書籍・雑誌

2018/05/18

オルタニアvol.5

『SF雑誌オルタニアvol5 [○]edited by hassac naminov』を読みました!

タイトル[○]の読み方は「定点 O からの距離が等しい点の集合でできる曲線」という円の定義なのだそうです。長い!

今回のゲストは高橋文樹さんと天王丸景虎さん。NovelJamでの活躍も記憶に新しいお二人です。特に高橋さんの作品は前後編となっており、次に発行される高橋さんが編集長の増刊号に載るそうです。なるほど、そういう仕掛けか!

そして山田さんの連載と淡波さんの短編連作が最終回。さらに伊藤なむあひさんがこの号をもってオルタニアレギュラー陣から卒業。いろいろと動きのある号でした。

一番印象に残った作品は、卒業する伊藤さんの『箱舟事件は迷宮入り』です。タイトルから連想できるようにミステリー。いつものとても不思議な雰囲気の作品に比べて、学園の日常風景の描写から入っており、むしろ普通に書かれると不思議な気がすると思いながら読み進めていくと。

途中からどんどん、どんどんとおかしな方向へ。やばい人の頭の中を覗いている感がひしひしと伝わってきます。つられてこちらの頭の中もぐるぐるとしてきて、混沌の世界へ。

それでいて最後まで読むとストーリーの筋ははっきりしていて、普通の世界に戻ってくる。この計算され尽くされた混沌はすごいなと思いました。

思い返せば最初オルタニア(当時オルタナ)が創刊されると知った時は、ちょうどガンズの創刊準備にかかっていた時期。最初は「そうか、時期前後して2冊創刊されるんだな」ぐらいの認識だったのですが。

出来上がった本を見たら、ジャンルは同じSF、かつメンバーかぶりがあるのに、内容が全く色違い。そこで、こうなっているのはじぶんのせいか、とアイデンティティーを確認することになりました。

対極にあるがゆえに、自分の姿を映してくれる、鏡のような存在。特にこの2冊の色が大きく違っているのは、僕と伊藤さんが対極にあるからだと思うのです。

少年漫画、児童漫画、児童文学と流れてきて、その中で明確にわかりやすく書くという習慣がついている僕。それに対して伊藤さんの作品は、混沌と幻想に彩られ、不思議な世界へ読者をいざなう作品です。

そういうふうに読み比べると、物語の奥深さ、広さを感じます。毎回、読むと視野が広がるような、そんな読書体験ができました。

ブログなどを見ると、伊藤さんは今度は自分で雑誌を作ろうとしている模様。今後ますますの活躍をお祈りしております!

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2018/05/17

天鏡のアルデラミン Ⅱ

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン Ⅱ (宇野朴人・著)を読みました!

北域鎮台へと送られたイクタたち。大アラファトラ山脈に守られた帝国最北の地は、山の民シナーク族がトラブルを起こす以外に、特に侵略されるようなこともなく、新兵たちに経験を積ませるには絶好の場所だとされていた。

最近はそのイナーク族もおとなしく、特にトラブルもない平穏な日々。しかしそれは、仮初めの、大きな波乱の前触れだった。

姫様のイクタを軍のトップに持ち上げて国を変える大きな企みに対して、それに抜擢されたイクタは「戦がないと昇進なんかできないでしょ」とつれないのですが、そこは当然、主人公に試練が起きないわけはないのです。

しかしその試練がかなり本格的。この作品はファンタジーで、精霊は出てくるのですが、それも何かファンタジーではない設定がありそうだし、用兵の話とか、補給線の話とか、かなり本格的に戦記ものです。

新兵器が新戦略を作ってとか、うきうきとしながら読みましたよ。

普通のキャラ配置だとお笑い担当のはずの小太りのマシューが、けっこうシリアスに悩んでいて、これは何かの伏線になるのかなというところが気になります。

本筋のほうも、終わったかと思いきや、更なるピンチがやってきて、次巻へ続く。絶妙の引っ張り。

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2018/05/11

セルパブ!夏の100冊2017

セルパブ!夏の100冊2017 (ぱぶにゃん・著)を読みました!

セルフパブリッシング本のガイドブックです。2017って、去年の本をいまさら読んだのかと思ったそこのあなた。違いますよ、このあいだ出たんですよ! 書き間違いで2018が2017になってるのでもないですよ!

