緊急事態は続く
緊急事態宣言が延長されそうです。
まあ当然だよなあというのが、僕の感想。
ただ、世間の期待はちょっと違うのかな、とも感じています。本日は、その辺のギャップについて考えたことを。
なんかね、ウイルス感染拡大のせいで自粛しているのに、緊急事態宣言のせいだと、気持ちの中でどこかすり替わっているような気がするんですよね。なので、宣言が解除されたらこの自粛を緩められると考えている節がある。
違いますよ?
「行動自粛を強めて、人と人の接触率を下げれば、感染拡大を抑えられる」というのが主眼ですよ。そして守るべきレベルで重要なのは、「医療崩壊を起こさないこと」です。医療崩壊が起きてしまうと、きちんとした治療ができなくなって感染患者の死亡率が上がるだけではなく、普段なら助けられる他の病気やケガも手が回らずに助けられない、ということになります。崩壊させないレベルは死守しないといけない。
そこで自分が住んでいる東京の新規感染者の推移を注目して追っているのですが、宣言後2週間ほどで、確かに低下傾向になっています。一人の感染者から何人に移るかという指標、実効再生産数も縮小の目安となる1を下回っている模様。ただ、まだ退院より入院が減って入院患者が顕著に減るほどではない様子。病床数はホテルの協力などがあり増やせていますが、専門のトレーニングを積んだ人はホイホイとは増やせないので、医療側のキャパシティはぎりぎりの苦しい状態です。自宅待機の患者が急変して死亡という、気になるニュースもありました。目標までは届いていない。まだ下げないと。
つまり、がんばって行動自粛を強めて、「このラインならがんばり続けられる」というところまで新規感染者を減らしたら、そこをスタンダードとしてずっと暮らしていかなければいけない、ということなのです。一か月延長と言っているけど、宣言が続くかどうかじゃないのです。
さて、では、どうなったらこの状態を終息させられるのかということですが。
ぶっちゃけて言えば、みんな一度かかって免疫を持てば大丈夫。ウイルスが広まりたいと思っても、もううつれる人がいない。この状態を集団免疫と言います。
医療崩壊してもほっとけば、どこかで自然と終息するわけです。
ちなみにニューヨークで過去にかかっていたかどうかを調べる抗体検査を実施したところ、思っていた以上に無自覚感染者が多かったという結果が出ました。マンハッタンではすでに四人に一人がかかっていたそうです。6割ぐらいの人が免疫を持てば広まらなくなっていくそうなので、マンハッタンではあと二、三か月で終息する可能性があります。死者5万人ぐらいで。最悪だ。このルートを行くわけにはいかない。
葬儀場そばに止まってたトラックから液体が漏れて異臭がすると通報があり調べたら、腐った遺体60体が見つかったそうですよ。安置所パンクして冷凍トラックに遺体積んでるというニュースが以前あったのですが、そのまま放置されていた模様。地獄……。
このルートに行かないためにも、がんばって新規感染者数をコントロール下に置かなくてはいけないのですが、では緩めていいポイントはどこかと考えると。
一つは効く薬ができた時ではないでしょうか。かかっても重症化は防げて、入院期間も縮められて、病床に余裕ができる。現在、他の病気用の薬に効くやつがあるのではないかという治験が進んでおり、日本では特にインフルエンザ薬アビガンが有望視されています。用法が変わるので、どの薬も治験を追加しているのですが、普通なら年単位でかかるところを突貫治験中。アビガンは、外国に無償で提供するから治験データくださいと配ってますね。これも治験を早く終わらせるため。
6月には承認に持ち込めるかもという話で、行動自粛を少し緩めるとしたら、そこまでの自粛の効果も出ているだろうし、ここら辺ではないかと思います。かかっても治せる。特に、子供はもともとかかりづらいので、学校再開があるのでは? カリキュラムいじって土曜と夏休みをつぶせば、追いつける?
ただし緩められたとしても、全回復ではないと思われます。一度緊急事態宣言が出ていた北海道は、宣言解除したあと緩み過ぎて、感染流行第二波が来ました。むしろ今回の方がひどい。ということで、じわじわと慎重に緩めて。
第二のポイントはワクチンがいつできるかではないでしょうか。医療崩壊させずに集団免疫を獲得できます。最短の見通しを出しているところは、9月。そこから増産してみんなに打つと、少なくとも年内いっぱい。
ただ、これは最善の場合です。他の予想では来年半ばから下手すると再来年。そしてもっと問題なのは。
ワクチンは作るぞと宣言してしまえば後は100%確実に出来上がるというものではない、ということです。コロナウイルスの中には以前から人から人へ感染するものが知られており、うち4種類が風邪の原因。そして重症化するものとして、SARSとMARSを引き起こす2種類があります。ところがこちらはいまだワクチンができてません。コロナウイルスと同じRNAウイルスのグループに属するエイズのHIVウイルスに対するワクチンも、何十年も研究しているのに、やはりまだできていません。実は成功するという確証はないのです。
だからこそぜひとも成功してほしいと願っています。早いところは7月治験開始のようなので、めっちゃ注目しています。
もし最悪ワクチン失敗となると、全員一度かかるまで、死者をなるべく少なくしながら耐えるということになるのですが。
ここで第三のポイントがあります。ウイルスの変異の速さです。
RNAウイルスというのは変化しやすく、代表例がインフルエンザウイルスです。毎年毎年流行して、ワクチン打っても絶滅できないのは、去年と今年で違う型のウイルスになってしまっているからです。
今回のコロナウイルスも、武漢からヨーロッパに渡った時点で変異して型が変わっているようです。どれぐらい変異すると、免疫が無効になってまたかかるのか。その速さはどれぐらいか。それ次第では毎年毎年流行が発生、暖かくなって自然終息ということもなく、そしてインフルエンザより毒性は強いという、完全上位互換の厄介な状態になります。これが最悪のルートです。
中国や韓国で治ったはずの人が再陽性というニュースがちらほらあるのですが、体に残ってたウイルスのかけらを拾っちゃっただけで再感染ではありませんようにと、見出しを見るたびにどきどきしながら開いています。今のところ再感染したという話ではない様子。
ということで、緊急事態宣言という形はどうするかともかく、行動自粛は続く。一つ目のポイントはいい方に振れそう。6月辺りで若干緩められて、来年どうなるかは第二、第三のポイント次第。というあたりが、僕の理解なのです。
これだけ続くとなると、じゃあ社会的にはどう対応したらいいのかとなるのですが、その辺りはまた今度。
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