再読できるお話
面白い物語は何度読んでも楽しめるなあというお話。
仕事の参考資料でけっこう本を読んでいます。その中で好みだったものの感想をここに書いたりしています。
仕事の参考資料と言っても、一回読んどけ的なものなので、基本は図書館で借りてるのですが。
読んでとても面白くて好みだったものは、購入してあります。今回別のところでもう一度その本が出てきて、再読。
やっぱり面白かったのです。『13歳のシーズン』(あさのあつこ・著)。
前回記事で僕の好みを突いたのが何だったのか、力説しています。最初に出てくる登場人物、茉里です。けなげっ子ヒロインです。めっちゃ弱いのです。
丸顔丸鼻一重そばかす。喋るとつっかえ気味で回りの流れの速さについていけず、結果聞き役になってしまう地味な子。ところがお姉ちゃんは美人の才媛で、お母さんも姉びいき、自分はあまり見られていない気がしている。そんな状況で自分でも哀しいなとは思っているけれど、それで性格ひねくれたりせず、誰も見ていないところで押し付けられた掃除を一人黙々とがんばれるいい子です。
完璧ですね!
そんな子が、初めて告白されたと喜んでいたら、それが罰ゲームだったというエピソードから物語はスタート。けれど自分では仕方ないと、さらにけなげさに磨きをかけて始まります。しかも僕は初読ではない。あとの方で茉里に最近「なぜか」どきどきしてしまう幼馴染の存在を知っています。
もう一度書きますが、完璧ですね!
ということでうきうきしながら、もう一度読んだのでした。
再読できる物語って、この先の展開を知っていても楽しめる作りになっているということですよね。クライマックスに向けて、下げてあげてという話の流れがあるのですが、それがとてもスムーズです。どのエピソード、どのシーンにも、無駄はなく、でも遊びはあって、読者をすう―っと転がしていく。流れに乗るのが心地いい。
前も書きましたけど、こういう腕を持ちたいですねえ。
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