去年企画されてた本が、諸事情により遅れて、ようやく出たのです。お疲れ様です。

ただ、「読みました!」と言いながら、全部はまだ読めていません。本の紹介を全部読むのは大変なので、とりあえず対談から読んで、他は暇見てちょこちょこ拾い読み中。

その対談の中で一番のヒットは、3つ目の『折羽ル子×くみた柑×淡波亮作 漫才「アワナミーを待ちながら」(2017夏)』。でした。というかね。反則ですよね。すでにタイトルに漫才って入ってますしね。他の対談4本に対して浮きまくりで、とても面白かったですw

他の対談も、いろいろと示唆に富み、参考になることがあって、これらを読むだけでも価値がありますよ!

僕には特に、一つ目の対談、『西崎憲×隙間社 インタビュー「文芸電子書籍への布石」(2017夏)』の、西崎さんの活動と考え方が興味深かったです。商業出版vsセルパブという二極構造ではなくて、そのあいだのスモールプレス。その時のツールとしての電子書籍。この領域って、もっと活発になっていくのではないでしょうか。

さて以前、『このセルフパブリッシングがすごい!』の感想にも書きましたが、とにかくセルフパブリッシングの問題点は、広める力が弱いことです。読者の側からすると、発掘しないといけないから大変。

そこで、こうした本にはとても意義がある。

無料の本ですから、当然無償です。中の人には本当に頭が下がります。

えらい!

すごい!

かっこいい!

なんでこんなに持ち上げているかと言うと。

最後に宣言していますが、ちゃんと2018も作るのだそうです。大変だけど、がんばってー!

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2018/05/10

ガニメデの優しい巨人

ガニメデの優しい巨人 (J・P・ホーガン・著)を読みました!

木星の衛星ガニメデで発見された、太陽系の先代文明の宇宙船。今は亡き第五惑星ミネルヴァに住んでいた地球人の祖先ルナリアンの他に、さらに全く別の異星人ガニメアンがいたことが分かった。彼らは古代の地球を訪問し、動植物を連れ去ったと思われる。

彼らの謎を解こうと調査を続けるうち、使い道のわからない機械を動かす実験を行う。電力を食うわりに何の反応もないと思われたその時、深宇宙からの帰還者が、実は機械から放たれていた信号に呼応してガニメデに向かっていた。

前作の感想でも書いたのですが、この作品はSF的な理屈で進めるお話。議論の部分がすごく多くて、イベントは少ない。

宇宙人が来て、地球人に歓待される。おしまい。

トラブルは全然なく、宇宙人はいい人たちで、出来事をもとにプロット書くとほんとにそれだけです。これであの長さの小説になってるのって、すごいことだと思います。

謎に興味を持たせて、それが明らかになっていく過程で刺激を与える。あとはSF的なギミックに対する興味。

それは確かにSFの面白さの中核なのですが、ほとんどそれだけで引っ張ってる。本当に筆力がないと、こんなことはできない。

実際楽しく読めていて、さて感想書くぞとなって内容思い出した時に、「あれ? これだけ?」となって驚いているところなのです。ほんとすごい。

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2018/05/09

天鏡のアルデラミン

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (宇野朴人・著)を読みました!

イクタ・ソロークは変人、好色、怠け者として有名。そんな彼が厳しいことで有名な高等士官試験を目指すのは、腐れ縁の優等生、旧軍閥名家出身のヤトリシノ・イグゼムに取り引きを持ち掛けられたからだった。彼女は多くの同級生にさげすまれているイクタの真の能力を見抜いており、試験で彼女の有利になるよう立ち回ることを依頼。代わりに一般人では就職できない、貴族天下り用のポストを与えると約束していた。

一次の筆記試験は余裕でパスして、ライバルたちとともに二次試験の会場へと向かうイクタ。しかし道中、海が荒れ、船は沈没してしまう。漂着したのは敵国キオカ共和国。沈む船から助けたのはお忍びで乗船していた帝国第三皇女シャミーユ。明らかに帰国困難な状況に、イクタの発案は……。

