ハリー・ポッターと謎のプリンス
ハリー・ポッターと謎のプリンス (J・K・ローリング・著)を読みました!
魔法省での激闘の結果、とうとう世間にもヴォルデモート卿復活の事態が知れ、「目立ちたがりで嘘つき」から「選ばれし者」へとがらりと評価の変わったハリー。学校でひそひそと噂されるのは同じだけれど、その視線に込められる熱は大違いとなった。
逆に一転、立場ががらりと変わったのはドラコ・マルフォイ。父がヴォルデモートの配下と知れ投獄され、ますますハリーに憎しみを募らせる。ドラコは何かたくらんでいると怪しむハリーだったが、なかなか尻尾をつかむことはできず……。
これが例の問題となったお相手交代の巻。ハリーとハーマイオニーがくっつくのかと思いきや、ジニー。
ローリング氏本人が「やめといた方がよかったかも」と後悔しているとのことで、確かにそうだなーと感じました。
相変わらず引っ張る力はものすごいので、ぐいぐい読めますし、面白いのです。ただ読後に、釈然としない、もやもやしたものが残ります。
「やめといた方がよかった」と言うより「みんながジニーがヒロインでも納得できるレベルに、下ごしらえの段階からもっと書き込むべきだった」というのが、僕の感想。
ジニーがお相手となること自体は、そんなに問題はなく。設定的にはむしろあり。というか、僕的には好きな展開です。ハリーのことをあこがれすぎてて、本人を目の前にしたらお話しすることもできない小さな女の子が、一緒に学校生活を送りながらだんだんなかよくなっていったという設定だから。
でも、「だんだんなかよく」がすごくぞんざいに扱われてきたのです。最初真っ赤になってもじもじするだけの子が、さすがフレッドとジョージの妹だけあってけっこうおてんばで、とか、書いたら面白い部分がもっとたくさんあったと思うんですよね。
この巻のグリフィンドール大逆転だって、ジニー的にはものすごいドラマだったはず。
ハリーに自分なんかは釣り合わないと、他の男の子と付き合うようになっていたジニーが(ちなみにここももっと書けた。ハリーが前巻のころから、妹分的な意味合いでもっと気にしているべきだった)、やっぱり心の奥底ではあきらめきれてなくて、キャプテン欠場という失態をやらかしたハリーのために大奮闘して優勝を勝ち取り、祝勝会で意を決して自分から告白しに行く流れです。
登場人物の中で一番ドラマチックな恋をしてるの、ジニーですよ。
でもやっぱりどこか、扱いがぞんざいです。そこ、はっきり分かるように書いてあげればいいのに。
さらにとどめが「ヴォルデモートが僕の大切な人を利用するはずだから、君とはお別れ」と言うのに、ロンとハーマイオニーはあっさり連れていくんですよ。同じ理由で二人もまずいはずなのに。要はメインキャラクターとして扱われていないのです。
キャラクターのタイプ的にはけなげっ子が大好きなので、すごくもったいないと歯軋りする思いなのでした。
それに対して「ハリーの運命」的な展開には、まったく問題ないというか、むしろますます気になる展開。
「どうすればヴォルデモートを倒せるか」という勝利条件も設定され、さあいざ、最終巻へ。
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