5類降格が招く危機感
とうとう新型コロナを感染症5類に下げるという話が決まりました。GW明けから。
これに対して、僕は危機感バリバリです。何がやばいって、政治家の中にこれでマスクしなくていいとか言っちゃう人がいることですね。
自民・茂木氏「海外でマスクしている人いない」
自民党の茂木敏充幹事長は24日の記者会見で、屋内のマスク着用は不要との考えを示した。「海外では屋外はもちろん屋内でもマスクをしている人はほとんど見かけない」と指摘した上で「基本的に新型コロナウイルス対応はグローバルスタンダードで良いと思う」と述べた。
政府は新型コロナの感染症法上の位置付けを、現在の「2類相当」から季節性インフルエンザと同じ「5類」に変更する方向で検討している。これに伴い、屋内でのマスク着用の在り方も焦点となっている。
茂木氏は会見で、専門家の検討を前提とした上で「一日も早く日常生活を取り戻していくステージにそろそろ入っていくべきだ」と強調した。
幹事長がこのレベル。海外がやってないからという思考停止。日本のメディアの中には日本下げたい勢がたくさんいるので、ワイドショーとか見てると日本は対策を失敗しているように感じるかもしれませんが、数字見たら日本の圧勝ですからね。
グローバルスタンダードというかっこいいワードを使って何か言った気分になってるみたいなので、それではグローバルスタンダードがどういうものか、数字を挙げてみましょう。
たとえばイギリス。1/29時点で人口6733万人に対して死者21万7262人。日本の人口はほぼ倍の1億2570万人ですから、死者40万人レベルです。アメリカだと人口3億3190万人に対して死者110万7645人で、日本の人口に換算するとやっぱり40万人を超えます。そこで日本の実際の死者は6万7396人。つまりグローバルスタンダードの対策では、あと35万人は余計に死んでるということです。
彼らのマスク使用率が低いのは、顔を隠すのを嫌がる文化があるからで、理詰めの思考の結果ではない。イスラム教徒のスカーフを攻撃しているのと同根だと思う。
まあ実際には、グローバルスタンダードという印籠を使って黙らせての、別の狙いなんだろうな。世論合わせの支持率狙いかね。やだやだ。
マスクも否定して感染対策を緩めようとするのは、人出を多くして経済を回したいからだと思われます。飲食や観光業からは歓迎の声が聞こえます。ただ僕は経済も問題だと思いますが、命はなくしたら取り返せないけど仕事は最悪なくしても次の手があるだろと考えていたので、経済側で工夫して対応していく流れを期待していたのです。でもあんまり起きなかったですね。我慢してれば以前に戻れると考えてたのかな。
でも、そんなものはもう帰ってこないのではないか。新型コロナウイルスは、それこそインフルエンザと同じような、土着のウイルスになってしまいました。そして、インフルエンザがはっきりとした季節性があり年一の流行なのに対して、新型コロナはあまり季節が関係なく、年2回ペースで感染の波が来ています。さらに感染力は圧倒的。ウイルス中最強レベルになってしまいました。
その結果、第8波で何万人も死んでる。第9波もそうなります。第10波もそうなるでしょう。対策を緩めるのが科学的熟慮の結果じゃないのだから、当然。
いやむしろ、こうして油断する人が増えるのだから、被害はもっと大きくなるはずです。病院はパンクし、救急車は働き詰めで事故を起こし横転、さらに普段なら助かる他の病気、怪我の人も助けられず。そんな状況が繰り返される。でも大丈夫。それは見なかったことにして、ことさら取り上げなければよい。それもグローバルスタンダードですね。「いつもの暮らし」を取り戻すためには仕方ない犠牲なんですよ。
やだやだ。そんなことに巻き込まれることに、ものすごい危機感があります。
政治家の発言でもう一つ気になったのは、子供たちがコロナ対策でマスクさせられてかわいそうだったけれど、これで楽しい学校生活が送れる、というものです。複数見かけました。
確かに肺から気管へと感染場所が変わって以降、致死率は下がりました。現在亡くなっているのは高齢者で、子供にとってはきつめのインフルエンザと変わらないようにも見える。
ただ、子供たちにとり、今最悪のリスクとして考えられるのは、新型コロナウイルス感染の後遺症で、脳が委縮しているケースがあるという研究結果です。一度かかると10年老化するという表現も使われていました。
子供たちはこれからの人生で、新型コロナウイルスと共生することになります。感染力が強化され免疫回避力が上がった変異株が流行する傾向は止まっていないので、一生のうち何度も何度もかかることになるでしょう。
