このあいだもちらりと書きましたが、国連の気候変動会議COP29が開催されています。22日までの予定でしたが、資金援助目標でまとまらず、会期延長しています。そうなるよね。
さて期間中にこんなニュースがありました。
COP29 日本などG7に「化石賞」 “温暖化対策に消極的と判断”
アゼルバイジャンで開かれている気候変動対策の国連の会議「COP29」にあわせ、国際的な環境NGOグループは、日本など、G7=主要7か国を温暖化対策に消極的だと判断した国に贈る「化石賞」に選んだと発表しました。
「化石賞」は、世界のおよそ2000の環境NGOで作るグループが、温暖化対策に消極的だと判断した国に対し、皮肉を込めて、COP会期中に連日贈っていて、15日、最初の「化石賞」にG7の国々を選んだと発表しました。
G7を選んだ理由については「途上国を支援する資金の目標金額を一切提案せずに会議に臨み、議論の進展を妨害している」として、今回の会議で主要な議題となっている途上国のための資金供与に関して責任を果たしてこなかったためだとしています。
また、日本については「パリ協定で定めた世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて1.5度に抑える努力をするという目標に沿うため、温室効果ガスの排出量を2035年までに2013年と比べて81%削減する必要がある」としています。
「化石賞」が発表された首都バクーの会場では、カナダや日本、アメリカの環境NGOの代表者がそろって登壇し、「化石賞」のトロフィーを受け取っていました。
登壇した日本のNGOの男性は「日本は気候資金の目標について積極的に貢献し、削減目標も野心的なものにするべきだ」と訴えていました。
日本政府関係者は「民間団体の活動に、政府としてコメントすることは差し控える」としています。
NHK NEWS WEB 24/11/16
もう毎度の行事となっている化石賞が、日本に送られています。日本が化石燃料からの脱却をあまり進めていないというのがいつもの理由。今回は、途上国支援に積極的ではない、ということもあるとのこと。
地球温暖化はすでに1980年代には科学者の間では懸念を持たれていました。僕もその頃に科学雑誌で知りました。そこから順調に予想通りに悪化してきているので、これを何とかしなければいけないという危機意識は僕も持っています。それはこのブログでもよく書いている通りです。
ですが、最近こちらもちょこちょこ書いていますが、それに対して起きた運動SDGsに関して、思考停止しているファッションなんじゃないかとちょっと疑問を持っているのです。特にここ最近さらにその疑問が深まっています。
この化石賞なんか最たるものです。確かに日本は石炭火力発電を存続させていますが、ただ日本は二酸化炭素削減のロードマップをきちっと出しています。 何を研究してどう切り替えていくか、というのを計画しているので、それほど悪いとは思えない。もっと前倒しできたらいいなあとは思うのですが。
それに対して気候変動対策を進めろと文句を言っているNGOの人たちは、とにかくやめればいいんだよの一点張り。そしてそれの悪影響がすでに世の中には出ています。
今一番ひどいのはドイツでしょうか。環境保護に熱心な緑の党が政権与党に入った結果、ドイツはグリーン政策全開。原子力発電を全部止めました。石炭火力も全廃を目指して減らしています。再生可能エネルギーは50%を超えたとのこと。
そういう「野心的な」計画を遂行する優等生ドイツでは、その結果、電気代が高騰。ロシアのウクライナ侵攻で安いロシア産天然ガスの輸入が難しくなったこともあるのですが、同様の条件の近隣国より上がっています。そのため産業界がもうドイツ国内での生産は無理だと大量に逃げ出そうとしています。
フォルクスワーゲンが国内の工場を閉鎖するという発表があり、騒ぎになっています。フォルクスワーゲンというのが、また象徴的ですねえ。
二酸化炭素削減の象徴としては発電の他、自動車も挙げられます。欧州がEV全振りになった時、トヨタが環境対応車はEV以外にも可能性があると全方位開発を止めなかったんですよね。未来はEVに決まっているのにと散々叩かれた。
でもEVは購入補助金が切れたら勢い鈍化。中国の安売りEVにも勝てません。その結果のフォルクスワーゲン経営不振。それに対して全振りを避けたトヨタは今ハイブリッドで稼いでいる。
理念だけでは飯は食えないという状況になってしまいました。
アメリカでトランプ大統領が返り咲きましたが、色々と分析した記事を見ると、どうもこちらも理念vs現実の争いで、現実派が勝ったと言えそうです。選挙結果を色分けした地図が共和党の色、赤に塗り潰されていて、民主党の青はわかりやすく、生活に余裕のある人が多く住んでいる大都市圏ばかりなんですよね。
ただトランプ大統領は科学的な知見に重きを置いていないので、僕的には絶対やばいと思うんですけれども。温暖化も今年の異常気象を見ていると、やばさが一段増した気がします。ここで対策やめちゃうとか、やばいなあ(語彙が減るレベル)
さて、そんなことを考えていたところ、こんな番組も見ました。
気候変動を食い止めろ! (1)都市のCO2を減らす新技術 NHK総合 24/11/18
二酸化炭素削減に対して、技術革新でそれを克服しようという各企業の取り組み。この中で特にいいなと思ったのは、最初に出てきた建設会社の話。二酸化炭素をコンクリートの材料として使うという話です。
セメントを作るときには石灰石を熱分解します。この時にできるのが酸化カルシウムと二酸化炭素。つまり燃料分と熱分解した分の二酸化炭素が出てしまう。それに対してこのコンクリートは材料を工夫して出る二酸化炭素を削減。その上固まる時に水ではなく二酸化炭素と反応するようにして、そこで吸収もさせちゃう。二酸化炭素排出ゼロどころかマイナスにできるという優れもの。
実際にそれを建築に使っているところが取材されていました。すごい!
こちらの番組には出てきませんでしたが、発電も、自然エネルギーで決まり! じゃなくて、炭素を含んでいないので二酸化炭素が出るわけがないアンモニアが燃料にできないかとか、自動車もEVで決まり!じゃなくて、バイオ燃料とか合成燃料とか大気中の二酸化炭素を使うカーボンニュートラルのものが研究されています。そういうところにもっと力を入れてほしいなあと思うのでした。
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