書籍・雑誌

2019/02/27

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 12

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 12 (大森藤ノ・著)を読みました!

レベル4にランクアップし、神会で新しい二つ名も与えられたベル。ベルの能力が上がったことにより、戦力が向上したと判断されたヘスティア・ファミリアもランクアップ。ギルドから強制任務が与えられる対象となった。

その任務の内容は遠征。ダンジョン探検をさらに進めろということ。親しい派閥と合同パーティを組み、まだ行ったことのない下層進出を狙うベルたちの前に、想像もしていなかったイレギュラーが現れ……。

新章突入はまず基本に立ち返った感じのエピソード。ダンジョン探検です。そして当然、危機がやってきます。その中でベルの成長を見せていくのも、物語の基本に立ち返った感じです。

ただ、完全に同じことの繰り返しではなく。

新たな目標を見据えたベルの精神的な成長や、それについていこうと、新たなポジションで成長するリリなど、ちょっとずつ変化した要素が加わります。

基本と変化はどちらも作品には必要で、それが程よく混ぜられていることが大切。大きな変化を書いたあとに基本立ち返りつつ、新たな側面も見せる。

そして安定のクライマックス。感情的にうわーっと盛り上げるのが本当にうまい。

そして最後には、今度はまた大きな変化を予感させる引き。これまたうまい。続きが気になる。

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2019/02/26

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 11

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 11 (大森藤ノ・著)を読みました!

フィーネを助けるために冒険者たちに手を出してしまったベル。しかしその事情を明かすことはできないため、金に目がくらんだと誤解され、その評判は地へ落ちる。近しい人たちに話すこともできず、急成長する大型新人として世間の期待が大きかった裏返しで、街の人々の厳しい視線に晒される。

ベルに助けられたモンスターたちもまた、苦境に陥っていた。ダンジョンに帰りたいけれども、そこへの道筋は冒険者たちに抑えられ、無傷で通ることは叶いそうにない。その状況を打破するために、またベルたちに協力を求めることになり……。

前回、9、10巻をに続いてのエピソード。章は通しになっていないけれど、3巻構成でした。

人間と同じように考え喋るモンスター『異端児(ゼノス)』たちと関わり、苦しい立場に立たされているベルとヘスティア・ファミリア。しかし一度彼らのことを知ってしまっている以上、見捨てることはできない。

そこに対立するのはロキ・ファミリア。今まで散々書いてきたので、彼らの強さは読者にがっちりしっかりと伝わっています。特にこのエピソードの前の短編集で書かれた、ロキ・ファミリアの団長、勇者フィンの思いが効いています。

彼が冒険者を続けている理由が書かれていたため、ここでの立場の違いが鮮明になり、対立するしかない。

どうやって囲みを突破するのか。自然、手に汗握る展開になるのです。

長く書かれた長編は、こうしてそこまでのエピソードを伏線として使える。積んできたものが効いてくる。

物語の醍醐味だと思います。面白かった!

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2019/02/17

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 9・10

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 9・10 (大森藤ノ・著)を読みました!

19階層でモンスターの異常出現が起こり、たまたま居合わせたために討伐に駆り出されたベルたち一行。速さが売りのベルは、速度重視の臨時パーティーに組み込まれ19階層に向かうが、不慣れな階層で仲間を見失い、はぐれてしまう。

そんな時に、片足を引きずり、何かから逃れようと物陰に隠れる人影を見かける。負傷した冒険者かと思い近寄ると、そこにいたのはモンスター。しかし、少女に似た姿をし、しかも人語を話す。怯えて涙を流すその竜女の少女を、ベルはつい、追手からかばってしまい……。

かなり厳しいテーマに突っ込んでいったなと思った上下巻でした。

この手のファンタジー小説は、ゲームなどに紐付いた共通理解を土台にしています。例えばモンスターの種類とか、亜人と呼ばれる異種族、職業など社会構造、小物の設定に至るまで、ある種の常識ができている。

この巻の前まで、モンスターの扱いはずっとそうでした。むしろ、ものすごくゲームに寄せていた。ダンジョンの中でそこらから生まれ、やっつけるとさあっと崩れて姿を消す。経験値稼ぎにバンバン殺していい存在。

それがしゃべり、意思を見せたとたん、「殺しちゃっていい、軽い存在」という共通理解が崩れます。殺すことに意味が出てしまう。

このジャンルは共通理解で作られているからこそ、そこでのアレンジや逸脱が腕の見せどころですが、その中でも特大のとこに来たな、と感心しきりなのでした。

あと、この手のジャンルという意味で言うと、第10章の挿絵、すごくいい絵だなと思いました。ライトノベルは表紙、口絵が特徴で、キャラクターを印象付けるのに、そこが大いに力を発揮しているのですが。

中の挿し絵がここまで印象深いのはなかなか記憶にない。ベルの苦しみと決意が伝わってくる、とてもいい表情でした。

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2019/02/13

「このセルフパブリッシングがすごい!」と伊藤なむあひさん

ちょっと遅れた話題ですけれど。

『このセルフパブリッシングがすごい!2019年版』が発行されています。セルフパブリッシングを盛り上げるため、その作品を紹介しよう、しかも広めるのが目的だから無料で、というとてもありがたい企画です。

投票を募りましてのランキング、インタビュー、推しパブコラム、さらに小説と、これで無料とは思えない、今回はさらに充実の内容でした!

