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2023/07/05

給食アンサンブル

給食アンサンブル (如月かずさ・著)を読みました!

給食アンサンブル

美貴は転校した学校になじめないでいた。以前通っていたのは清凛女子学院。有名な私立のお嬢様学校。父の事業の失敗で東京を離れ、母方の実家で暮らすことになったので、公立中学に転校してきたのだ。一応友達もできて、表面的には問題なく過ごせている。だが心の底では昔の生活に戻り、また清凛に通いたいと思っているのだった。

うまく隠し通せていると思ったそれがばれてしまったのは、公民館へ飾られた七夕飾りのせい。最初は特に願い事が思いつかないと言って、みんなの前では書かなかったが、後になって引き返し、清凛に帰りたいと書いた。それが原因で友達の梢と仲違いをして一人ぽっちになってしまった美貴。だが、ある日、給食の時に……。

如月先生は創作集団プロミネンスでご一緒させていただいております。

今回こちらの本を、仕事の参考図書として読みました。最近僕は参考図書読みに追われています。ここから今月さらに大量の作品群が控えているのですが、自分の創作とは別口の仕事の参考図書なので、当然好みと関係なく読むわけですよ。そうすると、どうしても面白くないけど読まなきゃという苦行が発生するのですが。

そこで面白いお話に出会えると、喜びは二倍なのです。

すばらしいなと思ったのは、上のあらすじで書いた最初のお話『七夕ゼリー』と、最後の『卒業メニュー』です。単品でももちろんいい話なのですが、この二つがセットになった時、より深みを増すのです。

この作品は全6話の短編集。ただ舞台は同じクラスで、ある生徒が主人公になると、次は別の生徒が、という形。そして必ずお話に給食が絡む構成。そこで最初の第1話と最後の第6話で、ちょうど立場が逆になっているんですよ。その対比がお見事です。

そしてタイトル通りに、卒業メニューが絡んでくる。梢が一番欲しかったものが、給食の中で表される。うるっと来る友情のお話。

そう来るんだと感心しきりでした。本当によかったです。

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