天の光はすべて星
天の光はすべて星(フレドリック・ブラウン・著)を読みました!
このあいだ『ぼくは勉強ができない』で触れられていて、そういえば読んだことないなと思って。おもしろかったです。
月計画の途中で原子力ロケットが発明されて、一気に火星、金星まで、有人飛行したけれど、火星基地なんて何の役に立つのと世論が冷め、すっかりその先の有人計画が滞ってしまっているという設定。
1953年の作品なので、アポロ計画どころか、スプートニク1号も上がってないんですけど、大国の対立による宇宙開発競争の激化と、峠を越した時のその停滞を見事に予言しています。原子力ロケット実用化前の最初の月到着の予定が1969年と、アポロ計画も言い当ててるから、もっと後の作品かと思った。
お話も、唐突に始まったラブロマンスには戸惑ったけど、二人の仲が深まっていっての最後にはぐっと来たし。
どんでん返しにはびっくりしたし。
あとこれは名シーン。元宇宙船乗りの伯父さんにあこがれる甥っ子との会話。三文スペースオペラのテレビ番組について語る幼い子供に。
「そう、そう、シリウス。伯父さん、その星には、ほんとにあんな緑色の宇宙人がいるの?」
わたしは思わず頬をくずした。「教えてやろうか、坊や?――どこへ行ったらそれが本当かどうかわかるか」
わたしは空にひときわ燦然と輝く星――あらゆる星の中で最も明るい光を放つシリウスを指さしてみせた。
夢を与えるものっていいですよねえ。
ということで、古さはあるんだけど、なかなか心に残る面白いお話でした。
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