雑誌の新展開
こんな記事を読みました。エンタメ文芸誌『メフィスト』が、会員制読書クラブに。編集長が語る、前例のないサービスの狙いとは ダ・ヴィンチニュース 21/11/10
文芸誌メフィストがリニューアルして、『メフィストリーダーズクラブ』という会員制クラブになっています。雑誌が会員制クラブになったと聞くと、はて? と首をひねっちゃう話なのですが。
小説誌が定期購読で届き、オンラインイベントその他の企画をwebで展開する、という雑誌を拡張したシステム。以下記事にあった一覧。
・会員限定小説誌『メフィスト』の送付(年4回)
・作家や書評家を招いたオンライントークイベント
・サイン本&限定グッズの販売
・本ソムリエのAI診断
・書評家による新刊レビュー
・作家&編集者が創作秘話を明かす動画メッセージ
・名作の解説などのオンライン授業
・書き下ろし掌編、リレーエッセイなどのオリジナル企画
・本づくりの裏側、限定グッズの制作工程を随時公開
「雑誌の“雑”の部分から新しい情報を得たり、今まで知らなかった文化に触れたりするのも雑誌の面白さです」と記事中で編集長の小泉さんがおっしゃってるのですが、その部分は強化されてそう。
そして、その部分がいい手だなあと思ったのです。
小説誌よりも漫画雑誌の方が顕著ですが、雑誌は新しいヒットを作る装置として機能してきました。目当ての人気作品を読むついでに、他の作品との新たな出会いが生まれる。もう一つの出会いの場が書店店頭。小説はどちらかというとそちらが主でした。すると、書店が弱っていくと、一緒に沈んでしまいます。漫画は電子化がうまくいき、紙の落ち込みを電子書籍の売り上げで補えるようになっていますが、小説はまだまだです。
小説の場合でも、なろう小説がやたら強いのは、そういう出会いの場がネット上でうまく機能している部分があると思うんですよね。
その点で、この試みはコミュニティの性格を強めていて、うまく回ると面白そう。個人的には名作解説オンライン授業が気になります。作品の面白さは細部に宿る割合がけっこう大きいと思っていて、僕が一番勉強になったのは漫画家の先生と仕事場で漫画の話をして、その細かい視点を知れた時でした。トークイベントだとそういうことが聞けそうです。ミステリー書きの人は必聴なのではないでしょうか。
あとはインタビュー中にもあるとおり、敷居を下げて外から人を呼び込めるかどうかですね。そうして新たな出会いを作れる場になるか。注目です。
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