山奥の名店
大忙し期間中に見かけたけれども触れることができていなかった話題、第2弾です。
好きだった、電撃文庫で本を出していた作家さんがカクヨムで書いているのを見つけたけれど、結果が出ていなくてショックだった、という話を見かけました。
これは単純に腕の問題ということではないんですよね。見てもらうことの難しさは、日々痛感しております。
同じようにおいしいお店でも、駅前一等地の店と山奥の店ではやってくるお客さんの数が違い、売上がまるで違ってきます。立地条件はとても重要です。腕以外に、どうやって来てもらうかという問題があるのです。
特に物語では、フックという言葉が使われます。どうやって最初に読者を引っ掛けるか、その仕掛け。
例えば、なろう小説を語る時に、ナーロッパとか、悪役令嬢とか、異世界転生という言葉が出てきたのは、その部分で読者の負荷を下げられるからです。
物語の出だしで何が難しいかといえば、背景や設定をどうやって伝えるかです。その部分はあまり面白くないところなのですが、まったくわからないまま進んでいくのも辛い。うまいタイミングで、なるべく手短に、そして代わりにおもしろどころをたっぷりと。これが本当に難しい。
そこで出てきたのが上記の言葉。こういう言葉で括られるようになっているということは、読者は最初の設定のところを、そういうものだと飲み込んでくれるので、パッとはしょることができます。しかもどういうお話なのか、イメージもすぐに伝わり、どういう面白さが期待できるかも伝わる。なのでそういうお話の方がお客さんを掴みやすく、書く人たちがそこへ収斂していく。
カクヨムの場合は、タイトル以外にキャッチコピーをつけることができるようになっています。そこで人目を引くという設計になっているのですが。
とんでもはっぷん奇妙奇天烈な文でもなければ、それさえも数に埋もれてしまいます。本当に難しいんですよね。
しかしだからと言って収斂していくのを放っておくと、全体のパイ自体が縮小してしまいます。作品のピックアップをどうするかというのは、出版社やサイト側にも重要な問題だと思うのです。
特にカクヨムを運営するKADOKAWAは、この間の決算で大幅減益。出版事業は赤字転落して、「なろう・異世界系」等、特定ジャンルへの偏重が収益悪化を招いたという反省がなされたところです。流行りものの方がビジネス的には安心なのですが、それでは全体がしぼむということを実証してしまいました。
さて、そこでの反省が、カクヨムまで及ぶかどうか。いろいろな作品を引き上げる仕組みを作れるのかどうかについて、注目しています。
さらに作家側の話で言えば。先ほど飲食店を例えに使いましたけれど。
例え山奥の店だとしても、そこの自然の風景が素晴らしかったりすれば山奥であることが付加価値となり、そうしてプラスに作用するところまで持っていければ話が変わってきます。それが伝われば遠出してもらえるのです。
もちろんこれには美味しいお店だという前提条件があり、腕が伴ってこそなのですが。
僕自身はもう山奥の人だという自覚があるので、腕を上げるところも伝えるところもがんばらねばなと思っています。ほんと、大変だよ。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 中東原油と代替燃料(2026.09.16)
- 激甚・豪雨災害の死角(2026.09.15)
- 進捗2026/9/14 表紙の準備(2026.09.14)
- 鼻のかみ方(2026.09.10)
- くるくる台風(2026.09.08)


コメント