世田谷モデル頓挫と感染対策
自治体がお金を出して住民全員にPCR検査をする世田谷区の計画が頓挫しそう、という記事を見かけました。
いくつかの検体を混ぜてしまって数を減らして検査をして、スピードアップを図る計画だったのですが、そのプール方式について、国では有用性を確認しておらず、補助金が出ないからだそうです。
発表する前に確認取ってなかったんですね。他にも、検査はいいけど、陽性になったときの隔離施設は用意できず都の施設頼りとか、なかなか杜撰な印象です。
僕は検査で解決できるというのは、実態をちゃんと調べていない人の幻想だと考えているので、このままやめたらいいのにと思います。
何でそう考えるのか、調べたことを整理しますと。
まずわりと初期の頃から専門家に指摘されているのが、検査の精度の問題です。僕がそういう記事を読んでブログに書いたのはこちら。検査は技術的な問題や検体を取った時期的な問題などから、100%正確に感染を見分けられるのではないそうなのです。感染していないのにしているとされる偽陽性や、感染しているのにしていないとされる偽陰性が発生します。
で、この偽陽性が、感染があまり広まっていないときに問題になるのです。例えば、ちゃんと陰性と判定できる率が99%だとすると、残り1%は間違えて偽陽性になります。ちなみに99%は精度いい方みたいです。これを世田谷区の人口で考えると、9400人の偽陽性が出る計算。
そして実際の感染者の数。みんなががんばって感染防止に努めている結果、日本の感染率はかなり低い。厚生省が6月頭に行った抗体の調査では、東京は0.1%ほどでした。免疫がウイルスを攻撃する目印となる抗体は、感染すると体内で作られ、けっこう長く残ります。つまり、過去の感染経験も一緒に調べているわけで、その時点での感染者はずっと少ない。
公表されている感染者数はその時の検査体制に左右されているので、一定の割合で重症化しているはずと仮定して重症者数で比べてみると、今の方が多いけど、1.5倍ぐらい。そう考えると、感染率があの時点より桁違いに大きいということはなさそうです。
つまり今全数検査をすると、感染率0.1%以下確実に対して偽陽性率がよくて1%と、外れが10倍以上出る。じゃあ、実際に今やっている検査はどうしているのかというと、その前にスクリーニングという怪しい人を絞り込む過程が入っているのです。実際の感染者が多くいるグループに対して検査をすれば、偽陽性の数は減ります。最初はCTで肺炎の様子が認められた人たち、クラスターの疑いがある人たち、そして自覚症状のある人へと広げていきました。
これをせずにとにかく検査とすると、世田谷区の場合、一万人ぐらいの陽性が出て、隔離する施設は都のを借りてもまったく足りず自宅隔離、しかもよくて九割がた、下手すると99%の人は仕事や学業に支障が出ただけで実際にはかかっていない、ということになるわけです。
しかもウイルスの拡散時期を考えると、さらに効果に疑問が出ます。インフルエンザの場合、人にうつすウイルス拡散のピークは発症2日後だそうです。つまり高熱でうんうん唸って寝込んでいるので、ピークの時には外出していない。
ところがこの新型コロナウイルス感染症covid-19は、潜伏期間が平均5、6日でうつすピークは発症2日「前」とのこと。無症状の時にすでにばらまいている。しかも、感染しても無症状のままの人もいる。感染拡大を抑え込むのは非常に困難です。
これを検査で何とかしようとすると、かなりの高頻度で調べないといけないことになります。とにかくみんな自覚がない時にばらまいているので、いつどこで誰にうつされるかわからない。検査の帰りにうつされているかもしれず、それを防ぐためには2、3日に一度はチェックしないと。つまり、世田谷モデルでも頻度は全然足りないのではないかと思われます。
ちなみに、チクチクこういうことを書いているのはですね、この国の科学軽視に本当に腹を立てているからです。
ちゃんと一生懸命調べている人がいるのに、その研究成果をないがしろにして、政治パフォーマンスとか、視聴率稼ぎとか、心底むかつく。
ここに書いたことなんて、素人の僕でも調べれば出てくることですし、ニュース気にして追ってれば引っ掛かりますからね。PCR検査の精度を指摘していた記事は2/29のものでした。そのころもう言われてたということです。なのに今更検査推進だなんて、政治パフォーマンスじゃないなら本物の無能だよ。お金使うなら、ちゃんとした対策に出すべき。
さて、じゃあ結局対策は何かというと。
このあいだNHKBS1で、コロナウイルス感染の仕組みを視覚化した番組をやっていました。このウイルスの感染経路は主に2つ。一つは口から飛び出す小さな飛沫に混じって宙を漂う。大きなつばはすぐ下に落ちますが、霧のようなサイズの水滴だとなかなか落ちない。それから、いろいろなものの表面に付着したもの。例えばしゃべった時に出た飛沫が机に落ち、これを手で触れ、さらにいろいろなところを触るとそこに拡散していく。
つまり、マスク、換気、手指消毒と、よく言われているやつがやはり確実ということになります。
手洗いはアルコールより石鹸派です。これから冬になると、換気がつらいなー。
マスクは、ウイルスがその目よりもずっと小さいので効果がない説が一時期流れましたが、飛沫に混じって飛んでいるので、マスクでちゃんとキャッチできる模様。その実験の様子も放送されていました。別の記事ですが、布マスクでも素材に気を遣えば、サージカルマスクほどじゃなくてもちゃんとフィルター効果があるという研究結果も見ました。
それより顔への密着が問題だそうです。不織布マスクつけてる人で、わりと頬っぺたのところが開いちゃってる人いますけど、あれよくないのでは。
ということで気になって、いま愛用中のレイソルマスクを確認しましたが、ちゃんと密着している感じ。布マスクの型紙の方が顔の形にフィットしているかもしれない。
あと以前、布マスクの素材は組み合わせ次第で静電気を発生して静電フィルターの効果が出るという記事を見かけたので、涼しくなるこれから、もう1枚挟んでみるといいかもしれないと思っています。ポリエステルはマイナスに帯電だから、プラス帯電はナイロン?
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