三人寄れば、物語のことを
三人寄れば、物語のことを (上橋菜穂子・荻原規子・佐藤多佳子・著)を読みました!
こちらは上橋菜穂子先生、荻原規子先生、佐藤多佳子先生と有名な児童文学作家3人の鼎談集です。元々普段から交流のあるお三方だそうです。
上橋先生の精霊の守り人シリーズの『天と地の守り人』文庫化記念の企画が最初。その後、荻原先生の『RDG レッドデータガール』完結記念、そして佐藤先生の『シロガラス』刊行記念で鼎談をして、一冊にまとめた、という本です。
ちなみに、うち二冊は読んでて、感想書いてますね。『天と地の守り人』。『RDG 6 レッドデータガール 星降る夜に思うこと』。
せっかくだから、もう一冊の『シロガラス』も今度読んでみよう。
一番興味深かったのは、お三方とも「キャラが勝手に動く」という話をしていること。これは作家の間でよく言われることで、しばしばキャラクターがストーリー上の計算から離れて、あたかも本当に生きているかのように勝手に動き出す現象。これは悪いことではなく、むしろそうなった作品はうまくいくという話。
勝手に動き出すと言っても考えているのは作家本人なので、実際にはキャラクターをしっかりつかめているので、リアクションを無理にひねり出さなくてもすいすい浮かんできて、連鎖的に話が進んでいく、という現象なんだと思うのですけれども。僕も初連載取ったケッタ君は、最初は全然ネームが通らなかったけど、じゃが丸さんが生まれてコンビが誕生してから「勝手に動く」状態になって、コンペを勝ち抜けたのでした。
さらに「勝手に動く」が、ただの暴走ではないというのもポイントです。お三方とも、「どこまで書くべきか」という話も一緒にしています。キャラは動くので膨らませようと思えばいくらでもできるけど、これはどんなお話かということを考えて、あえて書かない。そういう判断が同時になされている。
物語を一つの流れとして進める部分とまとめる部分。奥深い話ですねえ。
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