最近の僕の考えるテーマに、「いかに読者に手に取ってもらうのか」というのがありまして。

当然読者としての僕にも、手に取るきっかけがあるのです。一番身近な観察例。

まず、この作品はアニメになっていました。ちらりと見て面白そうだと思ったのですが、次回の録画に失敗。そこで極度のめんどくさがりな僕は、他の手段を講じることなく放置。接触一回目、釣れず。

次に、ネットで人が薦めているのを見かけました。その人の意見を僕が信用しているので、ここで大きく加点。情報の信用度というのは、最近の環境では重要ポイントですね。接触二回目、好感触。

そして最後が、どうも科学が入っているらしいと知ったことです。僕は科学の子として育っているので、科学はフックになるのです。ファンタジーにどう絡めているんだろうとなって、興味が増大。三回目にして釣られ、読んでみることに。

という感じで、人が何かに釣られるには、その人それぞれの好みがあるよね、ということなのですが。

好みでいうと、ここの他の感想で散々書いていますが、伏線張られるのにも釣られやすいんですよね。ありましたよ、でっかい釣り針が!

主人公とヒロインの関係が面白いなとか、計略、戦略で進める話って理屈多くなるから小説向きだよなとか、楽しく読んでいて、最後のシーン。

シリーズ全体にぷすっと背骨を通すような、すごい展開来た! 伏せてないから伏線とは呼べないかもしれない。でも、これがあると、物語のゴールが明示されているうえに、えっ、じゃああの人はどうなるの⁉ とか、気になる関連項目がどっさり増える。

こういう、ゴールに向けて構成されているお話は、めっちゃ気になる! ということで、続きを読まねば。

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2018/05/08

魔法科高校の劣等生 24・25 エスケープ編

魔法科高校の劣等生 24・25 エスケープ編 (佐島勤・著)を読みました!

各国を瞬時に破滅させるほどの能力を持つ、日本の隠された戦略級魔法師、司波達也を、地球から遠ざける目的のあるディオーネー計画。トーラス・シルバーは達也だという世間に放たれたメッセージにより、表向きは人類の進化に寄与する計画に協力しない達也への圧力は強まっていた。

それに対して達也は、秘かに研究していた常駐型重力制御魔法式熱核融合炉による、海水資源化プロジェクト『ESCAPES』計画を発表する。それは、軍事面に偏っている魔法師の社会的価値を経済面まで広げ、魔法師の縛られた生き方を解放しようというものだった。各国、各方面の思惑が錯綜する中、さらに新たな脅威も迫り……。

世界を巻き込むでかいスケールで進む話は、読んでてわくわくするのですが、この作品は一つ弱点があります。達也がチート過ぎて、いまいち危機感が出ないのです。

ほとんど不死という巻き戻しの能力があり、存在そのものを消し去る能力があり、離れたところの存在も知覚でき、対消滅を引き起こして地球も破壊、下手すりゃ太陽系も吹っ飛ばす。さらに人間的にも、物に動じることがほとんどなく、頭脳明晰、何事も見落とさない。負ける要素がない。

何もかも圧倒する快感はあるのですが、敵が弱く見えちゃうんですよね。

敵の戦略級魔法師が、達也に比べてあまり強そうじゃない。今回も戦略級=広範囲ぐらいの意味で、威力的にも達也と違って核兵器には劣る。他に特に強そうな技がないし、タイマン勝負に持ち込めば楽に勝てそうだ。

能力設定だけじゃなく、キャラ的な強さも問題です。リーナなんて、達也に口喧嘩で負けて、心折れて終わりそう。キャラ的に上回ってる雰囲気出している人はいますが、全部味方側なのです。

達也が影の存在だった時はいろいろ制約がありましたが、それが外れてきている今、敵がその分強くあってほしいのですが。

という感じで、各国で暗躍していた要人たちも、ちょっと底が見えてきてしまって、役不足かなと思いだしたら。

来たよ、大ボス!

能力的に遜色なく、しかもパワーアップされている。対人用の技もある。しかも動機が純粋で、理詰め、策謀にならないので、むしろ攻略が難しい。ただ勝てばいいという勝利条件じゃないから、主人公を追い詰める。

水波の態度次第では、さらに手足を縛られますよ。どうするんだろう。

落としどころも見えないし、これは先々楽しみです!

