電子書籍成長中と一点の曇り
こちらの記事を読みました。
2021年度の市場規模は5510億円、2026年には8000億円市場に『電子書籍ビジネス調査報告書2022』8月10日発売 株式会社インプレスホールディングス PRTIMES 22/8/4
こちらは株式会社インプレスのシンクタンク部門であるインプレス総合研究所が主要な電子書籍関連事業者へのヒアリング調査、ユーザーへのアンケート等を分析したもの。毎年恒例なのです。
さて昨年の数字を眺めてみますと。
2021年度の電子書籍市場規模は前年比14.3%増の5510億円。コミックが前年度から658億円、16.4%増加の4660億円。文字もの等(文芸・実用書・写真集等)が同41億円、7.4%増加の597億円。雑誌が同10億円、3.8%減少の253億円。
漫画が目立つのは相変わらずなんですけど、文字物もずっと伸びています。何度かここに書いていますけど、両方やってる僕の感覚としては、小説の方が表示サイズに対する適応力等で電子書籍に向いていると思うので、力入れたらもっと伸びる余地があるんじゃないかな。
一つできたらいいなと考えるのは児童書ですね。学校でPC使うようになっているので、あそこに電子書籍が入り込んで、朝読でも読めるようにすると、電子書籍で読む習慣ができて、将来の読者を増やせる気がします。
漫画は前述の通り、相変わらず堅調に伸びているのですが、一つ気になる流れも見られます。
モバイルユーザーに対して、電子書籍の利用率を調査したところ、有料の電子書籍利用率は0.7%減の19.8%。無料の電子書籍のみの利用率は1.3%増の26.1%。
有料、無料を問わずに電子書籍を利用していると回答した人に、利用している電子書籍サービスやアプリを聞いたところ、「LINEマンガ」29.3%、「ピッコマ」28.7%、「Kindleストア」23.6%、「少年ジャンプ+」17.9%、「マガポケ」14.0%。上位5つのうち、4つがメディア型のマンガアプリ。
WEBTOONといわれるスマートフォンでの購読に最適化した縦スクロールのカラーのマンガに対する好みを聞くと、「とても好き」「好き」を合わせた好意的な評価は1.8%増の28.7%。若年層の方が好意的なユーザーの比率は高く、「とても好き」「好き」を合わせた比率は、女性10代では53.0%、男性10代では37.7%、男性20代では36.6%、女性20代では36.1%。
最初が、無料で楽しんで終わりの人が増えたというデータ。これにあとの二つが繋がっているのではないか。
漫画系のアプリは無料で見ることができます。特に上位2つはWEBTOON。単行本になりません。
自分でセルパブしているので、有料の壁の高さは痛感しています。ただより安い物はない。無料コンテンツがあふれている中で、お金を払ってもらうのは本当に大変です。そこのマネタイズをどうするか。
ビジネスのテクニカルな部分だけではありません。WEBTOONは形式の特性上、伏線を張る形の物語に向いていないなあと感じます。結末がわかっているのに再読したいタイプのお話は、伏線張ってあってクライマックスの高揚感を楽しめるパターンが多い。細かくPV調べて、シーンごとの盛り上がりを最優先にしてしまうと、その形は難しい。伏線のところは初見では盛り上がらず、離脱の可能性があるからです。
さらに、一コマごとに視野に入るようにしているので、話の展開を早くしないといけない。この部分もゆったり伏線を張るのには不向きです。
僕は特に、何度も盛り上がりを反すうするのが好きなタイプで、なので伏線大好きなのですが、全員がそうというわけじゃない。ここを気にせず楽しむ人もたくさんいる。それにWEBTOONはプロモーションに力を入れているし、今すぐ急に伸び悩むとか、そういうことはないと思うんですけど。
先々市場が飽和してきた時に、この辺がどうなっていくのかは、ちょっと気になりますね。
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