そのたびにロシアンルーレットの引き金を引き、後遺症リスクと向き合うことになる。後遺症は軽症でも、何なら無症状でも発症しています。そこら辺はまだ原因が解明されていない。
後遺症の研究結果にはばらつきが見られるのですが、大阪大学の大規模調査では感染者の約半数が後遺症を発症。100日後で治っていない人が2.5%。これは僕が見たニュースの中ではかなりいい方の数字です。このあいだそれについて書いた記事。
他は治療に当たっている人の記事が多く、ということはその分症状が重い人が集まっていることが考えられるのですが、大阪公立大・井本先生の話では1年後で56%の人に症状が残っている。
政府は新型コロナの後遺症に苦しむ「コロナ難民」をサポートするべき
ジャーナリストの鈴木哲夫が1月12日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。コロナ後遺症により通常の社会生活を送ることができない「コロナ難民」について解説した。
コロナ後遺症
新型コロナウイルス感染者の半数以上が、感染1年後も何らかの後遺症があると訴えたとの調査結果を、大阪公立大学病院の井本医師らのチームが発表した。重症者だけでなく、軽症者も同様の傾向がみられている。
飯田)2020年の1年間に、大阪府内の5病院で治療を受けた感染者285人が対象で、1年後の後遺症の有無などを尋ねたものです。56%にあたる160人が、倦怠感など何らかの後遺症があると回答したそうです。
(後略)
ニッポン放送 NEWS ONLINE 23/1/12
コロナアフターケア外来のある岡山大学病院・大塚副病院長によると、10代患者の14%が学校に行けなくなっているとのこと。
新型コロナ「後遺症」の今 オミクロン株で「倦怠感」「睡眠障害」が急増 記憶障害や集中力低下も
(前略)
従来株からデルタ株に感染者が移り変わった際、嗅覚障害や味覚障害が増加しましたが、オミクロン株では減少に転じました。
一方で「倦怠感」は、オミクロン株になり3倍に急増しています。
また、睡眠障害も4倍以上に増えるなど、後遺症の内容は変化しています。
そしてもう一つオミクロン株で増えた症状が、「ブレイン・フォグ」。頭に霧がかかったような状態で記憶障害や集中力の低下、頭痛などが見られます。【岡山大学病院・大塚文男副病院長】
「勉強しようとしても集中できないとか、ふっとするような気が遠くなるとか、人からさぼっているとかですね。会社や学校で困るケースもあるので私ども診断書が必要な場合は書いたりする」後遺症への周囲の理解が大切になっています。
一方、受診患者の年齢を見ると、40代が一番多く30代~50代が6割を占めています。【岡山大学病院・大塚文男副病院長】
「働き盛りの若い方に後遺症の症状が残りやすい傾向。10代の方が14%学校に行けなくなったりしますので、このあたり大事だと思いますね」後遺症は治ると話す大塚医師。しかし治療には平均的に半年以上を要すると言います。
【岡山大学病院・大塚文男副病院長】
「後遺症はいったんなってしまうと長引くことが多い。特効薬としてここを直せば効くといったそういったものはまだない。5類になったからもう完全に感染してもいいんだという風にならないようにやっぱり気を引き締めるところは必要。最初の感染をとめることが大事」FNNプライムオンライン テレビ新広島23/1/26
後遺症治療に当たりSNSで積極的に発信しているヒラハタクリニックの平畑先生のところでは、20.9%の患者さんが仕事ができなくなっているそうです。日本人の「コロナ後遺症」実態調査、日常生活に影響が大きいのは男女どちら? DIAMOND ONLINE 23/1/14
こうして人生が大きく狂わされるリスクがあって、さらに前に記事で書いたように、脳にダメージがあって10年老化と同じぐらい委縮しているという研究がある。何度もかかったら中年に差し掛かった時にはもう脳みそが使い物にならなくなっているのでは、という最悪の未来もあるのです。治療法が確立しているならともかく、まだ全然緩めていいフェーズだとは思えない。
その時に子供がマスクしていてかわいそうと言えちゃう、情報をきちんと集めていないのではと思われる人が、政治の世界にいる恐怖。ほんと、自分のは自分で守るしかないんだと、危機感バリバリなのです。いやだなあ。
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