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2018/02/08

このセルフパブリッシングがすごい2018年版

『このセルフパブリッシングがすごい2018年版』が発刊されています。投票によりランキングをつける、無料のセルフパブリッシングガイドブックです。2016年度版に続いて二冊目。

自薦可なので、らせんさんがガンズ推ししてくれてる! 宣伝ありがとうございます<(_ _)>

さて、一通り読んでみての感想は。

こういう企画は本当に貴重ですよね。ネットって、リアル書店に比べて手に取らせる力が弱いと思うんですよ。実体がそこにあると、なんとなく手に取ってみるということが起きるのですが、それがない。

僕は毎日本屋をのぞく習慣を失ったら、本当に本と出会わなくなってしまい、仕事柄これではいかんと意識して食いつくようにしているのですが。

普通の人はそんなこと意識しなくていいので、より強力にアピールしないと興味を持ってもらえません。その点この本は、とても熱のこもったインタビューや推しパブ記事があり、とてもいいなと思いました。

実際、一位を取った『カドルステイト物語』の守下尚暉さんが、Kindleのランキングがぐっと上がったことをツイートしていました。僕も手にしましたよ。効果出てますねー。

ちなみに読んでみようと思う理由の一つが、守下さんのこだわりがインタビューに書かれていたからなのです。

地味だとわかってるけどじっくり書いた、しかもそれがみんなが認める高品質だということになると、地味スキーな僕としては興味がわくわけですよ。そこは商業出版だと、削られやすいところなのです。実のところ、そこを一生懸命書いても評価する人は少ないので、売り上げにはマイナスだと思います。

それでも必要だと思ったから、書かねばならぬ。それは地味なところだけじゃなくて、いろんなところで作者の純粋な感性が発揮される。

そういう作品が数多く並ぶのが、セルパブのいいところだと思うんですよね。だから読む側も、自分にぴったり合った一冊と出合える可能性があるわけですよ。

あとがきでこの本をまとめた藤崎ほつまさんが、「そのうちプロも流入してくるだろうときに、セルパブの名を冠する意味があるのか」と心中を述べていましたが、プロが流入しても同じだと思うんですよ。

プロの側からセルパブに参入した方々のお話を聞いたイベントがこちら。

プロの側から参入する理由も「出したいものがあるから」なので、むしろ、そういう部分を前面に押し出して、セルパブをブランディングしていく必要があるのではないかと思っています。

なので「このセルフパブリッシングがすごい」の「すごい」の部分をですね、いろんな「すごい」があるんだぞと、ぜひ推し続けてほしいのです。

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2018/02/07

星を継ぐもの

星を継ぐもの (J・P・ホーガン・著)をよみました!

月面の洞窟で宇宙服を着たミイラ化した遺体が発見された。年代測定をしたところ、5万年前のものだということがわかったその遺体は、生物学的な特徴から、地球生命に連なるものと推定された。

しかし当然、5万年前に地球上にそんな高度文明があったとは考えられず、謎は深まるばかりだった。さらにガニメデにおいて、謎の大型宇宙船とまた別の宇宙人の遺体が発見され……。

僕はけっこう有名作を読まずにきているので、最近そういう本を読んでみよう週間に入っています。これもそういう経緯で手に取った作品。

一口にSFと言っても、いろいろあります。題材に科学関連のネタが入っていれば、何でもSF。なのでお話の種類としてはいろいろあるのです。

こちらはハードSFと呼ばれるジャンルで科学的なアイディア重視のお話です。科学者が主人公となって、宇宙人の正体の謎解きを進める。その議論が主に書かれていて、その科学のエッセンスがセンス・オブ・ワンダーの香りをかもし出しています。

よく考えたら議論ばっかりなんだけど、それで最後まで引っ張れるのすごい。

ガニメデまで飛んでいくけど、道中特にトラブルもないし、人間関係も、第一印象悪かった教授と仲良くなる程度だし、あまりドラマの展開はないのですが。

最後の1ページで、予想していなかったオチが来て、この物語の裏の語られなかった壮大なドラマを想像させられました。こうして作品に厚みを出す手があるんだと感心。

読み手に何らかの刺激を与えることが面白いということだと思っているのですが、そういう点でこの作品は、僕が普段あまりやらない方向での刺激の与え方。それで密度はみっちりしっかりしていて、とても面白く読めました。

