ジャンプ17号感想 冷や汗が物語っていた
ジャンプ17号の感想をお送りします。
今週は、決め台詞についての考察です。
いいなと思ったのは「僕のヒーローアカデミア」。
体育祭は進んでいます。今度はトーナメントの個人対決。このお話のヒロイン麗日お茶子(うららか・おちゃこ)は、爆豪勝己(ばくごう・かつき)と対戦。クラスで一二を争う実力者で、女子供にも容赦ない相手です。
その対戦に、自分の力だけで立ち向かうと、アドバイスも断るお茶子。「決勝で会おうぜ」と決め台詞。
そしてその絵に描かれている手の震え。
決め台詞は、漫画の歴史の中でみんながたくさん描いてきたので、当たり前のものになっています。特に、ピンチの中に余裕を見せてかっこいい、というパターンが多いのですが。
余裕を感じさせすぎてしまうと、ピンチがピンチじゃなくなってしまいます。このさじ加減が難しい。
特に少年漫画の、特殊能力のあるバトル物は、読者に自分の経験から来る判断基準がありません。実際には使えないもんね、そんな力。だからそれがすごい事なのか、今がピンチなのかは、キャラクターのリアクションが全てです。
ほんとに余裕でピンチじゃないのか、ピンチだけれどやせ我慢なのか。どちらと感じるかで見る方のテンションも変わってきます。そこではっきりやせ我慢と感じさせる、突き出した手が震えてるっていうあの絵は、いい絵だなあと思いました。
そういう点では、読み切りで載っていた「どんどはれ」もよかったです。
余裕を見せる決め台詞と一緒に、「炎花の冷や汗がそうでもないのを物語っていた」とモノローグが入っています。ピンチを盛り上げる一コマ。
読み切りなので、どうしても詰めこみ気味になってしまい、他の異常事態に対するリアクションは薄めなのですが、重要なところでこういう気配りができてるのはいいと思いました。
漫画だとさりげなく絵に情報を含ませる事ができるけれど、小説はどうすればいいんだろ。分かりやすすぎると粋じゃないしなあ。今後の研究課題です。
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