癌のウイルス治療
7/25放送分のNHKクローズアップ現代『ウイルスの力を病気を治す力へ~がん・難病治療の新戦略~』を見たのです。
ウイルスが細胞に感染する力を利用して、病気を治そうという試みが紹介されていたのですが。
その中に、以前見たことがある研究がありました。
2010年7月10日放送のサイエンスZEROで紹介されていた、ヘルペスウイルスによる癌治療。
ヘルペスウイルスは水疱瘡、帯状疱疹、口唇ヘルペスなど、かかると水疱ができるウイルスです。2014年から水疱瘡ワクチンを打つようになったので、今の子供はあまりかかっていないのでしょうか。僕の世代だとだいたい子供の頃にかかっており、そして一度体内に入ったウイルスは絶滅せずに潜伏しているので、ストレスなどで免疫力が下がるとまた発症。これが帯状疱疹です。
さてウイルスというのは基本的に、細胞に感染してその機構を借りて増殖。出ていくときに細胞を壊すので、人が病気になるという仕組みなのですが。
癌細胞も細胞なのでウイルス感染をします。ウイルス性の病気になると癌がちょっとよくなるという例が、昔から知られていたのだそうです。
ただそのままだと当然、健康な細胞もやられてしまいます。そのためこのウイルスは、癌細胞では増えるけれど正常細胞では増えないように遺伝子が改変されています。癌細胞というのは正常な細胞の遺伝子の何カ所かに異常が発生、無限に増殖するようになってしまったもの。その遺伝子の異常に合わせてウイルスの遺伝子をいじるので、癌細胞でしか増殖しないという仕組み。そのため、いろいろな癌に効くはずだという話でした。
この回を見た時には、これは究極の治療法なのではないかとわくわくしました。何しろ、仕組み的に適用可能範囲が広く、そして副作用も少ないはずです。今の治療法よりもむしろこちらを最初にやった方が、患者の負担も少ないでしょう。どの癌もウイルスを打ち込む注射一本で治療可能、となったら最高じゃないですか。
その後も時折思い出して、どうなったのかなとニュースを探ったりしていました。ただ、なかなか実用化しそうになかった。番組を見た印象ではすぐにでも行けそうだと期待していたので、やきもきしていたのですが。
臨床試験に進んだというニュースを見かけて。
そして今回の番組で、その結果が良好と知りました。
よかったなあ。このままどんどんいろんな癌に使えるようになってほしいですね!
そして僕が初めて知ってから十年間という長い間、コツコツ研究を続けてきたんだなあというところも感慨深い。こうした研究者の日々の積み重ねが、人類の暮らしをよくしていくんですよね。
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