最終巻、サイザーをかばってケストラーに立ち向かったときのセリフはシリアスもシリアス、大マジです。

さらに挙げれば、描いてる本人も本気だということでしょうか。これをやったら嘘になるということはしない。クライマックスのシリアスシーンに対しても本気だし、途中のギャグに対しても本気です。ギャグが息抜きじゃないのです。だから中途半端はしない。とことんやる。

ネームの技術的なことで言えば、実はギャグからシリアスに移るときに一拍おいてあったり、逆にギャグに移ったときには何段オチかになっていたりで、シリアスとギャグのパートが判別つくようになっている。後はそれにフェイントが入ったり入らなかったり。プロのノウハウ。

まあそれでも、駄目な人は駄目なんですけどね。ぎりぎりの線を狙っているので、その辺ハイリスクな綱渡りですが、その結果根強いファンの方が結構いて、毎日のようにハーメルという検索でこのブログを訪れる人がいるわけで。

リスクをとらなきゃ個性は生まれないし、無個性なままでは埋もれてしまう。稀有な個性を持った師匠のそばにいて、つくづく思うのです。

あとこの巻で特筆すべきエピソードは、フルートの初着ぐるみ! 史上初着ぐるみヒロイン、しかも猿! です。まさかこのネタ引っ張って、カニやらジャンボジェットやらが出てくるなんて。多分誰にも想像つかなかったんじゃないかな(笑)。

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2004/10/21

ハーメルンのバイオリン弾き 1

すごいことだと思うんですが、このブログに「ハーメルンのバイオリン弾き」を検索していてたどり着く方が結構います。終わってから、もうだいぶ経つ漫画なのに。

それだけ愛されてたんだなあ。関わっていた者の一人としてうれしく思います。あのときの苦労は無駄じゃなかったんだ。あまりのスケジュールのきつさに、トイレで便器を抱えて意識を失ったりとか。(実話)

それと同時に使命感が。世の中にハーメル情報を求めている人がこれだけいるのであれば、お応えしなければいけないのではないか。世界で2番目にハーメル情報を持つ者として。(1番はナベ先生本人。でも書かないと思う。苦手だから)

というわけでシリーズ・ハーメル回顧録を企画してみました。新カテゴリーにして、そこで通読できるようにしときます。各巻ごとに、思い出やらそこで教わった漫画の秘伝(?)やらを書いていこうと思います。こんなこと考えてたんだと楽しんでいただければ幸いです。

それではまず、1巻から。レッツゴー!

調べると出てくると思うんですが、渡辺先生はエニックスが企画したファンタジーコミック大賞の受賞者です。雑誌を立ち上げるために新人を募集したわけ。西川先生、柴田先生、松沢先生がここでチャンスをつかんでます。

ここで受賞した作品が「ハーメルンのバイオリン弾き」。そのまま雑誌の創刊から連載となるわけですが。実は受賞した話と連載第一回は違う話。二回目が受賞した話です。描き直してありますが。ここの裏話。

渡辺先生の師匠はあおきてつお先生。で、連載が始まるに当たって、師匠からアドバイスがあったそうです。「ファンタジー漫画は読者が入りづらいから、なるべく要素を減らして、入りやすいところから始めなさい」

今でこそ、猫も杓子もファンタジー、設定が勝手に作れて楽チンだ、みたいな状態ですが、当時はまだ少なかった。設定が多くなると読者の負担になるよ、というアドバイス。そこで山の中の一軒家、ヒロインは次回登場ということにしたわけです。

これは現代でも生きているアドバイスだと思います。ファンタジー漫画に対する抵抗感は薄らいでいますが、要するに無駄な情報で読者に負荷をかけてはいけないということ。連載なんだからおいおい見せていけばいいわけ。

でも実際は情報てんこ盛りで始まる漫画が多い。結局早く人気が欲しいんですよ。だからおいしいネタは先に見せなきゃ、という描き方になる。で、読みづらい。別に好きでもない漫画を苦労して読みたくないから、そこでもう読まない。

……いけね、反省しよう。

設定情報てんこ盛りでも成立する場合もあります。読者に概知な情報の場合です。SFファンならSF設定の詳しい説明が要らないので、どんどん詰め込めたりとか。通な読者はそこを読み飛ばせるから平気。

現在ヒット作がなかなか出づらい状態ですが、この辺にも一因がありそう。通な読者向けに描けば、その他の読者は入りづらくて当然。裾野はなかなか広がらない。そこをうまく描いた人が成功している。

ハーメルはそこで設定をシンプルにすることによって、漫画として面白いシーンをたっぷり描いた。ハーメルの過去なんて1巻の最後、ほんのさわりの伏線しかありません。代わりに伝説的シーンの数々、史上初鳩食う勇者とか、史上初ヒロイン人身売買寸前とかが入ってくる。

みんながこの漫画を楽しんでくれてから、少しずつ風呂敷広げていく作戦だったわけですね。

次回、2巻ではその広げ始めた風呂敷、新キャラライエル登場です。

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