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2019/01/31

出版におけるAI活用

カナダの小説投稿サイト「Wattpad」が出版部門を設立

 オリジナル小説やファンフィクションの投稿サイトとして若者に人気のあるワットパッド(Wattpad)が、「ワットパッド・ブックス」という出版部門をスタートさせると発表し、米国内の複数メディアがこれを伝えている。

 同社の設立者であるアレン・ラウCEOは、ワットパッドのどの投稿を出版するかについて、これまで編集者などが判断してきた著作のポテンシャルをStory DNA Machine Learningという技術を使い「商業的成功度」を計測して補って判断するという。

 「7000万人いるユーザーが何を読んでいて、どのストーリーに共感を持っているかがスタート地点となる」と出版部門を率いるアシュリー・ガードナーはいう。最初のラインアップは主に10代後半から30代半ばの著者の作品。既存の出版業界にいる編集者はみな大都市で働き、似たような経歴を持つ「モノカルチャー」的な基準ですべての読者が読むべき本を選んでいると、ガードナーは主張している。

 ワットパッドはこれまでにも他の出版社などと協力して、投稿されたストーリーを本や映画として成功させている。例えば、イギリスのアイドルバンド、One Directionのハリー・スタイルズをモデルにした人物が登場するエロティカ小説『After』を投稿し、今では2500ページを超える人気シリーズとして10億回以上のアクセスがあったアナ・トッドは、サイモン&シュスターと複数冊の契約をし、パラマウント・ピクチャーズがすでに映画化権を獲得した。

 他にも、8年前にイギリスのウェールズに住む15歳だったベス・リークルズが投稿した『The Kissing Booth』は口コミでアクセスが増え、動画ストリーミングサービスのネットフリックスが手がけるロマンティック・コメディー映画となった作品などがある。

HON.jp News Blog 大原ケイ 19/1/25

記事の中の「モノカルチャー的な基準」というところには、ちょっと感じるところがありますね。ジャンルによって違うけれど、確かにそういう部分はあると思う。思想とか好みの部分で、需要にきちんとマッチしてないのではないか。

しかし一番の注目は、その解決方法です。マシンラーニングとあるので、多分AIだと思うのですが、人がそこを意識して解決するのではなくて、テクノロジーが入ってくるのはおもしろい。

そして、これが出版におけるAIの使用法の、本命かもしれないとも思うのです。

AIが小説を書けるようになるのではないか、人間の小説家はいらなくなるのではないか、という話題がありますが、僕はそれに懐疑的です。技術の問題ではなくて、動機の部分で。

技術に関しては、僕は科学の進歩を信じる派なので、人が思いついたことは時間さえあればいつか実現するのだろうと思っています。しかもこれはそこまで大げさな問題ではなくて、すでに型の決まった短文のニュース記事なら実用化されている。小説もいつか遜色なく書けるようになるのでしょう。

ただ、そうなった時、そこにそんなに需要があるのだろうか。

ぶっちゃけると、AIに小説を書かせたところで、あんまり儲からないのではないか。

AIに小説書かせようなんて人は、研究者じゃなければ、金儲けが目的でしょう。そんなに物語に思い入れのあるタイプの人だとは思えません。当然楽して大きく儲けたいはずです。

その時に、出版物は、労力のわりにあまり儲かる商品じゃない。創作の部分を省力化しても、売るためには他の要素も重要です。特にプロモーションの部分。いいもの書けば自動的に売れるなんてとんでもない。特にこれからはリアル書店の衰退により、ますますプロモーションが重要になっていくでしょう。

好きでもないものに、そんなに手間をかけるでしょうか。

またAIが学習して一番売れる形のお話を書けたとしても、ずっと同じものばかりだと、人はどんどん飽きていってしまいます。流行りを追って量産されてブームが去るなんてことは、人力でやっている現在でも起きていることです。つまり、常にAIに学習させ直す必要があることになります。これも手間です。

そしてそれだけやっても、物語自体はそこまで売れていません。単価がそんなに高くない。

AIが絵を描けるようになって、ガチャのイラスト描く方が、儲かると思う。

そうするとAI使ってぼろ儲け勢は来ないので、物語に関しては、中身を作るよりもその周辺の補助的な役割に、AIの活躍する場面がありそうな気がしているのです。

その中で、何が売れるかという判断をする投資の局面は、実はAIが有効なのではないか。

文脈をAIに理解させるより、PVの動きや読者の行動傾向から先を予測させる方が、技術的にも容易なのではと思うし。

ということで、こちらの動きには注目です。

ちなみに作家の立場でAIに望むのは、執筆のサポートですね。校正に関してはすでにけっこうできるみたいなので、さらに表現のサジェストもしてくれると、ここかぶっちゃってるから書き換えないとなーという時にありがたい。そのうちできそうな気がする。

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