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2015/12/22

不朽の名作なんてない

ファンタジーで名作とされている本を読んで、全体の流れをつかもうと、いろいろ読み始めたのですが。

古いイギリスの小説で、アイルランド人差別がてんこ盛りになっててびっくりしたのです。

10ページに一度は登場するアイルランド人を馬鹿にするジョークがまったく笑えず、むしろ読んでてつらくなって、それで読めなくなりました。結局オチだけ確認。

昔々、クウェイトに住んでいたころ、せっかくの海外暮らしなんだから英会話ぐらいできるようにしようと、イギリス人の先生を家庭教師に招いたのですが。

その時使っていたテキストの中にも、アイルランド人を馬鹿にした小話が載っていて、やっぱり笑えなかったのを思い出しました。

何でそのオチになるのか分からず、ぽかーんとしていたら、先生がちょっと恥ずかしそうな、悲しそうな顔で、イギリス人にはアイルランド人を見下しているところがあるんだと教えてくれました。

しかし、これだけ鉄板のジョークとして多用できるほどとは思ってなかったです。この本書いた人、牧師なんですよ。どれだけ当然のように世間に巣食っていたのかが分かります。

僕は小説のポリティカルコレクトネス(政治的、社会的公正さ)には懐疑的で。

作品至上主義なので、それを作品が求めているなら、何書いてもいいと思っているので、差別よくないとか奇麗事を言うつもりはないのです。作家に読者を捨てる覚悟と、批判と戦う覚悟があるのなら、作品内では差別だってなんだってOK。

でもこれ、そういう覚悟で書いてるんじゃないんですよね。ほんとはちょっとブラックなジョークとして笑うところ。実は他にも世相を表していそうなジョークがたくさん散りばめられているのですが、そこも意味が分からず、ただ冗長に見えました。作者と僕が生きてる時代も場所も違うので、共通理解の土台がないということなのです。

そう考えると、不朽の名作なんてないんだなあと思います。書いてる時代と場所からは逃れられない。言葉の裏には、それを理解するための土台が必要で、読者は気がつかないうちに、作者が伝えたかったことが伝わらなくなっていく。

逆に今生きている僕が、今伝わることを書かなくちゃいけないということなんだと思いました。がんばろう。

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