宇宙軍士官学校-前哨- 1
宇宙軍士官学校前哨 1 (鷹見一幸・著)を読みました!
物語の舞台はファーストコンタクト後の地球。異星人が遅れた地球人を、優しく手取り足取り導いてくれています。
しかし、それにはいつか対価を支払わなければならないのが当然の理。傭兵部隊として人材で貢献することを求められました。治安軍に勤める主人公は、そのための新設の士官学校に転属することになって……というお話。
ファーストコンタクト物は僕も書いたわけですけれども、一つ処理の難しい問題があります。宇宙の深遠を越えて地球に来ることができるぐらい文明の進んだ宇宙人が、じゃあ自分たちよりずっと遅れた地球人を、どう扱うかという問題です。
地球上の歴史では、そのまま侵略して植民地、地元民は奴隷として扱ったり、住むところをどんどん奪って追い込んだりしました。そっちの方が自然のような気がするのですが、SFでそこまで苛烈な扱いをしたものはあまり見かけません。
そもそもその格差にあまり焦点が当たっていない気がします。
例えば僕はスタートレックが好きですけれど、ヴァルカン人の作中での扱いは少し不当だと思うんですよね。ワープ実験を成功させた地球人を迎え入れ、技術援助をしてくれたわけじゃないですか。最初に見つけたのがクリンゴンやロミュランだったら、どうなっていたことか。
なのになぜか地球人は上から目線で、政治的にも連邦をリードしていることになっています。もっと感謝と尊敬、そしてそこから軋轢が……となってもいいと思うのですが。アメリカ人は自分の国が侵略されたことがないから、イメージできないんだろうか?
この作品にはそこにちゃんと求められる対価がある。気持ち悪いぐらい優しいのは、それだけの理由があるのだと書かれています。そしてそんな対価を求める向こうの事情が謎として引っ張られ聞いて、気になる作りなのです。
ということで次を読もう。
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