公正的戦闘規範
公正的戦闘規範 (藤井太洋・著)を読みました!
2024年上海の日経ゲーム会社に勤める趙公正(チャオ・ゴンツェン)は元軍人。中国のウイグル自治区からやってきた。子供の頃、国から支給されたスマホに入っていたゲームアプリが、今開発しているゲームに似ていると思ったのだが、他に同じようにスマホを支給されていた同僚に聞いても、誰も覚えていない。
やがて春節の休みで故郷に帰る列車の中、そのアプリに秘められた秘密を知ることになり……。
表題作を含めた全五編を収録。
一番印象に残ったのは、最初に載っている『コラボレーション』です。『Gene Mapper』と同じ世界観の作品。インターネットが使えなくなり、トゥルーネットという新しいネットに代わっているのですが、実はインターネットの方でネットを遮断する、原因なった検索エンジンの修復機構がまだ動いており、それが進化を遂げているというもの。
いま話題のAIの進化によるシンギュラリティにつながるようなお話です。
ドキッとしたのはオチの部分。ある意味投げっぱなしになっており、この結末が良い方へ行くのか悪い方へ行くのかわからない。まさに未来が見えない今の状態をよく表していて、期待と恐怖がないまぜになった、なんともいえない読後感だったのでした。
同じようなテーマが『第二内戦』でも書かれていて、技術が人の手を離れる恐怖と、それにより大きく発展する可能性という、はらはらするようなわくわくするような、そんな読後感になっています。
こういう読後感は他のジャンルの作品では感じることはできず、SFならではの醍醐味です。面白かった!
さて、作者の藤井太洋先生をお招きしてのトークイベント『藤井太洋の頭の中~プロ作家が執筆時に考えていること~』の開催が、いよいよ今週末に迫ってきましたよ!
藤井先生の作品は、ちょっと先のありうる世界を書いていることが多いのですが、この辺りの情報収集についてもお聞きしたいところですね。11/10(土)14:00より、グラスシティ渋谷10F、HDEオープンラウンジで開催です。チケットお申込みはこちらから。
そして次はとうとう、『ハロー・ワールド』!
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