SLIM君お疲れ様でした
日本の月探査機SLIMが運用終了となりました。
“日本初の月面着陸に成功” 探査機「SLIM」運用終了 JAXA
日本初の月面着陸に成功した探査機「SLIM」について、JAXA=宇宙航空研究開発機構は26日、運用を終了したと発表しました。
JAXAなどが開発した無人探査機「SLIM」は、ことし1月、日本として初めて、世界でも旧ソビエト、アメリカ、中国、インドに続く5か国目となる月面着陸に成功し、従来は数キロメートルだった目標地点との誤差を、55メートルにとどめる「ピンポイント着陸」を実現しました。
「SLIM」は、およそ2週間ごとに訪れる“月の夜”のマイナス170度の低温に耐える設計にはなっていなかったため、当初の計画では、着陸後数日間で月面のデータを取得し運用を終了する計画でしたが、実際には“月の夜”を3度越え、着陸のおよそ3か月後の4月末まで、通信することができていました。
5月以降もプロジェクトチームが「SLIM」との通信を試みていましたが、確立できなかったことから、JAXAは機能を停止する信号を送り、運用を終了したと26日発表しました。
「SLIM」はこれまでに、月面を撮影した画像データを送信しているほか、搭載された特殊なカメラで10個の岩石を観測し、データを解析した立命館大学などは、月の起源を探るうえで重要な手がかりとなる「カンラン石」の存在が確認されたと発表しています。
JAXAは引き続き、探査機から得られたデータを解析し、改めて探査の成果を報告したいとしています。
NHK NEWS WEB 24/8/2
SLIMは高精度の自動着陸を目指した実験機です。月面への着陸はそもそもアポロ宇宙船で成功していますし、その後もいくつものプロジェクトで探査機が降りています。 今回目指した高精度の自律着陸は、今までは着陸目標地点をけっこう広く取っていたところ、それをなるべくピンポイントに絞り込みたいというもの。そうすれば何か調べたいものがあった時に、そのすぐそばに降ろすことができる。
その点ではしっかり成功。非常にいい成果をあげました。記事中にあるように、100m以下を目指して55m。ばっちりです。
しかも、着陸途中でトラブルがあったようなのですが、それに対してもきちんと対応して着陸しました。姿勢がちょっとひっくり返って逆立ちしてしまったのはご愛嬌。
さらに搭載してあった超小型探査ロボ、SORA-Q君もしっかりと機能。僕が大注目していたタカラトミー社協力による、リアルトランスフォーマーです。変形ロボなのです。SLIMを撮った画像を送ってきました。
さらに話題になったのがここから。SLIMは元々はそんなに長く活動するように設計されていませんでした。真空中では日向と日陰の寒暖差が非常に大きくなります。しかも月は潮汐ロックという現象で自転と公転が一致して、いつも地球に同じ面を向けています。2週間日の光に炙られ続け、2週間真空の闇に冷やされ続けるという、過酷な状況になるので、越夜は無理だろうと思われていたのです。
ところがSLIM君はここからがんばり、何ヶ月も活動を継続。こうなってくるとがんばってほしいと思うのが人の性。めっちゃ応援していたのです。
しかしとうとうコマンドを送っても反応しなくなってしまい、今回運用終了となりました。でも数日の予定が3か月なんて、めっちゃがんばった! お疲れ様でした!
現在、世界的に宇宙ビジネスが非常に注目されています。こういう先端分野に関わり続けられるかどうかは、とても重要だと思うので、今回の計画がうまくいってよかった。他の日本の宇宙探査も、ぜひぜひ続いてほしいと思います。
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