毎年恒例、今年1年のレイソルの振り返り。
なんとか降格は免れましたが、それはJリーグが各カテゴリーを20チームで運営することにしたから。J1を2チーム増やすため、降格枠が最下位だけだったからです。例年なら17位は降格です。
見ていた感想としては、懸念が当たっちゃったなあという感じ。
シーズン前の予想がこちら。
昨年夏以降まったく勝てないまま終わり、得点力が問題だなあと思っていたところ、バックラインからぼろぼろと移籍が出て、守備にも懸念が。攻守両面問題を抱えていれば、そりゃあ低迷しますよね。
結果として開幕から成績が上がらず、ネルシーニョ監督解任に至りました。
この解任について、ちょっと評価が難しいなと思っているところがあるのです。
僕は成績の全責任を監督におっかぶせることには反対です。そもそも戦力が足りていなかったり、バランスの悪い編成になっていたりするからです。それを監督のせいにして幕切れしてしまうと、問題は解決しないままなので、監督の責任範囲をもっと明確にしていくべきだと考えています。
さてでは、監督の責任範囲として考えられるのは何か。まずはチームを把握することですよね。カリスマ性というような言葉で語られる部分。モチベーターとしてのチームの切り盛り。そうやってチームをまとめるところ。
それに現状認識と、改善の能力も求められます。どこが問題かを把握して、練習でその課題を解決する。その目と策を持っているかどうか。指導者としての力量です。
試合中の采配は、世間で思われているより結果に対する影響が小さい気がします。野球と比べて、サッカーは監督の入る余地があまり大きくありません。フィールド脇から指示を出しても、反対側まで届くのに時間がかかったりするし、交代も5人しかできないし。ただ、そういう中ででも、限られた手で効果を挙げられる人がいます。
さて、この観点でネルシーニョ監督を見ると、まず試合中の戦術家としての部分。これは特に守備で試合をニュートラルにするという得意戦術で、やっぱりさすがだなあと思わせる場面がありました。
練習でチームに改善をもたらすという点では、守備の部分は成績が低迷すると戦術を変更し引き締めて見せて、やはりここもさすがの部分がありました。攻撃に関しては守備より評価は一段落ちるかもしれません。ただ見ている感じでは、攻撃の形も徐々に改善されていたと思います。点が取れていないんですけど、フィニッシュの部分は個人の力量に大きく左右されるため、監督の力だけではどうにもならないと思います。
というふうに書いていくと、僕が解任反対派のように見えますが、ここからが微妙なところ。チーム編成とカリスマ性について。
ネルシーニョ監督はもともと厳しい人ですが、どうも年を取ったせいか癇癪がひどくなっているのではないかと思われる部分がありました。選手と衝突し、変な辞め方をした人がいます。またチームの編成にどれぐらい監督の意向が反映されていたのか。細かいことまでは外からではわかりませんが、布部GMが元々教え子だったりするので、けっこう監督の意見が通っていたのではないか。
そうすると、この低迷に関して監督が責任を取らなきゃいけないところが増えてくる。正直ここ何年か入れ替わり方が変だなと思いながら見ていたからです。
ということを全部ひっくるめると、僕の意見としては「そろそろ年も年だし、今年で終わりなのかな」という感じでした。
ただ、あのタイミングでの解任はまずかったなと思います。守備を引き締め直し、勝ち点を取り始めていたタイミング。攻撃の改善は戦術踏襲ということであまり大きな変化は望めず、成績的にはパッとしなかったかもしれませんが、あのまま行って、シーズン終了後契約満了で勇退でもよかった。横浜FC戦での敗戦が決定打。その前まではフロントのコメントは解任なしの雰囲気だったのに、あそこで急転直下。
正直みんな横浜FCには勝てると舐めてたんじゃないでしょうか。
僕は対戦相手の偵察をするようにしていて、横浜FCの直前の試合を見ていたので、これは少し厄介な試合になるなと思っていました。展望記事がこちら。シーズン前から理想のサッカーを掲げ、うまくいかずに最下位爆走していた横浜FCは、ウチとやるちょっと前に現実路線に変更。3バックでのカウンターに。前線に山下選手を筆頭にスピードのある選手が揃っていたので、こっちの方が合ってる、これだったらもうちょっと勝つだろうな、成績通りの相手じゃないなと思って見ていたのです。
その懸念が当たりました。でも多分周りは最下位に負けた事実に焦った。後任の井原監督になり、最初の7試合で勝ち点2しか取れませんでした。正直あれが余計だったと思います。
まあでもなんとか残留できたので。
元々、今年でネルシーニョ監督勇退かなと思っていた僕は、その次は井原監督を希望していました。なので結果的にオーライ。井原監督は就任時に、ウチの強みを生かしたいという発言もしています。ウチのアカデミーが、パスサッカーのベースをしっかり作っているという点。育成に関しては、うちはJリーグの中でかなりの結果を残しています。2年連続で育成で表彰されました。これを生かさない手はない。いやむしろ、クラブの方針としてがっちりと柱にしてほしいと、ずっと思っているのです。
今年はそっちに手を入れようとすると守備が緩むという状態だったため、とりあえず置いておいたみたいなのですが、そこを何とかしない限り ウチが安定して勝ち続けるのは難しいと思うので、来年に期待したいと思います。よろしくお願いします!
