合成燃料使用可なるか
ちょっと前になりますが、こちらのニュースを見ました。
ドイツ、合成燃料で走る内燃機関車の例外的販売求める
ドイツは欧州連合(EU)に対し、二酸化炭素(CO2)を実質排出しない合成燃料(e-fuel)で走る内燃機関車を2035年以降も欧州で販売することを容認する規則を提案するよう要請した。
EUは域内でガソリン車など内燃機関車の新車販売を35年以降禁止する法律の整備で合意している。
しかしドイツは、クリーンな方法で生産する合成燃料で動く内燃機関車の販売を可能にするよう求めている。回収したCO2で合成する燃料は、燃焼時に排出されるCO2が相殺されるためカーボンニュートラルと考えられており、内燃機関車を引き続き利用できるようにするために開発が進んでいる。
独運輸省のミハエル・トイラー政務次官は、EU欧州委員会が合成燃料や合成燃料で走る内燃機関車の利用可能性について提案をまとめるべきだと指摘。ストックホルムで開催されたEU運輸・エネルギー相理事会に出席した際に語った。
ドイツは電気自動車(EV)が「進むべき道」であると確信しているが、他のCO2フリー技術も支援してほしいという立場だと述べた。特に大型車やトラックなどで燃料電池や合成燃料が必要だと訴えた。
ロイター 23/2/28
EVにすべてを賭ける勢いだったドイツが、正気に返ったのかな? というお話。
幾度も書いていますが、僕はEVを普及させるならバッテリーの革新がいるなーと思って見ていたんですよね。なのに欧州が前のめりで全振りしてるから、大丈夫なのかなと眺めてた。
あと一度、ガソリンを電気に置き換える計算をしてみたことがあるのです。素人なので概算ですが、それでも少なくとも今の倍ぐらいの電気が必要そうだった。しかも火力も原子力も自然エネルギーに置き換えるとかやりだすと、環境破壊がしゃれになってなさそうだった。
そうするとですね、この記事で触れているようなカーボンニュートラル燃料っていいよねえ、という気分になって来るのです。
燃やすと二酸化炭素を出すけれど、作るときにその二酸化炭素を吸収すれば、プラスマイナス0という作戦。記事中のe-fuelは、自然エネルギーで作った電気で水を電気分解して水素を作り、空気中の二酸化炭素を集めて反応させ、ガソリンみたいな液体燃料を作るという、究極の合成燃料ですね。
あと、藻に油を作らせる研究がけっこう進んでいて、僕的にはこれが一押しです。日本ではユーグレナ社が普及に向けていろいろ動いていますね。
ユーグレナ、バイオ燃料を20%混合した“B20”の次世代バイオディーゼル「サステオ」を都内2か所のガソリンスタンドで一般販売開始
ユーグレナは3月6日、東京都内で次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」の一般販売を3月下旬までの期間限定で開始した。
今回の一般販売は東京都の補助事業として行なわれるもの。日東石油が運営する丸紅エネルギー系列の「東瑞江サービスステーション」(東京都江戸川区東瑞江1-3-14)と、ライフ白銅が運営する「セルフかつしか6号店」(東京都葛飾区白鳥2-20-20)の2か所のサービスステーション(ガソリンスタンド)で、ミドリムシ由来のバイオ燃料を20%混合した、“B20”の次世代バイオディーゼルとなるサステオを供給する。
なお、2021年4月にはセルフかつしか6号店で3日間の一般販売が行なわれており、今回が東京都内での2回目の一般販売となるが、約1か月の長期販売は東京都では初めての取り組みとなる。販売価格は通常の軽油と同価格で、東瑞江サービスステーションでの3月6日の提供価格は138円/L。総供給量は計60kL(東瑞江サービスステーションは10kL、セルフかつしか6号店は50kL)を予定している。
(中略)
給油式の後に行なわれた質疑応答で、「一般的に常に販売できるようになるのは何年後くらいになりそうか」という見通しを聞かれたユーグレナの出雲社長は「300円で買っていただけるのであればもうできます」と返答。現在も愛知県名古屋市のサービスステーション「名港潮見給油所」では、300円で一般販売を継続して行なっており、同価格で新しくサステオの取り扱いを希望する企業、サービスステーションがあれば、長期にわたる一般販売も可能だとした。
続けて「ただ、300円ではなかなか買っていただけないですし、最初は本当にバイオ燃料にして大丈夫かという抵抗や不安があると思います。今回、東京都に補助をしていただいて、品質面で問題がないという安心感を皆さまにお伝えしたい」と話し、今後はサステオのことを知ってもらい、問題がないと分かった上で、「300円だけどCO2削減で使いましょうという方」を増やし、サステオの供給ボリュームを増やすことで、値段を下げていく取り組みを長期的に行なっていきたいという展望を述べた。
また、出雲氏は今回の一般販売について「1か月間、サービスステーションにいつ来ていただいても給油できるというのはすごく大きいです。これで皆さんの意識が変わると思います。お子さんが学校へ行ってSDGsの授業を受けて、家に帰ってきて、『お父さん、お母さん、CO2削減にいいバイオ燃料っていうものを使ってみたい!』と言っても、どこにもバイオ燃料がないんですよ、今の日本に。この1か月間はサービスステーションにいつ来ていただいても、バイオ燃料を使っていただけますから、実際にそのバイオ燃料を使ったことがある、乗ったよっていう子供たち、ご家族、ユーザーの方を増やしていくという取り組みは、日本でここからスタートするんです。非常に意義の大きい取り組みだと思います。これで乗ってみて、何の問題もなかったと知っていただき、その上で、20%がバイオ燃料なので、自分はCO2削減に貢献したんだと思っていただける。このサービスステーションがSDGsが自分ごとになる一番いいきっかけになると考えると、ちょっとワクワクしてきますよね」と想いを熱く語った。
Car Watch 23/3/6
こちらの燃料はディーゼルエンジンなら特に何もせずとも普通に使えるのがいいところ。B20のお値段が補助金なしで300円、この記事では軽油が138円。とすると、バイオ燃料の部分は単純計算だと648円。ユーグレナ社はマレーシアで他の会社といっしょに巨大プラントを建てて、コストダウンを計画しています。そういう企業努力でどれぐらいまで下げられるかな。
下水を藻類の栄養源に利用してバイオ燃料を作る研究もあります。究極の地産地消に持っていければ、日本のエネルギー安全保障的にもよろしい。
EV全振りでそういう可能性が政治的に潰されたらやだなーと思っているので、そこに違う流れができるのであれば大歓迎。どうなるのかな。
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