冒頭の重要性
僕はテレビ番組をリアルタイムで見ることがあまりなくて。だいたい録画しておいて、作業してる時に流すとか、ご飯食べるときに見るとか、あとから視聴する感じなんですけれども。
その中でもアニメは、面白かったら一気に見たいということで、とりあえず撮り溜めているケースが多いのです。
ですが、そんなことばかりしていたら当然ハードディスクがあふれそうになって、整理しなくちゃとなり。溜めてるだけで見ていないアニメの第1話を見ることにしました。
さて、ここからが今日の本題。
1話目を見て、面白くなかったらそのまま残りを全部消すという作業をしていたのですが。ふと、結局選ばれるというのはこういうことなんだよなと、見る側ではなく作る側の気持ちになったのです。
冒頭で掴まないと見てくれない。
それは昨日今日の話ではなく、ずっと言われていることです。まず掴んで、とりあえず見てもらって、そのまま脱落しないように転がしていって、次の山を作って飽きさせないようにする。そういうお話の作り方が大切。
ただ、それが最近の環境変化により、さらに強化されているよなあと思うのです。
例えばアニメでは、僕のように録り溜めたら下手すると半年放置という人は珍しいんじゃないかと思うんですけれども、それでも1話目をチェックして続きを見るかどうかを決めるというのは普通のこと。それが強化されているような気がするのは、配信で見る人も多くなっているんじゃないかと思うからです。テレビを流しっぱなしにしする習慣があれば、たまたま途中から見かけるということもあるのでしょうが、配信だとまず1話目を見るはず。
漫画も同様で、電子化がどんどん進んでいくにつれ、入り口としての第1話の重要性は高まっています。紙の雑誌で見てる場合には、ページをめくっている時に断片的ですが絵が目に入っています。だからちゃんと読んではいないけれど、なんとなくあらすじはわかる。アニメ第1話チェックをした日に同時に起きたのが、僕の広大な積読山脈の中からたまたま見かけて読み出した漫画があったこと。
『初恋ゾンビ』。これの最終回周りが、とても好きなのです。17巻かけた、初恋成就の物語のエンディングがすばらしい。しかし週刊少年サンデー連載当初、僕はこの漫画をちらりと1話目を見て切っていました。企画の狙いは大体わかるから、その線ならまあ別に見なくてもいいかなーという感じ。ところが、雑誌を読んでいて、たまたま目に留まるページが、どうも最初の予想とは違ってきている。だんだん気になってきて、読むようになったのです。
現在だと『2.5次元の誘惑』がこれにあたります。JKエロコスプレという、わかりやすい売りでスタート。まあ何をしたいのかは大体わかったと、一度チェックしたあと続けては見ていなかったのですが、週刊少年ジャンプに出張掲載した時に、何か様子が違うと気づきます。変なゆるキャラがいる。想像していたのと違うものになってるなと思って読み始め、全巻揃えて今に至ります。めっちゃ熱いんよ。びっくりするよ。
ただし、これが起きたのは、僕がジャンプをまだ紙で買っているからです。『初恋ゾンビ』も今だと出会いが起きません。雑誌でも電子版だと目次を出してクリックしてお目当ての作品に飛ぶので、一度見ないことにするとそれで終わりなのです。途中にいい見せ場があったとしても、そのページは開かないので気がつきません。
こういうような途中から入るパターンがどんどんなくなって、出会いがなくなってるなと気になって、無料キャンペーンの作品なんかを意識的に読むようにしているのですけれど、こうなるとやっぱり1話目から。冒頭の掴みがこれまで以上にとても大切になってきます。
ただこの冒頭の重要性とは逆に、途中を見てもらえないかなというのも思います。前述の通り、企画として出だしはわかりやすい一言で表せる設定だったとしても、話の進め方でまったく違うものになっていくからです。ちょっと気になったところで軽い気持ちで読み始めたらどハマりした、という経験はたくさんあります。そういう出会いがないのはさみしい。
その点ではwebでよく見かける漫画の広告は秀逸です。何ページ分かが表示されるようなやつだと、その続きが気になってちょっとのぞいてみたりが起きます。
まず冒頭は大切で、そこで引き込む力を持っていなければいけない。
でもそれだけに頼っていたら、一番引きの強いパターンに収斂していってしまうので、その作品の面白さをアピールするいろいろな手段を考えなくてはいけない。
小説に関して言うと、もともと書き下ろし単行本が多く、冒頭で掴まなければ読んでもらえない状況で、それがwebでも引き続き、ということなのですけれども、やっぱり途中の面白さで出会うというパターンも欲しい。
バシバシと録画を消しながら、そんなことを考えていたのでした。
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