Gene Mapper -full build-
Gene Mapper -full build- (藤井太洋・著)を読みました!
遺伝子を設計して作る「蒸留作物」が普通となった未来。遺伝子デザイナーの林田は蒸留作物のトップメーカーL&Bから依頼を受け、完全有機栽培のプロジェクト〈マザー・メコン〉のイネの遺伝子設計を手掛けた。
しかし、その稲が、遺伝子崩壊を起こしているのではないかという知らせを受ける。遺伝子崩壊を起こしていたらプロジェクト失敗の大問題なのだが、さらにはその遺伝子が、ばかみたいに大きなサイズになっている、全く未知の変異が確認されて……。
藤井太洋先生は、KDPが日本に来た時にこの本の原型となる作品を発表。あっという間にベストセラーになってプロデビュー、日本SF作家クラブ会長にもなるという、セルパブ立志伝中の人なのです。
こちらの本はそのセルパブ版を改稿したもの。バイオテクノロジーを主題に、拡張現実が世界観にいろどりを添え、「今」を感じさせる作りです。
SF的に、この「現在話題になっている題材を取り込んで、来たるべき未来を感じさせる」というのは、とても大きい要素です。ここの描写がとてもしっかりしているのが、まず魅力です。
また藤井先生は、僕の参加している日本独立作家同盟の理事でもあって、セミナーにも登壇され、その時に、プロットの作り方をお話しされていて。
それを思い出しながら読むと、構成の巧みさにもうならされます。さりげなく、伏線張ってある。だんだん物語が加速していって、目が離せなくなります。
この作品はある意味で、出版の歴史を変えた作品の一つなのですが、なるほど、それだけの力があるなあと思ったのでした。
あと、来たるべき未来という点で個人的に、拡張現実の犬のエージェントがかわいくてよかったです。あれならペット禁止物件でも犬飼える(憧れ)
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