大相撲令和四年十一月場所 残酷な巴戦
大相撲令和四年十一月場所は、阿炎関の初優勝で幕を閉じました。
今場所は横綱・照ノ富士関は膝の手術をして休場。角番の大関・正代関は元気なく、先場所角番負け越しで大関陥落となった御嶽海関は、二桁勝てば大関に戻れたのに、こちらも元気なく。
それでいて関脇3人小結4人と、先場所好調で上位にいる人が多く、結果、大混戦となりました。
最後は12勝3敗で、大関・貴景勝関、前頭筆頭・高安関、前頭九枚目・阿炎関と3人が並んでの優勝決定巴戦。28年ぶりだそうです。そこで初優勝したのが阿炎関なのですが。
印象に残ったのは、また優勝を逃した高安関です。
多分メンタルの問題だと思うのですが、ここ一番をことごとく落とすんですよね。
今年だけでもう3回目。三月場所、13日目終了時点で1敗で単独首位。そこから連敗して優勝決定戦に持ち込まれ、若隆景関初優勝。九月場所は、2敗の玉鷲関と3敗の高安関で千秋楽対決。ここで勝って優勝決定戦に持ち込みたい一番で負けて、玉鷲関初優勝。今場所は一人2敗で千秋楽を迎え、勝てば初優勝の本割で阿炎関に負けて、3敗で3人が並んで巴戦。そしてその一戦でやはり負けて、相手の阿炎関が初優勝。
単に負けているだけではなく、対戦相手がことごとく目の前で自分が欲しくて欲しくて仕方ない初優勝をかっさらっています。
さらに今回の優勝決定巴戦での負け方が衝撃的。立ち合い、かち上げに行ったのに阿炎関が大きく変化したものだから頭から突っ込む形になってしまって脳震盪。土俵に突っ伏して立ち上がれない。
ここで競技の違いを感じてちょっとびっくりしました。脳震盪といえば、いつも見ているサッカーでもヘディングの競り合いでよく起きるのですが、最近サッカーでは脳震盪を起こした選手に無理はさせないことが徹底されています。脳震盪での交代が別枠で用意されており、様子がおかしかったら即交代。
ところがこの場面では、まったく体のコントロールがきかず立ち上がれない高安関を、動かないように寝かせることもなく、さらに控えに連れて行く。これ貴景勝関が勝ったら、もう一番取らせるの? と、びっくりしました。ふらふらなのに、勝てるわけない。
そんな絶望的な状況で、見上げる土俵で阿炎関が思い切りよく立ち会って貴景勝関を破って初優勝。この構図の残酷さ。物語でもなかなか作らない。
ただ、物語ならこの後の逆転のドラマが期待できるのですが。高安関が賜杯を手にする日は来るのでしょうか。
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