異世界転生とメガネ君
日曜日のHON.jpブロードキャスティングを聞いて思ったこと。本日は2日目。話題になったのはこちらの記事です。
『ラノベ市場、この10年で読者層はどう変わった? 「大人が楽しめる」作品への変遷をたどる』Real Sound 20/11/4
記事タイトル通り、中高生向け文庫だったライトノベルが、どんどん幅広くなってきてますよ、という話。放送の中では「異世界転生ものって面白いですよねー」という流れでした。
異世界転生って仕組み的によくできてますよね。
放送の中でもちらりと触れていましたが、読者の願望をうまくかなえる構造に、基本的になっています。読者の願望をかなえるというのは、異世界転生に限らず、他のジャンルの作品でも重要な要素。これに関連して一番有名なのは、ジャンプの「友情、努力、勝利」ですね。現実世界では努力したって報われないことは多々あるのですが、物語世界ではがんばったら勝ててほしい。
いや、もっと言っちゃえば、がんばらなくたって勝ちたいわけですよ。異世界転生では「こんな自分だけれど異世界に行くとこんなチートな能力が」というような形で、それがはっきりとわかりやすく物語の土台になっていたりします。しかも人生すべてがリセットされているので、ものすごいギャップを作れる。それは確かに魅力的。
そしてもう一つ、こちらはあまり語られないことなのですが、うまいことできているなと思うのは、主人公がメガネ君の立場を同時に兼ねることができるという物語の構造です。
ちなみにこの「メガネ君」というのは僕の身の回りの漫画仲間の間では通じる用語なのですけれども、一般的にはどうなのでしょうか。特に昔の漫画に見られる、眼鏡をかけている(これは物知りだという記号)脇役が、何かが起きたときに、事の重大さをしっかりと解説してくれるという、解説役ポジションのキャラクターのことです。
フィクションの物語、特にSFやファンタジーのような現実世界とは違う世界観の物語では、何か事が起きたときに、それがすごいことなのか、異常なことなのか、読者には判断つかなかったりします。元々なんでもありの設定なので、この世界の常識がわからないからです。そういうときになんとかして、読者にこの出来事はどう判断するべきかという情報を伝えなければいけない。
そこで活躍するのがメガネ君。この世界でも驚くべきことなのだと、「あれは!」と叫んだ後に解説してくれたりするのです。
さすがにこんなコテコテのキャラクターはなかなか見なくなりましたが、けれどこの、今起きてる事態をどう捉えるべきかという情報を伝える役割は絶対に必要です。
それが異世界世界転生ものの場合、転生した主人公が読者と同じ現代人なので、驚くべきポイントはどこかということをしっかり伝えてくれます。特にこれは小説の場合非常にありがたい。主人公が解説してくれれば、セリフとして書かなくても地の文に解説を入れてもいいわけです。書きやすさが大違い。
というようなことを思いつつ、お話を聞いていたのでした。
ちなみになんでこれを思ったのかというと、今自分が、ガンズ用の次のSFを書こうとしているからですね。世界観をどう作るか、どう伝えるかというのはとても気になるところ。そして作中にメガネ君がいないので、うまいこと散りばめて伝えなければいけません。
難しいけど、がんばろう。
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