そして今回のランキング1位は、伊藤なむあひさんです。

伊藤さんには実際にお会いしたことがあるのですが、物腰の柔らかい、どこから見ても常識人な感じの方です。

なのに、書いている作品は常識を破壊するかのようにぶっ飛んでいて、頭がおかしいとしか思えない。褒めています。あの飛躍を思いつくのはすごいです。

そんな伊藤さんは、僕にとっては重要な気づきを与えてくれた作家さんなのです。

僕が月刊群雛の休刊が悔しすぎて、じゃあ自ら雑誌を作ろうと思った時、すでに休刊前から動いている企画があると聞きました。それがオルタニアです。

どちらも群雛に掲載していた作家が母体なので、その結果、半分ぐらいが被ってて、しかも向こうもSF雑誌。毛色も被ってしまっても仕方ないケース。

ところが。

先に出版されたオルタニア、当時はオルタナでしたが、それを読んでみてびっくり。全然毛色が違います。メンバー半分が同じだというのに、これだけ違うのはどうしてなんだろうと考えた時に、一番象徴的なのは被ってない人、特に伊藤さんと僕だと思ったのです。

全く真逆の作風、これが色の違いを生んでいる。

創刊号のガンズの色は、誰がいいかなと考えた時、閃いた人に声をかけたらこうなった、という、ある意味無自覚なものだったのですが、その閃きの根っこに僕の好みが関係している。それは僕が色を着けたのに他ならない。そういう自覚。考えてみれば当たり前のことだけれど、それが意識の表層に上がってきたのです。

それ以降、山田さんもこちらに書くようになったり、らせんさんが向こうに寄稿したり、すでに被ってるの半分超えてね? という状態なのですが、違う色の雑誌という状態は保たれています。

お会いしたことは、その回含めそんなになくて、深く交流させていただいているわけではないのですが、そんな経緯があるので、伊藤さんは僕にとって、活動が気になる作家さんの一人なのでした。ということで、今回1位を取ったのは、とてもめでたい思いです。

伊藤さんの受賞インタビューが載っていたのですが、これを読んでまたつくづくと思うのが、本当に真逆。物語に対する考えた方とか本当に逆。

そしてそのような振れ幅を包み込むことができるのが、セルパブなんだろうなあと思います。皆が思い思いのやり方で自分の理想を突き詰めてよい。

僕ももっと突き進まなければいけないなあと思いました。

あと、そういう考え方では、乙野二郎さんの推しパブコラム「私的KDPミステリー名鑑」もよかったです。星をつけて評価しているのですが、その星が、王道⇔斬新、辛口⇔甘口、思い⇔軽い、論理⇔完成という評価軸での作品の立ち位置を表している。一つの物差し上で点数をつけるのではなく、その作品の味わいを伝えようという試み。

先ほどの思い思いのやり方や作家の理想の振れ幅を、まさに体現しているなあと思いました。

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2019/01/24

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 8

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 8 (大森藤ノ・著)を読みました!

ベルたちの住む迷宮都市オラリオは、現在、他国の侵攻にさらされていた。その国とは軍神アレスを主神に抱く、国家型ファミリアのラキア王国。ただしこれは恒例行事のようなもの。ダンジョンで経験を積んだオラリオの冒険者たちの方がレベルが上なので、ラキア王国軍は毎度歯が立たない。今回の会戦もオラリオ側は余裕の防衛っぷり。着々とラキア王国軍を押し込んでいた。

しかしいつも通りに見えるその劣勢の中、今回のラキア王国は起死回生の策を練っていた。それはかつて王国に栄光をもたらしたグロッソの魔剣。先日の「戦争遊戯」により、今や唯一の魔剣の打ち手であるヴォルフの所在をつかんだグロッソ家は、ヴォルフの身柄と魔剣を確保するために都市への侵入工作を図る……。

……というふうに、あらすじは大きな動きの方を書きましたが、この巻のお話は、防衛できるのが当たり前なのであまり緊張感のないオラリオの日常、その中で起きている恋模様です。

