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2013/10/29

SFかくあるべし

ここ一週間ぐらい集中するため外からの情報をしぼっていたので、面白そうな話題に乗り遅れた。SFかくあるべし的な話。>SF: マツドサイエンティスト・研究日誌  ハード(硬い)SF

定義が狭いと批判があるけど、野田さんの意見に僕は好意的。作り手は思い込みがあるべきだから。自分のやってることが最高だと思い込むことがエネルギー源 だから。あっちもこっちも顔立ててる作品なんて、出来上がりが予想できるからつまんないよ。これぐらいとんがった意見で作られてた方がいい。

意見の内容に対しては賛否半々で、科学をもっと掘り下げたら面白いのにというところは賛成、人間ドラマ排除はそこを縛るとつまらなくなりそうなので否定的。ただ、何が面白いと感じるかこそが個性なので、この視点でぜひ作ってほしい。

この問題の根源には多様性の不足が潜んでいると思う。より面白い物を求めると、より高い品質と同時により好みに合ってる物が欲しくなる。大多数の人は話題だからぐらいで読むけど、好きな人ほど満足できなくなる。成熟した市場では、戦略が変わってくるのだと思う。

ラノベ批判みたいになっちゃってるのは、ラノベが売れ筋で、いいとこ取りになってるからだと思うんですよね。おいしいネタをそろえた作品の方が売れるから、ハイファンタジーとかハードSFとか、読者を絞り込む作品は不利。科学的整合性は売りにならないから重視されない。

でも作家はチャレンジするべきだと思う。特に「こっちの方が面白いじゃん!」という強い思いがあるのなら。漫画、ラノベ、アニメ、ゲームなんかから、おいしいネタを抽出する競争だけになったら、多様性が失われて物語の生態系が死ぬ。

それにそっちの方が「その人を買わなきゃいけない理由」ができる。不利と分かってあえて行くから、他の人とは違う個性が際立つ。

というわけで、ぜひそういうハードSFが書かれて欲しいなと思うし、それに対して僕の好みとしてはそういうのはたまに読む箸休め的ジャンルなので、自分は負けずにもうちょっとゆるいところを突き詰めようと思うのでした。

取り上げたブログを書いた野田篤司さんは、JAXAの人。宇宙機エンジニアで、専門知識を生かしてSF考証も手がけているそうです。

その野田さんがSFの集まりに顔を出し、最近のSFはゆるいなあと嘆いたのが問題の記事。ラノベなんかに、SFとファンタジーが混じっちゃったものが多いと。そしてそれは、「本当の科学・技術を判っていない者が、科学や技術だと『不思議や新しいことはできない』と誤解している人のSF」だと断じています。

確かに、SFを読んでいて、「ああ、この人は他のSF作品のエッセンスを借りてきてるだけで、大元は分かってないんだなあ」と感じることはあります。ただ、それが原因かは疑問です。

ツイッターでもつぶやきましたが、エッセンスを並べる事の方が、売るためには本質的です。面白いっていうのは、別の言い方をすれば「刺激を受けて脳が活性化する」ということで、刺激の元をたくさん並べることが大事。科学も魔法も刺激としては等価です。

そして科学的整合性を刺激として感じる人は少ない。だから分かってるかどうかは重要じゃない。分かっててもこだわらない方が吉かもしれないぐらい。

あと、エンタメ作品はたくさん出ていて、以前の刺激はもう慣れちゃってて刺激にならないというのもありますね。

なので、「超能力は普通にあるけれど、魔法なんかありえない世界で、魔法があった」(とある魔術の禁書目録)みたいな、非日常に非日常を重ねる入れ子構造が生まれてくる。すると両方のうんちくが刺激として使える。

この辺が、ファンタジーSFという、水と油を混ぜたらマヨネーズできた的作品群が生まれる下地なんじゃないでしょうか。

「科学的に立派なSFであること」よりも「面白いこと」が絶対に上位なので、これはこれでいいのではないかと思います。

そのあと野田さんは刀を返して、「ハードSF」についても、リアリティを言い過ぎて、むしろ現実に負けているとばっさり。

で、こういう作品のお仕事しか請けませんと、条件を並べています。

科学的にしっかりしていて、でも萎縮しているのはだめということで、条件が結構厳しい。なのに、最後に「言ってみれば、当たり前のSF」と書いてあるので、ツイッターのまとめの方には賛否両論です。

「テーマは純粋な科学・技術への挑戦」とか「科学技術を肯定的に語る」とかはいいけれど、「人間ドラマは入れない」とか「宇宙戦争は起きない」とか「人類に超技術を教えるような宇宙人は出ない」とか。それだと、ハインラインもスター・トレックも外れちゃう(^^;;)

けれど、それでいい。

「面白い」には個人差があって。Aさんが面白いと思うものがBさんにとっても面白いとは限らない。だからいろんな種類の面白さを提示しないと、作者の集団と読者の集団が、ちゃんと対応できずに取りこぼしが起きてしまう。

どんな読者にも、好みに合う作品がちゃんと提供されている。そういう状態が、一番豊かな状態だと思うのです。

だからみんな、「こんなのだめ」じゃなくて「こういうのがいい」という精神で書くべき。

僕は僕で、この条件よりずっとゆるいのですが、そこを突き詰めて書きたいです。

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