後遺症が世界を蝕む
このあいだワクチン追加接種の記事で、次に来るかもしれない新型コロナウイルスSARS-CoV-2の派生型、オミクロンBA.2.75に触れ、その感染力の強さに「人類亡ぼす気か」と書いたのですが。
そんなことを思ったのは、病原性の強さからではありません。オミクロン株は感染場所が肺より喉の方になっているので、肺炎にはあまりならず、死ぬ確率は減っています。重症化しづらいと言われているのはこれですね。
変異はランダムに起きるのですが、生き残って流行るかどうかは、より広まりやすい性質になったかどうかによる。そうすると、咳をした時によりウイルスをばらまきやすくなったこの変異は、このまま定着するのかもしれない。
ただ、それで安心というわけではありません。このウイルスの特徴の一つとして、流行当初から突然の重症化が挙げられていました。当時見ていたドキュメンタリー番組で、「午前中には安定していた人が、午後に突然亡くなる。こんな症状は初めてだ」と看護師さんが言っていてたのが印象に残っています。原因はどうも、身体の中で炎症の暴走を引き起こすからの模様。
免疫が弱っている高齢者だけではなく、太っている人や持病持ちの人がリスク高いとされるのは、もともと常に体内で炎症が起きているからですね。
さてここからが本題。この、炎症の暴走を引き起こし体のいろんなところで症状が出るという性質が、どうも後遺症にも関わっている様子。後遺症は体の各所、思ってもいなかったようなところでも起きています。そしてこれが、「人類を滅ぼすのでは」と一瞬思ってしまった原因です。「滅ぼす」は大袈裟ですけれど、重大な影響があるのではないか。
僕が後遺症を恐れていることは、ここで何度も書いています。脳に影響が出る可能性があるのがやばい。そんなことになったら、僕の人生は本当に意味のないものになる。
個人的にそう恐れているのですが、さらに、これは社会的にもやばいのではないかとも思っています。最初にかかった時の症状の程度と関係なく、無症状感染でも後遺症が発生しており、長期化する場合がけっこうあるからです。後遺症患者がどんどんたまっていく可能性があるなと思っていました。
そしたらだんだん、そういうニュースを見かけるようになってきたのです。
新型コロナ「8人に1人」に後遺症 オランダ研究で明らかに テレ朝ニュース 22/8/5
新型コロナに感染した8人に1人に後遺症がみられることがオランダの研究で明らかになりました。
フローニンゲン大学、アランカ・バレリング研究員:「症例数の増加を考慮すると、8人に1人でも膨大になる。だから労働者も生産性の低下につながるかもしれない」
イギリスの医学誌「ランセット」は、コロナ患者の8人に1人に感染後3カ月から5カ月の間に後遺症が見られたという研究結果を掲載しました。
主にせきや呼吸困難、全身倦怠(けんたい)感などで、症状が出たり治ったりを繰り返す人もいたということです。
研究対象は、初期のアルファ株などに感染した成人でワクチン接種を終えていた人は10%でした。
欧米では、コロナの後遺症が労働者の不足などにつながっている可能性が指摘されています。
研究者らは「人的被害が増大する緊急の問題」として、解明を進める必要があるとしています。
後遺症のうち、特に仕事に影響しそうなのが、全身症状である倦怠感。倦怠感というと「ちょっと疲れた」という語感ですが、実際の症状には力が入らず倒れたり寝た切りになったりするレベルのものが含まれています。
もうひとつが僕がひたすら恐れている脳への影響。ブレインフォグと呼ばれる、集中力や記憶力の低下。さらに、認知機能が低下し、物は見えているのにそこに書かれている言葉の意味が理解できないという症状もあるようです。
これでやばいことになるのではという予想を、先月の記事に書いていますね。ノーガードで日本人みんながかかると、単純計算では倦怠感で180万人、ブレインフォグで30万人が長期後遺症に陥るのではという懸念。
それがあながち杞憂ではないというのが上で引用した記事なのですが、もうちょっと身近な体験談を書いた記事も見かけました。イギリスで働く日本人看護師さんの手記。
コロナ療養中の英国看護師が訴える「憤りと不安」 「コロナと共存」選んだイギリスは正しいのか ピネガー由紀 東洋経済ONLINE 22/6/25
イギリスはウィズコロナと言いながらノーガード戦法に切り替えています。病院もかなり感染対策が緩くなっているとのこと。その結果。
現在、私が勤務する部署では、全スタッフの10%前後がコロナ感染や後遺症で自宅療養している。最も長い人では半年近く休んでいる。この同僚のように、コロナ後遺症が理由で3カ月以上の病欠を余儀なくされている人は、NHSの職員だけで1万人以上もいて、イギリス全体では200万人にも上るとされる。
イギリス全体で200万人。僕の単純計算は桁感としては間違っていないっぽい……?
ちなみにもう一つ懸念を書いておきましょう。
新型コロナの感染力はどんどん上がっています。そして変異を繰り返し、以前獲得した免疫を潜り抜け、何度もかかる病気になっています。そういう意味ではただの風邪と同様です。人生において、一度も風邪ひいたことがないという人はいないでしよう。
さてその調子で10回ほどかかったとします。風邪だったら人生のうち10回しかかかったことないとなったら、ずいぶんと健康な人です。僕は子供のころ身体が弱く、毎月のように風邪ひいて病院に行っていました。診察券裏にハンコを押してくれるのですが、押すところがなくなって表側にも押されていたぐらいです。人生で10回どころか、軽く100回はかかっているでしょう。さすがに4桁はないよな……?
さて、新型コロナにかかって8人に1人に後遺症が出るとしましょう。別のデータでは1年以上症状が続く人は3分の1。倦怠感とブレインフォグは合わせて10分の1ぐらいです。
10回かかって後遺症が出ない人は、8分の7の10乗で4人に1人しかいません。
ノーガード戦法だと、人生で10回かかることはあり得る。かなりの確率で後遺症が出る。そのうち10人に1人ぐらいが長引いて失職する。
そのとき社会は、その人を支えられるのだろうか?
それとも、支えない地獄を生み出すのだろうか?
長くなっちゃって、子供の話書いてない。さらに続く。
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