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2017/11/29

セルパブの二方向

『小説を出したい会議』の告知で、セルパブの二方向ということを書きました。本日はその話題。

二方向の一つは、アマチュアの側から出版に進む方向です。

ここで言葉の定義の問題が出てくるのですが。

セルパブというと、狭い意味では、ePubなどの形式で、パッケージ化された電子書籍を自分で作ること、になるのですが。

publishigを公にすることと捉えて、投稿サイトもセルフパブリッシングのうちに含めれば、すでに非常に多くの人が取り組んでいることになります。その中で評判を勝ち得たものが、紙の商業出版へとたどり着くという方向性です。これは最近、結構多い。

逆に従来のプロの側にいた人が取り組むセルパブもあるよというのが、会議を前にした僕の視点でした。僕自身がそちら側なので、本日はその点をもう少し詳しく書いてみようと思います。

こちらの方向も、どこまでをセルパブに含めるかという定義の問題があります。特に何人かでやる場合の、小規模な出版。セルフじゃないよねと、月刊群雛の時に編集長の鷹野さんが笑ってました。

作家の場合は単純に、出版社を通さないで出版することでいいけど、編集者が絡んできたら、それは単に小さな出版社を作ったということなのではないかとも言えるし、ややこしい。

ただ、定義は置いておいても、この流れは不可避なのではないかと思っています。この形でないと、出版できない企画が生まれてくると思うからです。

それは紙の本の流通の衰退が止められないため。

そもそも本屋の経営は、漫画を含む雑誌の売り上げに大きく依存していました。

ですが、スマホの普及により時間つぶし需要をそちらに持ってかれたので、紙の雑誌の売り上げはどんどん下がっています。そして街の本屋さんが潰れている。

すでに書店のない地域も珍しくないのですが、そういう所で頼みのコンビニも、最近では返本率が高いので取り扱いに熱心じゃなくなっている様子です。運送会社も悲鳴を上げてますしね。

こうして紙の流通が弱ってくると、電子書籍の存在が大きくなってくる。すでに漫画ではかなりの部分を占めるようになってきました。でもそうなると問題になってくるのは、金融の側面ではないかと思うのです。

従来の紙本の流通システムには、自転車操業しやすい仕組みがありました。再販制度により、委託販売の形になっているので、本屋さんは売れなかった本を返本できます。出版社は最初に取次に本を渡すときに前金をもらっていて、返本のときに清算。取次がお金を貸している形。

そして、返本して清算するときに、次の本を出版すると、前金から返本分のお金が出せる。当たりの本が来るまで、これでしのぐ。

電子書籍では、これがなくなります。売れた分だけお金が入る形です。出版社にとっては、条件がシビアになる。

ある程度の頻度で当たりが望めるジャンルはいいけど、そうじゃない企画はどんどん通しづらくなるのではないか。「今はなかなか通らない」は、もう普通に言われる話ですし、それがますます加速しそう。

ということで、出版するという行為を一度ダウンサイジングして、採算ラインを下げた状態を作らないと、豊かで多様な生態系を維持できず、結果読者を取り逃がすことにつながるんじゃないのかなと思っているのです。

少なくとも、「出したい本があり、それが優先」というタイプの人は、セルパブの手法を取り入れていかないといけなくなるんじゃないかな。

そういう考え方があって、僕もセルパブに取り組んでいるのですが。

ただ、「セルパブの手法」も、出すことはできるけどそこから先がさあ、という状態なので、そこはがんばって切り開いていかないとなあと思います。

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