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2017/08/30

書店ゼロの自治体2割強

書店ゼロの自治体が2割強ある、という朝日新聞の記事が話題になっていました。

雑誌の売り上げ減、ネット書店の影響、若者の活字離れ、文化拠点だから残すべし……。

正直言うと、目新しい論ではなく、数字を出したのが目を引いたなぐらいの感想。

僕は実際には、紙の本の方が好きなんですよ。自分自身は、買い続けると思う。

でも、環境の変化に適応して生き残ってきたのが生物の歴史なので、好き嫌いで問題から目を背けるのもどうかと思うんですよね。だからこの記事にぜんぜん賛同できない。

通勤通学の時間潰し需要がスマホに取られ、情報源もネットへ。そしたら紙の雑誌が売れなくなって当たり前。

ネット書店の方が品揃えがいいんだから、流通改革して注文したら次の日地元書店で受け取れるようにするぐらいしか勝ち目なかった。できなかったから負けた。これも当たり前。

活字離れ論に至っては、よく言われているけれど、真偽不明。むしろテレビ見る時間減ってネットの接触時間が増えてるから、文字情報に触れる時間は増えてる可能性もある。

文化論もただ進化を否定した懐古趣味。昔々みんなが楽しんでいたであろう日本の伝統文化だって、細々と保存されているだけになったものがいくつもあるけど、そこには今さら戻らない。次の文化拠点がネット上に移るだけだと思う。

もう一度書くけど、僕自身は紙の本が好きだし、さらに言えばかなりのめんどくさがりで、生活習慣とか環境を変えることに対してものすごく腰が重いのです。

でもそれでも、進化は否定しないし、受け入れるべきだと考えます。口先でそれっぽいこと言ってごまかすのよくない。ちゃんと考えて対応しないと、絶滅してしまう。

というわけで、この状況にいかに対応すべきか、日々考えているのです。いい機会なので、まとめてみましょう。

そもそも環境が変化したのだから、問題を切り分けるのが重要です。作家、出版社、流通、読者の各過程。そしてそれが自分にどう降りかかってくるのか。

まず一番影響が大きいのが流通。特に本屋さんはとにかく厳しい。

前述のとおり、紙の本の需要自体が減っているので、減少は仕方ない。

そうなっている今、何に影響出ているのかというと、プロモーションの部分だと思います。

リアル書店のプロモーション機能は大きいと思うんですよね。品揃えのいい本屋さんに行ったとき発生する、買うつもりではなかったのになんとなく手にとってしまい、どさっと買い込んでしまうあの力。実物が目の前にあるのは強い。なんかぱっと目に飛び込んでくる。

ネット書店にはそれがない。買うものは決まっていて、検索かけてそこにまっすぐ行く。

ちなみにその観点から言うと、リアル書店でも問題が起きてると思うのです。お題にした記事は書店の数で語っていますが。

とても親しい、地方にお住まいの人がいるんですよ。向こうに行って驚いたのが、生活圏に本屋がないこと。その自治体には国道沿いの大型店舗が一店だけ。駅前とかではなくちょっと外れの方にあって、車でも行くのにけっこうかかる。となれば行く頻度は当然下がる。

その人とは同郷で、まだ知り合ってなかった高校生の時に、きっと柏駅前の本屋ですれ違ってたはずだとよく言ってるんですが、それは二人とも年中本屋に通っていたから。そういう、なんとなく毎日本屋に寄るという行動が起きないんですよね。

生活圏から本屋がなくなった時点で、プロモーション力は落ちているんだと思います。書店ゼロ自治体だけが問題ではないということです。

ということで、リアル書店のプロモーション力に頼っていた部分を、作り手の側で何とかしなくちゃいけない。これが課題の①。

出版社は電子化に対応すればいいわけですが。

その点で漫画はだいぶ進んでいて、雑誌も読み放題サービスなんかで回り始めているところがありますね。

ところが、こういう文化論のときに念頭にあるであろう、文学や、カタい本。こちらの方が対応できていない。前述の記事みたいなことを言ってるから、現実に対応できないんですよ(-_-)

ちなみに僕の戦場である児童書がこっちに入っちゃっているので、本日の記事は少々見方が辛らつになっております。ひとごとじやないんだよ。絵本読み放題とかいくつかあるけど、もっと積極的でいいのに。

あと、ここにもう一個問題隠れているなと思っているのは、取次ぎの問題。本の流通は擬似金融となっているそうで、それで自転車操業できてるところもあるらしいのですが、電子書籍だとできないよね? 売れた分が入るだけだから。

声が大きい人はいるけれど、この辺のジャンルにはそれほど大きな需要がない。システムを維持するのに、雑誌や漫画での儲けが突っ込まれている形なのではないかと思われる。そうするとその辺を出している大手出版社は自分のところで赤字を埋められるけれど、中小出版はやばそう。

やはり児童書出している出版社が、こっちに入っちゃうんですよね。大丈夫か。

そして前述のとおり、リアル書店のプロモーション力が失われていく分を自力で埋め合わせないといけないのですが。逆に言うと頼っていたので、出版社内にあまりそういう力が蓄えられていない。

となると、売れなくなってきた昨今は、どんどん企画を見る目が厳しくなっていく。実際しょっちゅう言われます。これを解決する手の一つは、作家自体が数字を持っていること。これが課題の②。

さて、読者についてなのですが。子供が大問題だと思います。

先ほどの人の家の話。そういう地方だと、子供は自力では本屋、図書館に行けないので、本と出会う機会が格段に減ります。学校の図書室だけが頼りです。でもそこの予算が減ってたりするんですよね。

この家の子が学校から借りてきていた本がぼろぼろどころか、もう本ではなくてバラバラの書類をフォルダにまとめた、みたいになっていて、新しく買う予算が足りないのかと、かわいそうになりました。

行動圏の狭い子供にこそ、電子書籍が必要なのだと思います。入り口がきちっとしてないと、将来の読者が育たない。そういう点からも児童書出版にはがんばってほしいのです。

と、こういうことを考えて、じゃあ作家はどう生き延びていくかと考えているのですが。

課題①が、リアル書店が担っていたプロモーション力の低下を、作り手側が補う必要があること。課題②が、売れなくなった分、企画を見る目が厳しくなっており、作家自身が数字を持つ必要があること。

つながってますね。自分で売れってことですね。

だから、セルフパブリッシングもやらなきゃ、となっているのですが。

雑誌もやっているけれど、ほんと、プロモーションは大変です。潜在的に自分の本のようなものがほしい人のところに、どうやって情報を届けて存在を知らせ、手に取ってもらえばいいのか。試行錯誤中です。

仕事終わらせて、そっちの時間を作らなきゃ。

そう言えば、日本独立作家同盟が、そちら方面の取り組みを強化するようです。期待しています。

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