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2022/08/24

キレイなエネルギー

こちらの番組を見たのです。

混迷の世紀 「第1回 ロシア発 エネルギーショック」 NHK総合2022/8/9放送。

ちょっと経っちゃっていますけど、原稿描いてたり大忙し期間だったりで、なかなか記事に書き切れず、本日。

エネルギー資源輸出国であるロシアがウクライナ侵攻。核恫喝を繰り出したため、他の国が取れる手段は経済制裁がメインになりました。その結果、ロシア依存がひどかったヨーロッパ諸国では電力価格が高騰。他の国から調達しようとすることで、欧州以外の地域でのエネルギー資源調達価格も上がっている。その現場での事情と対策についての番組だったのですが。

僕はずっと以前から温暖化に関心があり、エネルギー資源についてのニュースも追っていました。そこで最近ちょっと思うところがあるのです。

地球温暖化対策はとても重要だと思うけれど、だんだんファッションのようになってきているのではないか。

考えるものではなく、感じるものになってしまっているのではないか。

例えば自然エネルギー、特に太陽光と風力発電です。天候に左右されるので、ベース電源としては不適当という話はずっと前から出ていました。

なので僕は、条件のいいときに作った分を溜めておける、大容量の蓄電施設を併設するとか、そういう高性能のバッテリーの開発が鍵なんだろうなあと思って見ていたのですが。

SDGsという言葉が作られて以降、「ウジウジ考えんなよ、やっちまえばなんとかなるんだよ」的なのめり込み方で対策に突き進んでいます。「太陽とか風とかさわやかで素敵だからキレイに決まってる」ぐらいの勢い。

結果、イギリスで開かれた気候変動対策会議COP26では、あちらの環境団体が日本に対して、化石賞なる素敵な賞を贈呈してくださってやがりました。日本は石炭火力発電の高性能化など、いろいろ工夫して段階的に減らそうという計画だったのですが、それは生ぬるいということですね。

しかし先ほど言いましたように、自然エネルギーは天候任せで安定していません。そして、たくさん作れる時に貯めておくというシステムもまだない以上、足りない時にはその分は他で発電するしかない。

それに一番向いているのが、出力の調節がしやすい火力発電です。その時に石炭よりも天然ガスの方が二酸化炭素排出量が少ないのでクリーンだ、という理屈で、石炭火力発電全廃という話になっている。

でも、効率あげて削減できるなら、同じじゃね? ちなみに日本の計画を調べると、高性能化による削減の先に、アンモニア燃料と混ぜて削減、さらにはアンモニア専焼による火力発電(二酸化炭素出なくなる)と、いろんなプランがあって興味深いです。

しかし、SDGs的に、ポリティカルコレクトネス的に、石炭火力廃止が正しいに決まってるから正しいんですよ。正しいに決まってることに異論を挟むのは許されないんですよ。

この手の思考停止が本当に嫌いなので、きつく書いてみました。SDGsという目標は立派だと思うのです。持続可能な社会の方がいいですし、みんなが幸せな方がいい。でも、そこに至る考え方が雑なのではないか。本気で目指しているのなら、むしろ自分の考えを常にチェックし続けるものではないのか。

さて、そのような雑な考えが支配的になった結果、ロシア産天然ガスに過度に依存し、ロシアに生命線を握られて「ガスのパイプライン止めたるぞゴラァ」とばかりに恫喝されているのです。これアメリカのトランプ大統領が当時批判していましたが、彼は「正しくない」ので言ってることは全部「正しくない」とばかりにスルーしてましたね。今度点検と称して全部止めるらしいですよ。

ノルドストリーム1、8月末から3日間供給停止 点検で

ロシア国営ガスプロムは19日、欧州に天然ガスを送る主要パイプライン「ノルドストリーム1」について、圧縮機の点検のため8月31日から9月2日までガス供給を停止すると発表した。

ノルドストリーム1の稼働率はすでに20%に低下しており、欧州のガス供給に一段の混乱が生じる恐れがある。

ガスプロムは、点検終了後に故障などがなければ、日量3300万立方メートルの供給を再開する計画とした。ノルドストリームの通常の輸送能力は日量1億6700万立方メートル。

点検は独シーメンスと共同で行われるという。ロイター22/8/20

揺さぶられてますねえ。

二酸化炭素排出量を減らすのが重要で、何で発電するのかは二の次だったはず。石炭火力の発電が高効率になって、その結果二酸化炭素排出量が減るのでも効果は同じだったのです。さらにドイツは、「キタナイに決まってる」原発も全廃する予定です。これもロシア依存に拍車をかけました。

電源をちゃんと分散していれば、こんなことにはなっていない。

こういう流れを見ていて、ちゃんと考えておらずイメージだけなんだな、感性で話してるんならもうファッションと同じじゃないか、と思ったという次第。

さて、この番組は解決策の模索も取材していました。次世代のエネルギーとして水素を扱っていたのですが。

長くなったので、その辺りは次回。

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