月刊群雛6月号 転がすこと
月刊群雛2016年6月号が発売されています。
『太陽のホットライン』は第4回です。レイスターズのレベルの高さにすっかりやられてしまった太陽は、サッカー自体もやりたくなくなる重症に。そんな時に手を差し伸べてくれるのは、という回です。
どん底へ落ちて、反転して、さあ次回最終回!
さて、今月の感想は。
月刊群雛6月号感想。会話の形で繋ぎますので、よろしければどうぞー。
今回は表紙の感想から。6月と言えばジューン・ブライド。白地基調でとても華やかな感じ。絵の印象も字の印象も強く残り、とてもいい表紙だと思いました。
巻頭ゲストコラムは「ウェブコミュニティは「共創」と「競争」で物語を紡ぐ」。"ウェブ小説はウェブ的でプラットフォームに規定される"に同意です。条件が変われば正解も変わる。ただ、条件に支配されたくないので、うまい具合に対応したいところ。
"作家にプロデューサー的スキルが求められる"にも同意。そして畑違いなので、とてもつらい(^^;;) でも周りにいる人を見てると、そういう能力や考え方を身につけている人がうまく回ってるよなあとも思うので、何とかしないと。
さて作品群。今回は転がすのがうまい人が多いという感想です。まず「AIのメモリー」。人工知能SF。テクニカルな感じから入って興味を引き、普遍的なテーマに落とし込む。その振れ幅が大きくて、とても印象に残りました。お見事。
「再考の人生」。読後いろいろ考えさせられるような、文章外のところまでしっかり構築されていて、とてもよかったです。
「フィエロ王国」。楽しみにしていた後編。とにかく語り口が軽妙で面白いのです。絵も想像できて楽しい。
うまく転がすのは重要だと常々思っているので、負けられないなあと思った6月号感想でした。
「転がす」ことは物語にはとても重要な要素だと思うのですが、これを言葉にして伝えるのが難しい。「摩擦係数を下げる」「道中の引っ掛かりをなくす」「ちょっとした推進力がある」という感じ。
作品には「興味を引いて、手に取らせる」、「面白さを提供し続け、そのまま最後まで読ませる」という二つのステージが必要です。両方そろって初めて満足感を与えられて、広まっていくんだと思うのです。
興味を引くという部分は、まつもとさんのゲストコラムにもある、プロデューサー思考。大変ですけれど、わりと形として見えやすいので、これについての言及はたくさんあります。
それに対して後者が「転がす」ということなのですが、要は細部の話なので、あまり表に出てきません。なので作家個人の職人的技巧にとどまっている傾向。
「なぜか」読みやすい、「気がついたら」読み終わってた。それは作家として腕のある証なので、そこにはこだわっていきたいです。
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