さて今年のよかった面についても目を向けると。
特に成長した若手がいました。
まずは何と言っても細谷君です。昨年夏以降勝てないまま終わったのは、細谷君が息切れしたからとも言えるのですが、今年はそんなことなく シーズン通して点を取り続けて14得点。立派なエースストライカーに成長しました。めっちゃ嬉しい。
驚きだったのは松本君です。シーズン途中に先発の機会を与えられると、がっちりと正GKの座をキープ。最後天皇杯で大活躍し、スポットライトを浴びました。勝ててたら完璧だったのにー。
松本君はアカデミー卒の他のライバルと比べると、高校年代での実績は乏しく、直でトップチームに昇格はなりませんでした。さらに言うと武者修行に出た先の大宮でも結果を残していない。正直厳しいなと思って見ていたのですけれども、あれよあれよという間に正GK。地道に力を蓄えていたんだなあと思います。
すごいド派手なダイビングでのセーブを見せるというよりは、ポジショニングのよさが目立ちます。いいポジション取って寄せていって、シュートを体に当てる。それで防いだ失点がかなり多かったような気がします。来年は今年最後に味わったあの悔しさを、ぜひぜひ晴らしてほしいと思います!
驚いたといえば、山田雄士君の帰還にも驚きました。育成型のレンタルだったので、いつでも戻せることは知っていましたが、シーズン途中のレンタルバックはあまり記憶にありません。って言うか、初めてじゃないか?
武者修行先の栃木の試合も見ていたので、成長しているなあとは思っていました。ぶっちゃけ栃木の攻撃陣で一番安定してスタメンで出ていたのは山田君という状態。返してもらったら栃木は大丈夫なのだろうかと思ったぐらい。実際に帰ってきてからすぐに結果を出して、ポジションを取りました。
前述の通り、僕はウチの強みである育成をトップチームの成績に結びつけなければいけないと思っているので、山田君の帰還と活躍はとても嬉しかったのです。他の人にも続いてほしいな。
さて、そういうことを考えていると移籍事情が気になります。いくつかリリースが出ています。
まずアンジェロッティさんとエメルソン・サントスさんが契約満了。
二人ともレンタル移籍だったので、ウチに籍が残っていた形。考えてみると、この辺りの補強が今残っていないというのが、最近苦しい状態になっていることとシンクロしますね。
ちらりと噂が出ていた椎橋君の名古屋移籍が決まりました。
めっちゃがっかり。
千葉県船橋市出身と、ご近所の出の椎橋君には、長くいてほしいと思っていたのに。それにせっかく中盤を含めて守備組織が整備できたところで、これを来年に繋ぎたかったのになあ。悲しい。
名古屋はなんか出入りが激しいですね。
こちらは急でびっくりしたのが、山田康太君のG大阪への移籍。
G大阪は中盤の山本選手をFC東京にぶっこ抜かれているので、玉突き的な移籍でしょうか。康太君がもう一伸び成長することが来季のウチの課題かなと見ていたので、本当にびっくりしました。
さて入ってくる人もいます。まず鵜木君が水戸から帰還!
山田君が帰ってきて活躍しましたが、ずっとJ2をチェックしていた感想で言うと、鵜木君もかなり有望です。
ネルシーニョ監督のもと、守備の強度はもともと上がっていたのですが、それに磨きがかかり、さらに攻撃で自分の型ができてきました。右サイドを主戦場にボールを受けると、ドリブルを仕掛けてクロスを供給。さらにミドルシュートの威力が上がっており、シーズン後半にはとんでもないやつを決めていました。
かなり期待しています。がんばって!
そして京都から木下康介選手を完全移籍で獲得。いらっしゃいませー!
木下さんは190cmある大型フォワードです。しかし京都ではちょっと特徴的な使われ方をしていました。中央ではなく左サイドだったのです。
サイズだけではなく、足元もあって突破力も見せていました。京都の場合は右に豊川選手がいて、いい クロスが上がってくるので、それをファーで叩き込むというシーンが見られました。
前線に高さが加わるのは面白いかなと思います。ぜひがんばってほしいです!
そして犬飼さんは浦和から完全移籍で買い取り!
攻守両面で課題があった中、守備に関してはかなりの強度に高めることができました。8月から2敗しかせずリーグを終えたのですが、それは守備の安定がもたらしたもの。シーズン途中に加わった犬飼さんの貢献がかなり大きかった。
来年もよろしくお願いします!
さてもう一つ、けっこうチームの来季の浮沈に重要なんではないかと思っている噂があるのですが、あれはどうなるのかな。
最近のコメント