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2022/01/21

漫画の先行き

年末年始大忙し期間が例年以上に大忙しだった結果、見ることができていなかったのがこちら。

【年末特番】2021年の出版ニュースを振り返る ―― HON.jp News Casting / ゲスト:西田宗千佳(ITジャーナリスト)

年末をかなり過ぎちゃってますけど、ようやく見たので、一応感想を書いておこうと思います。

取り上げられた話題の中で気になったのは、ジャンプ+の躍進とウェブトゥーンの躍進の二つの話題。描き方の大きく違うこの二つが、ちょうど連続で取り上げられていました。

従来の漫画がネット上で展開するようになったのがジャンプ+。僕も毎週感想を上げているように、楽しく読んでおります。漫画のデジタルシフトが成功したのは、とてもいい話だと思います。

僕がジャンプ+を読むようになった経緯で思うのが、うまく本誌から読者を引っ張ってきたなということです。出張掲載で、作品の紹介をした。僕が最初に引っ張られたのは、『SPY×FAMIRY』でした。

そうしてうまく人を引っ張ってきて、読む習慣がついてそのままそこに読者がたまっていけば、次々とヒットが生まれますし、それが話題になってさらに新たな読者を呼び込めますし、そしてそういうところには今度は描き手の才能が集まってきて、さらにヒットが生まれ……。ジャンプの培ってきた読者という資産をうまく生かして、いい循環に持ち込みましたよね。

さてそれの次に取り上げられたのが、ウェブトゥーンの躍進。こちらは最近、取り上げた記事をよく見かけます。

ただ西田さんはウェブトゥーンに対して、ジャーナリスト的な視点で古いものと新しいものの対立構図で見ていたけれども、読者は単に面白い作品を見つけて読んでいるだけなのではないか、そういう対立項ではないのではないか、という話をしていました。

僕も、漫画に代わるものとしては違うのではないか、というふうに感じています。

この間まで縦読み漫画を手伝っていたので、ウェブトゥーンをいろいろ読んでみたのですが。

描き手の立場で一番気になったのは、その構造上、描きやすいものが絞られているということでした。

従来の漫画は紙の単行本になるというベースを捨てていないので、ウェブにシフトしても紙面の形を変えていません。見開き表示される場合と1ページで表示される場合が、見てるデバイスによって違うので、ページをまたいだ見開き表現がしづらくなりましたが、そこは視線の移動をしっかり考え込んで対応している模様。

それに対しウェブトゥーンは完全にスマホに最適化した形です。スマホのサイズで一番見やすい状態を追及すると、1コマ1画面表示になっていきます。

その結果、コマの運び方がだいぶ変わってきます。従来の見開き表示で例えば10コマあってもめくるのは一度ですが、1コマ1画面だと10回スクロールしないといけないことになる。

そういう何か操作をする瞬間は読者の離脱が起きやすいタイミングなので、構造的には読者が見るの止めやすい形になっているのです。

この前の特番で、ゲストのまつもとさんが、ウェブトゥーンの方がより感情的であることに触れていましたが、それはこのせいではないかと思います。テンション高い状態をキープして、次が気になる展開にし続けて、そういう離脱を防いでいるのではないか。

さらに、フルカラーについての指摘もありました。従来の日本の漫画が白黒メインで発達したのは、紙の本の印刷の関係です。カラーの方がコストがかかるからです。ウェブ表示を主として考えれば、そういう問題はないので、カラーの方が印象強くていいに決まっている。

ただ、制作はフルカラーの方が大変です。そのため、ウェブトゥーンはカラーで描かれるアメコミのように、最初から分業前提で作られている。そうすると、そこでコストがかかり、それを回収しないとというプレッシャーが強まるので、これもやはり企画を立てる時、話を作る時に影響します。

テンション高く、気になる展開にし続け、というのはもともと人が引きつけられる要素なので、従来の漫画でも重視されている部分なのですが、スクロールとフルカラーという特徴により、ウェブトゥーンではそれがより強調される傾向にある。

そうすると、描きやすいものが変わってくるので、単純にとって変わるという話じゃないよねと思うのです。

さて、ここからは超個人的な感想。

僕自身は、描き手としては序盤を丁寧に描かないと気が済まなくて、展開が遅すぎるといつも編集さんに怒られていたタイプ。さらに読者としても普段の漫画の感想を見てもらえばわかる通り、コマの隅っこの方に描かれたちょっと楽しい絵だったり、逆に長いスパンでのストーリーの伏線の張り方だったり、そういうところに反応するタイプです。

そうすると、感情的なテンションを上げ、ストーリーの緊張感を高めた方がいいウェブトゥーンの隆盛は、僕の好みと逆ベクトル。

従来の漫画でも、そっちの方が人気が出やすいのですが、よりそれがとんがって、好みのものが生きづらくなるのは嬉しくない。

なので従来の漫画にがんばってほしいと思うのですけれども、どうなっていくのでしょう。

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