いつも通りに、ベル君がモテモテだったりするわけですけれども。その他に、元の主神を慕う二人がいて。

それと、ベルとヘスティアの関係を対比させるという構造になっています。

永遠の命を持つ神と、限られた命しか持たない人間の間に、恋愛感情が成立するのか。

僕が、この作品の一巻を試しに読んでみて、このままシリーズを追おうと思ったのは、たびたび言及しています大森先生の筆の力もさることながら。

ヘスティア様が、ベルのためにナイフを用意してあげようと耐久土下座で丸くなっている様子など、けなげなところに惹かれたからです。

なので、神と人間の関係がいつか終わり、悲しみを与えてしまうことを心の底で恐れているベルに、ヘスティア様が「生まれ変わった君に会いに行くよ。そして言うんだ、ボクの眷属にならないか、って」と告げるところには、がっつり心をつかまれたのでした。

いいシーンだなあ。うるっときたですよ。

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2019/01/21

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 7

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 7 (大森藤ノ・著)を読みました!

【アポロン・ファミリア】との抗争、「戦争遊戯」に勝利し、多額の賠償金にその本拠地も手に入れた破竹の勢いの【ヘスティア・ファミリア】。新入団希望者も押し寄せる。しかしそこで、ヘスティアがベルためにこしらえたナイフの代金としての、莫大な借金が発覚。入団希望者は潮が引くように消え失せた。

そんな時に【タケミカヅチ・ファミリア】からベルたちを助けるために移籍している命が、前のファミリアの少女、千草と二人で、どこかへと出かける。その不審な様子に、ベルたち一行は後をつける。二人が向かったのは、オラリオ最大の歓楽街。娼婦たちの魔の手がベルを襲う……。

このシリーズは、全体のテーマとして、ベルの憧れが書かれています。

一つはアイズ・ヴァレンシュタインという憧れの冒険者。もう一つは、幼い頃から祖父に聞かされてきた、歴史に名を残す英雄たちへの憧れ。

今回は後者のお話。主人公の行動原理としてそれが書かれているため、困難な状況を乗り越える時に、英雄への憧れが助けなければいけない人を助ける動機として、燃える展開を作ってくるのです。

子供っぽい憧れなので、使い方を失敗すると、説得力のない御都合展開になってしまうのですが、シリーズ全体で扱っているので、ベルがそれを動機にできてしまうぐらい一途で純真だというのが伝わっていて。

さらにこの巻はかなり分厚いのですが、それだけしっかり悲運の少女・春姫の様子が描かれているので、読んでるこちらも、助けてあげてほしいなと思っている。

そういうどだいができているところで、幼馴染を助けてほしい命の叫びとか、儚い夢だと思いつつも心の奥底では憧れの英雄に助けてほしい少女の願いとか、そういうものに応えて立ち上がる主人公、めっちゃ燃える。

いい展開だなあと、しっかり堪能できた第七巻でした。

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2019/01/19

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 6

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 6 (大森藤ノ・著)を読みました!

第18階層での死闘を終えて帰還したベルたち一行。ヴェルフは念願のレベル2にランクアップ、念願の発展アビリティ【鍛冶】を得た。そのお祝いの席で、ベルたちは他のファミリアのグループに絡まれ、喧嘩騒ぎとなる。

そのファミリアとは、ベルたち【ヘスティア・ファミリア】よりずっと格上の【アポロン・ファミリア】。実はその主神アポロンが、ベルの強奪を画策しており、最初から狙って仕掛けた罠だった。因縁を付けられて抗争となり、ベルとヘスティアは街中を逃げ回ることになる。これを打開する逆転の一手は……。

一口に小説といってもいろいろなジャンルがあります。そして、そのジャンルで主に書かれる内容は、他の表現形式のものとも共通していて、一つのフィールドを作っている。

そういう考え方だと、ライトノベルは、マンガやアニメ、ゲームと近いフィールド。特に少年漫画と近しくて、感情的にがっと盛り上がるようなシーンが書かれることが多い。

この作品は、そういうところの文章がうまいなあと、いつも感心していています。今回の山場のアクションシーンも、ベルとアイズの気持ちが重なるところとか、とてもうまい表現。

あと、けなげっこに弱い僕はリリ推しで、彼女が主神ソーマに神の酒の力を振り切って願いを告げるところも、感情の盛り上がりがたっぷり表現されていて、いいシーンだなあと思いました。

自分でもこういうテンションを書けるようになりたいですねえ。

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2018/12/10

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 5

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 5 (大森藤ノ・著)を読みました!

