大雨と大火事
一か月ほど前に、「インド洋ダイポールモードによってインド洋アフリカ側の海水温が高くなっており、そこから供給されている水蒸気が中国大陸に大雨をもたらして、さらに九州まで流れてきている」というNHKスペシャルを見たと記事に書きました。
日本はその後梅雨明けし、今度はシャレにならない猛暑に見舞われているわけですけれども、中国は雨期が続いていて、洪水被害は拡大し続けている模様。
ただ中国政府がネガティブなニュースを抑制しようとする傾向があるために、被害の実態がよくわかりません。
もともと長江は昔からよく氾濫していた地域で、湖や人間の作った遊水池が数多くある土地だったのですが、経済開発のためにそこを埋め立ててビルを建ててしまったという話。結果として洪水を食い止めるバッファ、緩衝地が足りないので、大都市に被害が出るくらいならと、わざと堤防を壊して田畑にを水を逃がしているというこことが起きているようです。
そのためかなりの面積の農地が使い物にならなくなっていて、コロナ禍と合わせて食糧危機が起きるのではないかという心配が語られ始めています。実態が正確にわからないうえに、急に中国政府が「食べ物を粗末にしてはいけないキャンペーン」をかなり強力に推進し始めているようなので、もしかしてすでに最悪の状態なのかなとドキドキします。なんか、「店では人数-1の料理しか注文してはいけない」とか「食べ残しは再度過熱して殺菌すれば次のお客に出しても大丈夫」とか、すごいニュースを見かけるんですよね。
中国はすでに世界最大を争う食糧輸入国なので、世界規模の食糧難が起きかねません。コロナパンデミックの認定を遅らせている間に、中国が医療品を買い占めていたという指摘もあっただけに、こちらの買い占めも心配になります。今度は日本政府にちゃんと対策してほしいです。
それに対してアメリカでは、こちらはちょくちょくニュースになる西海岸での大きな山火事が。今年も発生しているそうです。しかもこちらも大被害。
[フェルトン(カリフォルニア州) 21日 ロイター] - 米カリフォルニア州で発生した落雷による山火事は21日、被害面積が2倍以上に拡大し、同州史上で最大規模となった。避難を余儀なくされた住民は17万5000人に上っている。
少なくとも6人が死亡し、負傷者は消防士・住民合わせて43人となった。被害を受けた家屋などは500軒以上。火災が発生している地域はロサンゼルスの約2倍に相当するという。
カリフォルニア州では、過去約20年間で最悪の雷雨を伴う嵐に見舞われており、記録的な熱波によって乾燥した草原や森林などへの落雷で、過去5日間で370件以上の火災が発生。そのほとんどがサンフランシスコのベイエリアで見られるほか、パロアルト東部、サクラメント南部でも被害が広がっている。
ニューサム知事は20日夜、民主党全国大会で「気候変動を否定するなら、カリフォルニア州に来てほしい」と語った。
アメリカには、トランプ大統領もですけれど、気候変動なんて気のせい、もしくは人間のせいじゃない派の人が、けっこういるみたいなんですよね。それが知事の最後の発言につながっています。
インド洋ダイポールモードが起きるときには、地球規模の大気の動きが関係しています。地球の赤道上には自転の影響でずっと東風が吹いていて、これが強まると海面の温かい海水が西側に寄せられるのです。当然太平洋にも同様の影響があり、現在西側の海水温が高い状況、ラニーニャ現象が起きています。ちなみにこのため、日本は猛暑です。
そして、この2つのニュースを見た時に思い出したのが、以前やはり異常気象でアメリカ西海岸の山火事がひどかった時の科学番組。日本上空を流れる偏西風は蛇行していて、その山と谷がずーっと動いているのですが、フィリピンの海で発生する上昇気流の影響で、それが固定されてしまっている。それで西海岸にずーっと暖気が入り続けて高温乾燥状態になっているという話でした。
もしかして、またそれが起きているのかな?
そうだとすると、中国の大洪水と、日本の猛暑と、ロサンゼルスの大火事は全部つながった現象ということに。
この前の記事でも書いたのですが、実際に気候変動が起きてみると、複雑すぎて思わぬところに影響があって、人間一人の脳みそでは手に負えないなと思います。
| 固定リンク
コメント