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2020/12/30

レンタル組観戦記 福岡最終節までと総括

さあ、今日の観戦記は今季のレンタル武者修行組の主役、福岡・上島君です。プレーオフという救済措置のない、苛烈な昇格争いの結末は。

2020J2第37節、福岡1-0大宮。

大宮は今季、得点力に問題があり、昇格レースから脱落しましたが、守備は健在。寄せの激しい守り合いとなりました。

その中で58分、福岡右サイドへ展開。サロモンソン選手がクロスを上げ、これをファンマ選手が高い打点のヘディングで決めました。

福岡はこの1点を守り切って逃げ切り。上島君は安定した守備を見せて、完封に貢献しました。

第38節、岡山1-1福岡。

53分に福岡先制。左サイドを連携で崩し山岸選手が抜け出して折り返し。ファンマ選手がワンタッチで落として、走り込んだ重廣選手のシュートが決まりました。

ところがすぐに同点に追いつかれてしまいます。58分、左CKを競ったこぼれをボレーシュート。これに福岡GKセランテス選手がビッグセーブを見せますが、はじいたボールがリ・ヨンジェ選手の正面に飛んでしまい、押し込まれました。

試合はこのまま引き分け。昇格のライバル長崎は京都に負けたので、かろうじて前進です。

この試合の上島君も攻守に活躍。63分には左CKでニアに走り込みヘディングシュート。これは枠を外れます。惜しい。一番の見せ場はアディショナルタイムの93分。岡山のカウンターが発動、ペナルティーエリア内で上島君がスライディングタックル。ギリギリのプレーでこれを防ぎました。

第39節、福岡2-2金沢。

金沢が2点先行。今年抜群の守備の安定感で勝ち進んできた福岡ですが、逆に得点力はほどほどで、複数得点はあまりない。大ピンチに陥ったのですが。

84分、87分と試合終盤に連続得点して追いつく、劇的な展開。昇格を決めた後から見ると、こういう勝負強さを最後に身に着けていたのが大きかったのだなと思います。

上島君の見せ場はこの勝負強さともつながっていて、アディショナルタイム。際どいプレーが3連発です。まず、大学の後輩、加藤選手のカウンターでの突破に追いついて、ペナルティエリアでなぎ倒しました。これは追いつき切れなくて角度的に背後からのタックルと見られたらPKになりかねないぎりぎりのプレー。

84分に金沢は杉井君を久々に投入していたのですが、右SBのはずが右からのクロスに対してゴール前まで飛び出してきてのダイビングヘッド。これに上島君は対応、並走して一緒にダイブして防ぎます。

さらにペナルティエリア内の大石選手の突破にも反応、ゴールライン際の折り返しもブロック。どれも一瞬対応が遅れていたら失点につながるシーン。お見事でした。

第40節、福岡2-0京都。

前節で勢いがついたのか、福岡はまた2得点。これも63分、65分と一気に決め切る集中力。

守備は当然のごとく安定して、上島君もJ2得点王ピーター・ウタカ選手にも仕事をさせない見事な出来栄え。

第41節、愛媛0-2福岡。

勝てば3位長崎の結果次第で昇格が決まるという状況で迎えた試合。開始早々の4分、抜け出そうとした愛媛・丹羽選手に対して背後からアタックしてしまった上島君に黄紙。累積4枚で次節の最終節は出場停止と、早々に今シーズンの終了が決定してしまいます。

しかしその後は落ち着いて対応。19分には右CKをニアですらして、山岸選手の先制点をアシスト。

前半アディショナルタイムに福岡は2点目。これをしっかり守り切って、まずこの試合に勝利。

そして試合終了後。長崎vs甲府はまだ終わっておらず、ベンチ前に設置されたタブレットの前にみんな集まって、向こうの試合を観戦。「頼むぞー!」と甲府を応援する上島君の声が聞こえます。向こうのアディショナルタイムがかなり長く、かたずをのんで見守る時間が続きますが、ついに試合終了、長崎1-1甲府。福岡昇格決定。ゴール裏へ向かう上島君、泣いてました。おめでとうございます。

最終節は福岡1-0徳島。直接対決で7点差勝ちで得失点をひっくり返して優勝だったのですが、さすがにそれは無理。しかしホームで首位相手に勝利して、福岡的には大団円でシーズン終了となりました。

