夏が来なかった時代
夏が来なかった時代 歴史を動かした気候変動 (桜井邦朋・著)を読みました!
こちらは直近の作品の資料ではなく、先々書いてみたいなという作品の土台調べ。気候変動が歴史に影響をもたらしたのではないかという話。
太陽活動の影響で、気候がぐっと寒くなった時期として有名なのが、マウンダー極小期。なにが極小なのかというと、太陽表面の黒点活動です。太陽の黒点は太陽の磁場の動きによっていて、活動の活発さの指標になるのです。黒点の数がガクッと減った1645年から1715年には、気候は全体的に寒冷化。ロンドンのテムズ川が凍って、スケートできたりしたとのこと。
ただ、こちらで中心として扱っているのはそのあと。極小期を脱したあと、1770年代から1830年代にも寒冷化がありました。これに影響したのではないかと言われているのが、火山の大噴火です。アイスランドのラキ火山が1783年に大噴火。さらに日本でも同年、浅間山が大噴火しています。これで鬼押出しとかできたんですよね。
元々寒冷化していたところに、巨大噴火が相次いで成層圏に塵が滞留、日照を遮りさらに冷害がひどくなりました。世界各地で飢饉が発生しています。日本は天明の大飢饉。そしてヨーロッパでも飢饉が発生していて、それがフランス革命の原因になったのではないかという説があるのです。
面白いなと思ったのは、そういう歴史の流れが、芸術の中にも見られるのだという視点でした。当時の絵画で、空の色が赤っぽいものがあるのは、絵としてのアイディアではなく、大気中の塵のせいで実際にそういう色だった。やたら曇り空の絵が多いのも同様。実際に天気が悪かった。画家たちは見た通りに描いていたのだという話です。
僕は学生の頃、歴史にさっぱり興味が持てなかったタイプなのですが、こういう科学的な視点から説明されると、面白いですね。土台調べはさらに続行。
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