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2016/08/10

月刊群雛8月号 群雛の残したもの

月刊群雛2016年8月号が発売されています。

そして月刊群雛は今号をもって休刊となりました。

ということで、いつもでしたらその号の感想を書くんですけど、今回は月刊群雛というプロジェクト全体についての感想をまとめてみようと思います。

休刊の経緯は、群雛ポータルにも、群雛の巻末にも載っています。このあいだ、日本独立作家同盟の総会にも行って、売り上げの話とかも聞いているので、本当に大変だったんだろうなあと思います。

作家はね、いいんですよ、かすみ食ってても。そもそも、書かないと死んじゃうのが作家という生き物で、売れようが売れまいが、勝手に書き続けるんだから。群雛がなかったら、売れない本を自分で作るんだから、宣伝になる分ぜんぜんましだったわけですよ。

問題は編集スタッフの皆さんです。仕事で校正をしているプロの方々がそろっていましたが、群雛に関わっても、自分の仕事のプラスにはならない。印税もほとんど入らないし、本当にボランティアです。

これには群雛の性格も影響しています。日本独立作家同盟の出す雑誌ということで、独立作家を支援することが目的でした。だから作家には手厚い。その分支援する側の負担は大きく、そこで疲弊してしまったのかなと思います。

雛がピーチクパーチク口開けて親鳥から餌をもらっていたら、働きすぎた親鳥が倒れた感じ。

群雛が売れていれば、まだ何か手があったかもしれませんが、売るのも大変でした。前述の通り、作家支援が目的なので、作家にはハードルが低く、読者には高い。

文芸誌なんてプロの本でも売れてないのに、ジャンル不問、巧拙問わずの早い者勝ち。読者は何を期待して買えばいいのか。

となると、さすがに巧拙問わずというわけにはいかなくなり、ブラッシュアップに力を入れることになりましたが、そこが地獄の一丁目です。

商業出版の小説が、どれだけの労力をかけて、どれだけ書き直しをしているか。それでも出ない時は出ないわけで。……なかなか次出ないですよねえ。没原稿、何枚ぐらいたまってるんだろ(遠い目)。ちょっとやったぐらいでは、そこに張り合うのは難しいのです。

ということで、まあそうなるよね、という結論になるわけですが。

しかしですね、僕はそこがすごく腹立たしいのです。そんな当たり前だなんて話で終わっていいのか。いやよくない。

この挑戦は、絶対に必要なことだからです。

最近の出版の苦戦は、ある意味それこそ当たり前のことです。楽しむ物が世の中にどんどん増えて、消費者の時間の奪い合いになっているからです。今ならポケモンGOのために、余暇をすっかり奪われている人が大勢います。

そうなると、売ることに対して出版社はどんどんシビアにならざるを得ない。内容にもどんどん踏み込んできます。売れる確証やデータの裏づけを求めるようになる。これ、怖いのは無意識に侵食されることで、気がついたらこぢんまりとまとまっちゃうんですよね。

でも、それは創作の本質とは逆行しています。「まだ見たことない物」が一番面白いからです。それは類書もなく、販売実績もありません。作家が閃きに沿って、好き勝手に書けることは、とても大切なことなのです。

「まだ見たことない」が奇抜という意味ではないので、話がややこしくなるのですが、そこは割愛。

さて、それに対する一つの解が、セルフパブリッシングです。これならほんとに好き勝手書ける。そこから読者が面白いものを選ぶ。質は担保されないので屍累々(しかばねるいるい)ですが、それを肥やしに大樹が育つ。実際外国では、ベストセラーがどんどん出ているようです。

しかし、日本には2年遅れでKDPが入ってきましたが、そこからきちんと2年遅れで事態が進んでいるかというと、そういう感じではありません。日本の出版事情と、日本人の気質が影響していると思われます。

特に、他人を押しのけてでも前に出るということが苦手な日本人は、宣伝の部分でうまく回っていない気がします。

そこで、「群れて目立とう」とした群雛の挑戦は、とても重要だったのだ、と思うのです。

みんなで集まってなんかする、という方法論は、日本人向きなのではないか。

最近セルパブ界隈では、その「集まってなんかする」系の企画が増えています。例えば、「セルフパブリッシング夏の100冊」とか、「このセルフパブリッシングがすごい!」とか。無料で読めるガイドブックが出ました。

各自ばらばらに作品を書いて、各自で細々と告知するのではなく、群れて目立つ。そうやってセルフパブリッシング自体を盛り上げる。

それはまさに月刊群雛の狙いとしたところです。

そういう活動はあって当然なんだという意識を作ることに、毎月常に集まってなんかやってた群雛は、一役買ったのではないでしょうか。

いろんな人の心の中に、次のステップへ進む芽を撒いていった。群雛はそういう雑誌だったのだと思います。

そしてそれは、僕に対しても例外ではなく。

群雛は終わってしまうけれど、その精神は終わらせない。

そう考えて、次のステップを企んでいるところです。そちらもそのうちに。

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