どうでもよい漫画とパッケージングと導線
こんなツイートを見かけまして。
問題は「どうでもよい漫画」が載るような媒体がなくなっちゃったことなんだよな。
— うおりゃー!大橋@最後のレトロ派漫画家 (@uorya_0hashi) August 22, 2021
電子書籍の問題点は「読んで〜なんらかのメリット(感動とか知識とか)があるような作品」じゃないと、商品としてなりたたない〜そう言う部分にあるのだ。
みなさん。「どうでもいい漫画」を大切にしてください。
電子書籍化でどうでもよい漫画を載せる媒体がなくなっているという話。そういう漫画の行く末が気になるのは、僕も同感なのです。
「どうでもよい」というのは悪い意味ではなくて、強い関心を引くテーマがない、ということだと思います。他にも色々言い方が考えられて、僕が思いつくのは「ちょっと楽しい漫画」とか「なんとなく読める漫画」とかでしょうか。
普段の僕の漫画の感想記事を見ていただければわかるように、僕はそういう漫画がけっこう好きです。
ですが、そういう漫画を網羅するために、いろんな媒体に探しにいくかというと、そうではありません。これはなにも「ちょっと」しか面白くないからということではなく、他のジャンルの漫画でもそうなのです。何しろ世の中には漫画が星の数ほどあります。いや、比喩ではなくて本当にあると思います。肉眼で見れる星の数は約6000個。そのうちの半分が地平線の上にあるとして3000。うん、今連載している漫画でも余裕であると思う。ときわ荘プロジェクトを手掛けておられた菊池健さんのブログより、「プロ漫画家は日本に何人いるのか」。2015年の推定ですがそんなに変わってないのでは。
これでは全部チェックするのはとても無理。結局、自分の観測範囲というものができます。
さてここから電子書籍の話。その時にですね。
僕が今、定期で感想上げているのは、週刊少年ジャンプ、ジャンプ+、週刊少年マガジン、週刊少年サンデーです。この中でジャンプだけが今だ紙。他は電子で読んでいます。
その時に、電子だと最初から読むつもりのものしか読まない傾向があるなと思うのです。紙だと、目当ての漫画を探してパラパラめくっているときに、何となく目に入っていて、大まかなストーリーがわかってたりするのですが、それがない。結果、第一印象が全てになってしまって、読む、読まないが決まる。途中から読み始めるということが減った気がする。
もともと第一印象は大切で、そこはすごく考えどころではあったのですが、それがますます強まった形です。
さらに、電子で買うようになるとリアル書店に行く頻度は減っていきます。昔々は毎日のように漫画専門書店に通っていて、何度も見かけているうちになんとなく手に取ってというパターンがありました。これは立ち読み防止でフィルムコートされるようになった時点でも弱くなっていたのですが、それでも何となくフィジカルパッケージの存在感とか、そういうものは作用していた気がします。
それがなくなった代わりに最近よく触れるようになったのが、ネットでの広告です。気になるところが広告として配信されていて、ちょっと読んでみようかなという気にさせる。
ただ、これも引きの強いページのある漫画じゃないと、成り立たないのです。やっぱり第一印象勝負なのです。
そうすると、前述のような漫画が難しくなって、取り上げたツイートみたいな事態になるのかなと思うんですよね。
漫画は雑誌連載するものとして発展してきて、その結果、雑誌の中で二番打者的なつなぎの役割の漫画も掲載されてきた。でもそのつながりが弱ってくると、みんな四番打者タイプじゃないと生き残れなくなってしまう。
僕的には電子化で物語の生物多様性が守られる方向に行ってほしいなーと思っているので、自分自身を含めて、その辺りをどう乗り越えていくかが課題だなあと思います。
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