TikTok売れ
先日「TikTokみたいなもんで本を紹介して、そんな杜撰な紹介で本が売れたからって、だからどうしたとしか思わない」という書評家の豊崎氏の発言から始まった騒動について触れ、既存のプレイヤーこそ環境の変化に対応してそういうことをすればいいのにということを書きましたが。
実際にそういう活動が記事になっていたのでご紹介。
TikTokで既刊がヒット スターツ出版、投稿法に秘密 書籍『TikTok ショート動画革命』(1) 日経エンタテインメント! 21/12/16
スターツ出版がTikTokの紹介動画をきっかけに既刊がヒットしたのを受けて、自らも活動を開始、うまくいっているというお話。記事の中で興味深かったのはこの辺り。
2つ目に気を付けているのは、「売れている」や「●●大賞受賞」といった一般的な宣伝に用いられるような文言を使わないことだ。「他のSNSでは、有名人が薦めるとフォロワーさんが反応するという図式だと思うんです。でも、TikTokはユーザー同士がいいよとおすすめするものがバズっていくので、出版社からの“上から目線”の押し付けはしないようにしています。出版社はやっぱり新刊を売りたいですし、『売れてますよ』と言いたいんですけれど、TikTokのユーザーはそれを見るとむしろ引いてしまう。ですので、『こんな本ありますよ』と簡単にあらすじを伝えて、あとは『みんなの感想待ってます』といった呼びかけをする程度にしています」
このようなアカウント運営を続けてきたことで、「スターツ出版文庫が好き」というユーザーが増加した。他の作品も売れ始めており、『あの花』が話題になった6月以降、20年のスターツ出版文庫全体の売り上げは右肩上がり。21年上期は前年の2倍程度で推移している。
売上2倍はだからどうしたどころじゃないですね。自分から動くことによって、運用のノウハウが溜まり、うまく回り始める。さらにブランド自体が力をつけていく。すばらしい展開です。
現在は産業革命ならぬ情報流通革命の時代なんだと思います。その中で、コンテンツ自体の流路も変わっている。作者本人が出版しようと思えばできるようになっていて、出版社の関所としての機能は失われました。ですが当然、個人出版はホイホイうまくいくわけではなく、そこに出てくる次の壁が拡散力です。世の中に作品の存在をどう広めていくか。つまり出版社から本を出す意義は、そういうところに移ってきているということです。
逆に言えば、その力がない出版社はどんどんじり貧になっていくと思われます。そしてネット上では、リアル書店の持っている一覧性とプレゼン力がない。そこは自分で補完しないといけない。
スターツ出版さんはそういうところを突破して、次の時代の環境に適応していってるということで、本当にいい話ですね(^^)/
こういう未来に進んでく話がどんどん出てくるといいですよねえ。
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