日本の月探査とSF
ちょっと前になりますが、宇宙開発絡みのニュースが二つありました。
まずアメリカのアルテミス計画。再び月を目指して、月面着陸したり、宇宙ステーションを作ったりする計画で、日本も参加しています。その第一弾、無人機で月を周回させ、地球に帰還させる試験飛行が成功裡に終わりました。
さて、このロケットには相乗りで小型衛星がいくつも載っていて、そのうち二つが日本の衛星でした。
一つがOMOTENASHI。月面着陸を目指した小型実験機です。残念ながらこちらは、ロケットからの切り離し時にトラブル発生。姿勢制御がうまくいかずにソーラーパネルがあさっての方向を向いてしまい、充電できずに通信断絶。当初の目的としていた月への着陸を断念しました。現在もう一つの計画だった地球磁気圏外での放射線環境測定を目指して、なんとか復旧させようとしています。
現在、当然あるんだろうなと思っていたので驚きがない東京五輪絡みの汚職の調査が進んでいるので、「オモテナシ」という名前が縁起悪かったのだろうかと思いました(関係ない)。
もう一つがEQUULEUS(エクレウス)。こちらは小型の観測衛星で、気化させた水、つまり水蒸気を噴射することで推力を得る水レジストジェット「AQUARIUS(アクエリアス)」を推進システムとして搭載しており、地球-月系のラグランジュ点L2まで飛行する計画です。
ラグランジュ点とは、周回する二つの天体があった時に、両方の引力と遠心力のバランスがとれるポイント。そこに置いた物体は安定した軌道になるのです。ちなみにこちら、機動戦士ガンダムでスペースコロニーが作られていた場所ですね。月の向こう側のL2ポイントはサイド3があったところ。つまり現在、ジオン公国に向かって探査機が飛んでいるということだ!(違う)
さてもう一つ、スペースX社のファルコン9ロケットにより、日本のispace社の「HAKUTO-R」ミッション1ランダーが打ち上げられています。こちらは無人月着陸船で、いろいろな探査機を積んでいるのですが、そちらが以前一度記事に書きました「SORA-Q」。
JAXAとタカラトミーが共同開発した、トランスフォーマーの変形機構を取り入れた月面探査車です! ……というのは正確ではないけれど、別に嘘じゃないところがすごい。タカラトミーが参加したのは、本当におもちゃで培った変形機構のノウハウを提供するためです。他にソニーと同志社大学が開発に参加。2台用意されていて、そのうちの1台が搭載されています。
ちなみにタカラトミーのHPの商品ページのところに、このSORA-Qのページがあります。同じ動きをするおもちゃ版も企画されているもよう。僕が子供の頃なら絶対ほしい。なんなら今でもほしい。
こちらは4月ごろに月に到達予定です。アポロ宇宙船は3日で月に到達したのですが、こちらは燃料を節約するために、かなり遠回りの軌道を取っているようです。地球から150万km地点に行くと知って、先ほどの地球‐月系のラグランジュ点じゃなくて、太陽‐地球系のラグランジュ点かなと思い、調べてみたら当たりの模様。
ただし軌道図を見たのですが、そこに行くと何で燃料の節約になるのかがよくわかりません。月軌道に入るブレーキを、ラグランジュ点に引っ張られることで行うということ?
僕は自分の小説『キャプテン・ラクトの宇宙船』で、主人公のラクト君に「航行シミュレーションで遊び続けた結果、直感で最適な軌道がわかるようになった」という設定をつけましたが、実際に軌道図見てみるとちんぷんかんぷんですね。これがわかるようになってるのか。すごいな。
日本の月探査という時点でも興味津々なのですが、いろいろSFと絡んでいるのが面白いなと思ったのでした。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- トラブルにて(2025.04.28)
- 大忙し期間終了(2025.04.04)
- 上がったり下がったり(2025.03.31)
- 蜘蛛の糸(2025.03.24)
- ヌーの旅路(2025.03.18)
コメント