リリ、ヴェルフとの3人パーティーとなったベル。連携も向上して、さあいよいよ中層階攻略へと向かう。中層階はモンスターのレベルが上がり、強くなっていることもさることながら、出現頻度も上がってくる。ちょっとしたミスが悪循環を招き、パーティー全滅に至る。

それはじゅうじゅうわかっていて、慎重を期していた。けれど、それでも悪循環の入り口に入り込むことがある。道を見失い、装備の残りが乏しくなり、ケガと疲労で動けなくなったベルたちは、戻ることをあきらめ、さらに下層にある休憩地点を目指す賭けに出るが……。

好事魔多しとはまさにこのことだとばかりに、絶好調からあっという間に大ピンチに陥る今回。そしてどん底からの大逆転と、ストーリーの起伏がとても大きく、面白かったです。

ライトノベルの厳密な定義は難しいのですが、特徴の一つに漫画、アニメと影響を与えあっていて、類似の演出があるということがあげられると思います。

クライマックスで一発逆転のスキル【英雄願望】が発動する時の、いつもは小さなリン、リンとなる鐘の音が、大きく重くゴォン、ゴォォンと響きわたる音になっていくところ。時間を引き延ばして溜めを作る演出、めっちゃ燃える。

漫画だとコマ割りの仕方で作るあの溜めは、自分の作品でも取り入れたいと目指しているところです。

さて、この巻までが、僕がアニメで見て話の筋を知っているところ。

ここから先が未踏領域ですよ! 楽しみ。

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2018/11/29

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 4

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか  4  (大森藤ノ・著)を読みました!

因縁のミノタウロス越えを果たし、レベルアップしたベル。史上最速のレベルアップに、人々からも神々からも注目の的になっていた。十分力もついたことだし、ダンジョン中層域へと進出したいところだが、周りからは反対の声があがる。1人メンバーを増やして、3人パーティーで向かうべきという。しかし弱小のヘスティアファミリアには、ベルの他には構成員がおらず、増員のあてはない。

とりあえず壊れた装備を新調しようと武器店に向かったベルは、そこで以前の自分の防具を作った作者、鍛冶師のヴェルフと出会う。意気投合し専属契約を結んだヴェルフは、さらに発展アビリティ『鍛冶』獲得の経験値を得るため、パーティーに加えてほしいという。なんと彼は魔剣を聞かされ打つことができる、クロッゾの一族で……。

本編はヴェルフが仲間になることがメインの、前巻までと比べるとちょっとつなぎの要素が強い回。

山場は、ベルの新しいスキルが発動してわりとあっさりと勝ってしまうので、これまでに比べると盛り上がり方こそ低めですが、読後感はとてもさわやか。こういうお話も好き。

あとここまで、「アニメ全話一挙配信を見たために話の筋を知っている」とぼやいてましたが、この巻には他に短編が2本収録されていて、これが初見のお話。

お話初見は一期一会なのです。どうオチるかわからないことをじっくり堪能。

これもさわやかに終わるとてもいいお話で、読後感は大満足なのでした。

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2018/11/28

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 3

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 3 (大森藤ノ・著)を読みました!

リリというサポーターを得、二人パーティーを組むようになって、ベルは冒険者として順調に成長中。そんなベルを陰から気づかれぬよう見つめているのは、美の女神フレイヤ。ベルの魂の輝きに魅せられた彼女は、自分のファミリアの子ではないのにベルにご執心だった。

彼の成長を助けるため魔道書を用意したりしていたその甲斐あって、強くなったベルに喜ぶフレイヤは、さらに彼の魂の輝きを増すために、新たな策を練る。一方、強くなりたいと願うベル本人は、憧れの人『剣姫』アイズ・ヴァレンシュタインに稽古をつけてもらえることになって……。

このお話を読み始めたのは最近で、もう評判になってからなわけですけれども。

第1巻を読み始めてすぐに、なるほど納得と思ったのです。みんなが好きな要素が、しっかり詰め込まれている。

「売れる」ということは、逆側から見れば、読者が読みたいものがたくさん入っているということです。そういう点で、売れて当然の設計がなされてるなと思ったのでした。

そして、さらに2巻3巻と読み進めて思うのは、その「読みたいもの」について。

いろんな読者がいるのだから、「読みたいもの」がたった一つということはなく、いろんな種類があるのですが。この作品の山場が、まさにそれだなあと思うのです。

2巻のリリを助けるところ。3巻の自分の弱さを乗り越えるところ。特にエピソードの書き方が素晴らしい。

そこに込められてるキャラクターの強い思い。それを読者に伝えるための筆の運び方。めっちゃ盛り上がるように書かれています。

ある意味、要素だけなら分析的に考えることができるので、それを取りそろえるのは計算づくでできて、そういうふうにして作られた作品も多く見受けられますが。

そこで出来栄えを分けるのは、詰められたその要素、特に感情の部分をどれだけしっかりと書き切れるか。

漫画にしろ小説にしろ、山場でダメ押しの、とどめの一撃を放てるようでなければ、読者の心は貫けない。

前巻の感想でも書きましたが、アニメ全話配信を見ちゃったので、オチは知っているのです。でもやっぱり、3発目のファイアボルト、めっちゃ燃える。

そういうところがすごく勉強になるなあと思いながら読んでいます。

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