じぶん書店
講談社から新たなサービス『じぶん書店』がリリースされました。
ネット上に自分の電子書店を作れるサービス。現在は講談社の本だけですが、他社の参加も働きかけるとのこと。なかなか面白そうな取り組みです。
似たことはアマゾンのアフィリエイトでもできるのですが、特徴は出版社直営なために紹介料率が高いこと。10%あります。アマゾンのkindle本に対する紹介料は、8%。紹介する方にとって見たら、高い方がいいですよね。紹介率競争が起きるだけでも面白いのですが。
今、世の中で起きていることは、後世から見たら産業革命のように語られる、情報流通革命なのだと思います。社会全部のあり方を変えていく。だから変化は必然で、それに対応しないといけない。
出版の周りで言えば、ネット通販と電子書籍の台頭が表の顔。
そして裏の顔は、それによって書店網が弱っていくこと。
これがかなり影響が大きいなと思うのです。なぜかと言えば、書店は売り場であると同時に、プロモーションの場でもあるからです。
本のプロモーションは書店の存在にかなり頼っています。とりあえず、書店に並べてもらえれば、一定の効果があった。
買う気満々のお客さんが集まってきますし、そういうお客さんは、書店のどの棚に行けば、自分好みの本と出会いやすいかも把握しています。
ぱっと見ての一覧性はネットよりずっとよく、そして実は公平なのです。ヒット作も新人の新刊も、アピールできるのは表紙と背表紙。同じ面積が与えられます。
こんな素敵なプロモーションの場が、弱っているのです。なので、本の売れ方はだいぶ変わってきました。ネットの比重が大きくなるにつれ、そこでお客さんを集めなければいけません。
その時に、上に書いたような機能を代替できるか。
ネット書店では一覧性が弱いので、ランキングぐらいしか頼れるものがなく、初動でランキングに入れなければそのまま埋もれ、売れる本とそうでない本の格差が広がっていくことが問題として語られてきました。
レコメンド機能もありますが、並んでいるだけで押しが弱く、あまり新しい本に出会える感じではありません。
選書する人を前面に押し出したサービスならば、そこに対する解決策になる可能性があります。その人に対する信頼感が、「あの人がそんなに言うなら面白いのかな」という一押しになるからです。
SNSで知り合いの人が言及した本を読んでみたりと、実際それは今でも起きています。その一押しはけっこう強力です。
ですから、そこに高い紹介料という対価を与え、選書の活動を盛んにする試みは、ぜひうまく行ってほしいなあと思っているのです。
自分好みの書店に出会えるとか、自分好みの本に会えるとか、そういう導線の部分が肝でしょうか。さて、どうなる。
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