13歳のシーズン
13歳のシーズン (あさのあつこ・著)を読みました!
中学1年生の藤平茉里(ふじひら・まり)は、ついさっき起きた人生初の体験にドキドキとしていた。同じクラスの苅野真吾(かりの・しんご)から、付き合ってほしいと告白されたのだ。
美人の姉に比べて地味な自分の容姿にコンプレックスを持っていた茉莉は、自分でもいいと言ってくれる人がいるんだと、その言葉に心が軽やかになった。だがその告白は、実は罰ゲームで……。
僕はしょっちゅうここで、「けなげっ子に弱い」という話をしていると思うのですが。
このお話の茉里が、まさにそういうタイプでした。お姉ちゃんは成績優秀、ぱっちり二重で鼻筋の通った美人。それに比べて自分は丸顔丸鼻の一重まぶたでそばかす付き。おっとり大人しくて、おしゃべりも苦手。母親までお姉ちゃん自慢でべったりで、たまに自分のことは忘れられている気がしている。
そんな状況だけれども、茉里はけなげにがんばっています。人知れず花に水やりをしていたり、資料室の掃除を一人押し付けられても黙々とがんばったり。めっちゃいい子なのです。
さらにこのお話は、茉里の他、綾部深雪(あやべ・みゆき)、駒木千博(こまき・ちひろ)、そしてさらに前述の苅野真吾が夏休みの自由研究課題をきっかけになかよくなり、それぞれの悩みが書かれていく展開なのですが、真吾は深雪が好きなんですよね。茉里は早い段階でそれを知っているし、自分への告白が罰ゲームだったということも他の子から聞いて知っている。でもだから怒ったりはしていない。コンプレックスがあるから、こんな自分じゃなければ違ったのかなと、心の奥底にその哀しみを押し込めている。
そういうことが、ちらりちらりと見えていて、茉里が幸せになってほしいなと思いながら読んでいました。
そしたらなんとですな、最近茉里を見てるとドキドキしちゃうけどなぜだろうという男の子が登場! 春、遠からじ、の予感!
春が来るところまでは書かれてないんですけれども。あのあとどうなったのかなあ。
あとですね、こういうささやかな物語をぐいぐい読ませる、あさの先生の腕前にも感心しきりでした。
ちょっと読み始めるとすいすい進む。平易な言葉で書いてあるから、というのとはちょっと違う。文章を先へ先へとドライブしていくコツというのがあると思うのです。大きなイベントを起こして興味を引き続けるという手法とは別の、職人技的な何か。
それを身につけることができたら、何を書いても面白いという状態に持っていける。その技、ほしいなあ。
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コメント
けなげっ子…現実の世界ではあまり報われない事が多いですね(ノ_<。)見てくれる人はいることを信じたいですね…(もう今更遅いってこともありますが)少し変になってすいませんm(__)m
ラブラブ奈緒子先生で奈緒子先生は最初から森山先生は彼女がいるんじゃ…と思っているシーンがありましたが、奈緒子先生は大人だし片思い経験も何回かあるのでしょうね…。森山先生への片思いの行方はどうなるんですか?そして森山先生はおそらくサッカーの事しか頭にないんでしょうけど、元カノとかで奈緒子先生と三角関係に…という展開もあったんでしょうか…?そして奈緒子先生も誰か密かに思われていてという事も?
投稿: みゅー | 2023/03/23 20:40
奈緒子先生は恋愛下手っぽいですよね。
森山先生は公私そつなくこなしていそう。
ラストはハッピーエンドにしたいですねえ。
投稿: かわせ | 2023/03/31 01:17