白をつなぐ
白をつなぐ (まはら三桃・著)を読みました!
トラックを走る一団がいた。全国男子駅伝福岡県代表の合宿。中学生から社会人まで、幅広い年齢層で挑む大会だ。選ばれた選手は年齢だけでなくキャラクターも幅広い。ぼんやり走っていたらいつの間にかトラックを逆走している中学生から、女性関係がだらしない有名大学生選手、有力選手に次々と断られた末に選ばれたことにわだかまりを持つベテラン社会人選手まで。
そんな合宿で、一つの出来事があった。廊下に落ちていた宛名のない封筒。中に入っていたなにも書かれていない白い紙。監督の熊沢はあることに気づいて……。
題材の選び方が絶妙だなと感心しました。
まず駅伝なのでたすきをつないで進んでいくのですが、すると各選手に順番にスポットライトが当たり、短編集のようになっています。その時にこれが各年代を混ぜた県代表チームだということが効いてくる。中学生区間二つ、高校生区間が三つ、大学生と社会人の一般区間が二つ。年齢的にも幅広くなって、エピソードが多彩になります。
さらに効いているのが選抜方法。中高生は最終選考会があり、実際に走らせて選びますが、大学生と社会人は資格のある有力選手に直接交渉。その結果、社会人がなかなか決まらずたらい回しになって、実績今一つの吉竹に決まりました。これがドラマを生み出します。
それを生かしているのが上記のあらすじに書いた謎の白い手紙。この謎がストーリー展開に影響を及ぼしたことが後々わかる仕掛けです。
ラストの7区の展開が、この題材と謎により、めっちゃドラマチックに盛り上がるのです。最初は短編集っぽく見えてたので、ここまで芯が通った話になるとは思いませんでした。面白かったです。
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