一石二鳥な書店
苦境にある本屋さんの経営を作家が引き継ぐ、という記事を見かけたのです。
「残さないといけない文化だと思った」 廃業の危機にあった書店、小説家が経営引き継ぐ その思いを聞いた 新谷翔 ねとらぼ21/11/3
本屋さんが苦境だという記事はよく見かけます。そして、それは仕方のないことだなと思います。
ビジネス環境が変化したという話で、需要がデジタルに流れているのであれば、当然リアル書店は苦しくなる。その環境にどうやって適応していくのかが問われている。書店の場合で言うと、売り上げの大きな柱だったのは漫画と雑誌。どちらもデジタルシフトが進んでいます。例えばこの中で雑誌の部分、情報を求めに書店を訪れていた人のついで買い需要があったはず。その分、自力で読者を呼び込む発信が必要だと思われます。
ということで、単に、書店が潰れそうでピンチだ、文化拠点なのだから守らなくてはいけない、という論調だけの記事だったら、あまりその先を感じないのですが。
そこで、こちらの記事で目を引くのは、やはり組み合わせ。
環境の変化にさらされているのは書店だけではないので、作家、出版社、書店という既存のプレイヤーが、変わっていっている流通環境の中で、どう読者を呼び込んでいくべきか、という問題意識を僕は持っています。
そのプレイヤーの内の二つが組み合わさっている、というところが、この事例の特筆すべき点です。「街の本屋の良さは雑多に多世代が集まることができる場所であることだと思います。コミュニティーとしての魅力がそこにはあります。ネット通販では実現しません。この文化を残すことが大事なのだと思います」という、新経営者の時代小説家の今村翔吾先生の言葉が記事に載っていますが。
この取り組みがうまくいった場合、そのコミュニティは書店を中心としたコミュニティというだけではなく、同時に作家も中心としたものとして成り立つのかもしれないわけで。作り方は難しそうだけれど、それでもし、両立した状態でその街のお客さんをがっちり捕まえた場合には、フォロワー3万人と同じ意味を持つのではないか。
一粒で二度美味しい、一石二鳥案件なのかもしれないということで、うまくいったらすごいことじゃないかなと注目しています。どうなるかなあ。
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