セルフ・パブリッシングが生む第三の道は果てなく険しい
お持ち帰り仕事の多さと疲労により止まっていましたけれども、引き続きまして、HON.jp News Blogの大原ケイさんの短期集中連載記事を読んで考えたこと。本日は第3回です。
アメリカの書籍出版産業2020:これまでの10年と、これからの10年について(3)~ セルフ・パブリッシングから生まれた本のアマチュアリーグ/Eブック市場はこれからの10年でどうなるのか? HON.jp News Blog 20/1/10
来たぞ本命! セルフ・パブリッシング!
何で海の向こうの出版の様子が気になっているのかといえば、この部分ですよ。作家の生き方に直結する変化、セルプ・パブリッシングの隆盛。
ただ、ちょっと気になる文がありました。
出版社から出されるEブックは、ほとんどが紙の本と同時発売で(ロマンスやSFなど、ジャンルによってはEブックだけのインプリントを持つ出版社もある)、Eブックの値段は10ドルを切ることはあまりない。一方で、セルフ・パブリッシングで出されるEブックは、PODで紙の本を作ることもできるが、たいていは1冊数ドルの値段がつけられている。
この間も書きましたが、お値段の部分。やっぱり日本の相場は安い。
というより、アマチュアリーグとして考えた場合、日本では無料で読める投稿サイトが、もう定着してしまっている。
個人で出した場合の信頼度のなさをお値打ち感でカバーするのは有効な手だと思うのですが、もともと相場が安いので、そこでのマネタイズが難しくなっていて、そんなこんなのうちに「ただで読める」が当たり前になってしまっている。打つ手なし。
アマチュアリーグとしてだけなら、それでもいいのですが、それだと文中にもある「プロとして通用する著者がアマチュアリーグに留まって、自分の著作を管理したいケースもある。」が、難しくなってしまいます。儲けが減ってもという決断と、儲けをすべて捨ててもという判断の間には、高い壁がある。そうそう越えられない。このパターンもぜひとも何とかなってほしい。
作家の側からすると、書きたいものとマーケティング的なものがバッティングしてしまったときに、魂を捨てずに書き続ける避難路ですし、出版全体からしても、多様性を維持するために必要な道だと思われ。
さあ、ここを日本ではどうしていけばいいのか。難しい問題ですねえ。
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