さて、ということでがんばって見通しました、レンタル武者修行組の観戦記、総括です。

レンタルで他チームに行った選手のうち、若手で試合経験を積むために行ったんだろうと思われる人、というのが定義でした。なので、横浜FCに行った手塚君は悩んだ末に、下さんが引っ張っていったので武者修行ではないかもと断念。でも帰ってきてくれていいんですよ? というか僕的には本当に帰ってきてほしい。ボランチにゲーム作れる人がほしい気がする。

あと、栃木に行った井出君がレンタルじゃなくていきなり完全移籍だったのですが、あれは何が起きたのでしょう。一応気になってチェックしていました。あんまり出番なかった。

一番成果があったのはもうなんと言っても上島君でしょう。2年連続J1昇格となりました。最後の試合が出場停止、他疲労で先発回避途中出場が何試合かありましたが、ほぼフル出場。福岡の守備の中心でした。他のCBのレベルは低いどころかむしろ高かったので、これはすごいことです。僕の見立てではJ2No.1CBを争うレベル。

去年前半、ウチでスタメン取った時もなかなかいい仕事ぶりでしたが、さらに成長。フィジカルに優れた外国人FWにも当たり負けないどころか弾き飛ばし、エアバトルは安定、プレー判断も大きく向上しています。去年は疲れがたまってプレーが不安定になり、ポジションを守り切れなかったのですが、そこで必要な経験をしっかり積むことができました。

そしてウチのアカデミー卒らしく、パス回しの精度と落ち着きは絶品です。戻ってきてくれたら、大型補強レベルだと思われ。上島君中心に守備陣再編される可能性もあるぐらいです。ちゃんと帰ってきてね!

次いで経験値を積めたのは山口に行った田中陸君です。ウチのアカデミーっ子はパス回しは本当に鍛えられていて、ポジション取り、ファーストタッチの置き所、パス精度と本当にしっかりしている反面、守備はちょっと緩い傾向があり、プロに上がってからそこで苦労するケースが多い。ウチが好成績だった時は守備が堅かった時なので、そういうところを伝統としてアカデミーにも取り入れてほしいのですが、それは置いといて。

田中君はまず右SB、右アウトサイドとしてシーズンちょっと経ったところで先発を勝ち取り、経験を積みました。その結果、守備はだいぶ鍛えられた感じ。寄せが厳しくなりました。

ただ、武器的には外に置くより中で動き回れるようにしてくれた方が生きるのになーと思って見ていると、シーズン終盤には中盤で起用されるように。願ったりの展開。ただ、そこで万全の信頼を勝ち取るところまでは行けなくて、ポジションは取り切れなかった。パス回しという強みは、監督によってはあまり武器だと見てくれないので、もうちょっとわかりやすい活躍が欲しいところ。

前線への積極的な飛び出しに取り組んでいたみたいなので、そこは継続していきたいところですね。

ちなみにレンタル組ではなく、大学から山口へという経緯なのですが、アカデミー卒のルーキー浮田君も一緒に応援していました。仲間君のように下位カテゴリーでがんばっての遅れたトップ昇格も燃える展開なので、ぜひがんばってほしいです。

経験を積めた人に対して、なかなかうまくいかなかった人もいます。G大阪に行った猿田君は、U-23でJ3に何試合か出た後、大怪我。まずしっかり治して復帰してほしいです。大宮に行った松本君は第3GKから抜け出せませんでした。山形に行った宮本君も、あまりベンチに入れず。

惜しかったのは杉井君です。左SBとして開幕スタメンを勝ち取りましたが、その後は苦労。いろいろなポジションで使われました。画面越しにも伝わる物怖じのなさや積極性は、プロ向きだなーと思うし、好感度も高いのですが、フィジカル的なところで苦労している印象。

まず、もともとのポジションであるCBとしては少し小さい。最初左SBとして先発だったのは、そういう部分もあると思います。次に影響したのは、スピードのところ。遅いわけではないけど、ぶっちぎるレベルの速さがあるわけでもないので、攻撃参加でえぐれなかった。するとだんだん使われどころが迷走してきて、前に置いてプレス役みたいな途中出場に。

ウチのアカデミーっ子らしくパス回しは安定しているし、アタックする積極性はあるので、ボランチがいいのではと思って見ていたら、そこで使われた試合で失点につながる大ポカをやって、以降ベンチ入りも激減しました。

ただ、ひさびさの出場となった福岡戦で、勝負駆けしてダイビングヘッドに持ち込むような、ああいう積極性は本当に立派です。がんばってほしいです。

さて、ということで武者修行組のこれから、そして来年はだれが行くのか。来年も注目していきたいと思います。

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