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2022/08/25

代替燃料と車

昨日書きました通り、こちらの番組を見まして。

混迷の世紀 「第1回 ロシア発 エネルギーショック」 NHK総合2022/8/9放送。

現在のロシアのウクライナ侵攻に端を発するエネルギー資源危機とその対策についての番組。本日はこちらの番組でも触れられていた、次世代エネルギーについてです。

この前、SDGsの御旗のもとにのめり込んでいく様子を「もはやファッションのよう」と書きましたけど、一番それを感じているのは、車です。特に欧州ではなるべく早い段階で、全EV化を進めようとしています。

どうなんだろね?

こちらもバッテリーの問題があると思うのです。そして前回の太陽光、風力発電よりも難題です。

発電の場合、普及を後押ししようといろいろ優遇してきましたが、そろそろその辺は一本立ちしろと業者に安定供給義務を負わせれば解決だと思うんですよ。大容量の蓄電施設を併設するか、非常用発電機を併設するか。どちらも技術的には問題はないはず。コストがかかって、うまい汁が減るぐらいですね。

しかし車の場合には少し問題が出てきます。まず車に積まなければいけないので、コンパクトであることが求められます。もう一つ、途中でエネルギー切れになると困るので、ぱぱっと充電できなければいけません。

さらにですね、寿命の問題もあると思うのです。

僕はディスカバリーチャンネルでやっている『名車再生!クラシックカー・ディーラーズ』がとても好きで、よく見ているのですが、ガソリン車の場合、50年前の車でも、ちょっと整備してやれば普通に走っています。

それに対してEVの場合、バッテリーの寿命がずっと短い。調べてみると自動車メーカーで保証してるのは8年、16万kmほど。ガソリン車の新車の買い替えが平均7年ぐらいなので、買い替えのタイミング的にはそんなに変わらないのではという意見を見たのですが。

それは新車を買える豊かな先進国の話ではなかろうか。頑丈で壊れにくい日本車の中古車は途上国で人気で、数多く輸出されています。昨年で122万台。

そして現在のバッテリーは、液体燃料、つまりガソリンなんかに比べて、エネルギー源としての性能が格段に落ちるのです。

エネルギー密度と言って、どれぐらいのエネルギーが蓄えられているかで比較すると、同じ重さや体積当りで二桁、三桁くらい違います。その結果、ガソリンエンジン車の燃料タンクに比べてEVの車載バッテリーは大きく、そして重い。

そして、それだけのバッテリーを積まなければいけないので、車の値段も上がり、交換のための費用もかかる。そうすると中古車に頼っているような途上国にとって、EVは解になるのだろうか。

先進国では、上記のような問題点は何とかなるかもしれない。バッテリーの性能はまだ上がるでしょうし、急速充電インフラも整えられるかもしれない。でも途上国だとそれどころか、毎日何時間か停電するような国もあるのです。そこから何とかしないといけない。SDGs、持続可能な社会というのは全世界がなっていないと意味ないわけですよね。つまり全EV化というのは、そういうところも含んでいるはず。

さらに現在、電動飛行機も研究されているのですが、飛行機の方が機体の重さについてずっとシビアなので、この問題の影響はより大きいのではないか。

あとですね、僕はミリオタに片足突っ込んでるので、ディーゼルエンジンやジェットエンジン、タービンエンジンなどの技術を捨ててしまうと、軍用機や軍用車両は大問題なんじゃないかなと思うのです。インフラが壊されてるかもしれない戦場で、電気に頼るのはやばくないか。

以前は電気自動車になっていくのかなーと思ってたんですけど、いろいろ調べてそんなことを考えていると、全EV化で内燃機関の技術を捨てない方がいいんじゃないかと思い始め。

番組では、次世代エネルギーとして水素も取り上げていました。水素の重量エネルギー密度は優秀で、ガソリンと同程度。ただ、一番軽い気体なのでかさばり、体積エネルギー密度には差があります。

つまりガソリンのような液体燃料はめっちゃ優秀ということで、ますます、解は内燃機関じゃないかと思うようになりました。取り扱いも簡単な液体燃料の方が、全世界的にはいいのではないか。

さてそんなことを考えている時に、注目しているのは。

そもそも地球温暖化でガソリン車が目の敵にされるのは、化石燃料を使っているからです。植物や藻のような過去の生物の遺骸から石油はできていると言われています。つまり過去何千万年、何億年分の大地の中で眠っていた炭素を燃やして、大気中に戻してしまっている。だから大気中の二酸化炭素濃度がどんどん増えていく。

だったら、「化石」じゃなければいいのではないか。

今地上にある炭素を、今使えばいいのではないか。

いわゆるカーボンニュートラルという考え方ですね。ということで人工的に作る液体燃料の研究が進んでいるのです。

一つは以前話題になった、微生物の藻から作る油。コストがなかなか下げ切れずに自動車燃料として全面的には利用されていませんが、技術的にはもう可能。ジェット燃料では代替燃料の使用が推奨されていて、そちらにも混ぜられています。それで今お値段二倍ぐらいまでは来ている模様。飛行機は切り替わりそうです。

今輸入している石油と同量の生産をすることができるという研究も見かけました。この方は下水の中の栄養分を利用して藻を育てる研究をしています。下水処理にもなるので一石二鳥ですね。「日本を産油国に」と宣言して顰蹙かった藻類バイオマスエネルギー 今、再び注目される3つの理由 Newsweek日本版 22/4/2

また他にも、藻のように生物を使うのではなく、直接石油と同様の炭化水素を作るという研究も進んでいます。材料は水素と二酸化炭素で行けて、合成に必要な水素を自然エネルギーから作った電気を使用して生産するものをe-fuelといいます。これをレースに使って性能を試すということも行われています。F1は2026年にそちらに燃料を切り替えるとのこと。

こちらも一般に利用されるようにするための問題はお値段。どこまでコストを下げられるか。

そしてもう一つ、間に合うかどうかが問題です。液体燃料のいいところは、既存の流通網をそのまま使えるところです。藻から作る油や合成して作る炭化水素からは、成分的にはほぼ今のガソリンと変わらないものができるからです。

ただ中途半端にEVが普及してしまった後だと、ガソリンスタンドの経営が成り立たなくなっていて流通網が消えてるかもしれない。

その前に直接、今の化石燃料から新しい液体燃料へ切り替わるのがベストなんじゃないかな、というのが今の僕の意見なのですが。

前述の通りEVを推している欧州各国などは、ものすごい前のめりなので、果たして間に合うか。

はらはらしつつ注目しています。

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