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2018/01/23

AIと小説

今週末の27日(土)、日本独立作家同盟主催のトークイベントがありまして、部員の僕はお手伝いに行くのですが。

こちらのイベントの告知を手伝おうとツイッターに情報流している時に、僕のタイムライン上でちょっとした偶然がありまして。

こちらの本の情報と、相次いで目に飛び込んできたのです。

日本児童文学2018年1・2月号。特集が「AIと児童文学」、寄稿しているのが東野司先生。創作集団プロミネンスでご一緒していて、前日本SF作家クラブ会長。

トークイベントに登壇する藤井大洋先生は日本独立作家同盟理事で、現日本SF作家クラブ会長です。

前と現の会長がAIについて語る偶然。

というか必然ですね。SFの範疇で、しかも自分たちの仕事に関わってくる。自分の作品に出てきそうなものに、実際追い詰められるかもしれないという、SF作家ならではの皮肉な展開です。

ということで、イベント行く前にこちらの本で事前勉強を。

AIの書いた小説を読んだ東野先生の感想に、いくつかぴんと来るものがありました。

題材にしたのは、以前話題になった、日経の星新一賞に応募したAIの書いた作品。実際には一から十までAIが書いたのではなく、人間が物語の構造を決めてから文章生成AIが書いた作品と、物語の構成をAIが担い人間が文章を書いた作品となっています。

そのときに、難しいと思っていた文章生成AIのほうがすんなり読めて、人が文章書いたほうが厳しかった、とのこと。「物語の本質は文章なのか」との発見があったと書かれています。

ちょうど同じようなことを考えているところだったので、やっぱりそうだよなとひざを打ちました。スムーズに読者を引っ張って行けるかは、文章により、作者の腕次第。そして、その腕をもっと磨かないと。

寄稿者の一人、中松まるは先生もプロミネンス会員ですね。

中松先生は「AIがディープラーニングでパターンを読み取るというけど、その作り方は今でも人間がやってるじゃないか」という立場。ラノベとかね。

その意味では、そういう作品作りをしている人には脅威だけど、僕のところには来ないかも。そのジャンルらしさがなくて困ってるからな!(自虐)

他の記事もいろいろと示唆に富む、面白い本でした。

さて、勉強しておいて、週末のイベントは、手伝うだけではなくて楽しみ。どんな話が聞けるのか。

もしご興味がおありの方は上記リンクからどうぞー。当日現金でも大丈夫です。お待ちしております。

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2018/01/17

虐殺器官

虐殺器官 (伊藤計劃・著)を読みました!

米軍情報軍特殊検索群i分遣隊所属、クラヴィス・シェパード大尉は、暗殺を主な任務とする特殊部隊のスペシャリスト。今回その標的は、世界各地の内戦で虐殺にかかわっている男、ジョン・ポールだった。しかし男は現れず、作戦は完遂せずに終わる。

その後もジョン・ポールは各地に災いの種を撒き、クラヴィスはそれを追うことになる。やがてクラヴィスは、その虐殺に隠された秘密を知ることになるのだが……。

とても有名な作品なのに、自分は読んだことがない。僕にはそんな作品がたくさんあるのですが、これもその一つ。そこでちょっと読んでみようと手に取りました。

戦場の残虐シーンから始まり、僕は母を殺したと続く構成。刺激満載で、事前にタイトルや概要から抱いていたイメージどおり。死をドライに扱うとかっちょいいですよね。そんな感じで。正直それはいいイメージではなくて、なので手を伸ばしていなかったのです。

ただ、読み進めるうちに印象は変わっていきました。

「死」がものすごく執拗に描写されていて、全然ドライな、さらっと扱った感じではない。

SFとしてのメインは、タイトルどおり「虐殺器官」とは何か。脳科学、進化論、それをたくさんのギミックが彩っています。

でも、お話として僕の中に残ったのは、死について。物質としての肉体。肉体の機能がどこまで損なわれたら、死と呼べるようになるのか。大勢の人が死んでいてもよその土地では当然のように続く日常性。

作者はこの作品の執筆時点で癌に侵されていて、長い闘病生活を送っていたそうです。死は若い作家にありがちなファッションとしてのそれではなく、自分の隣に立つ現実だった。

これはそんな作者の中から湧き出た叫びみたいな作品ではないか。そんなことを感じさせる作品でした。

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