太陽系七つの秘宝/謎の宇宙船強奪
太陽系七つの秘宝/謎の宇宙船強奪 (エドモンド・ハミルトン著)を読みました!
自分が今児童向けで宇宙物を書いているので、温故知新で読んでいるんだけど、考える種がたくさん詰まってますよ。
というわけで、以下あらすじと感想。
まずはあらすじ。
「太陽系七つの秘宝」
火星古代の秘密を封じ込めた"神秘の石"が強奪された。犯人はウル・クォルン、<火星の魔術師>と呼ばれる天才科学者。七つの石を集めると、太陽系を揺るがしかねない強大な力を手に入れられるというのだが……。
「謎の宇宙船強奪団」
テスト飛行中の新造宇宙船が次々と盗まれるという事件が勃発。気がつくとパイロットだけが宇宙に放り出されているという怪事件。キャプテン・フューチャーに出動依頼が出るも、なんと愛機コメット号までが盗まれてしまい……。
SFにはその時代の研究開発の様子が反映されます。なので古い作品を読むと、ああそうか、あの時代は……と思わされることがいろいろあるのです。
このシリーズは1940年から1951年にかけて発表されました。この巻に載ってる二本は1941年。太平洋戦争開始直後。まだ探査機も飛んでいないので、惑星の情報があまりなく、そのため全部人が住んでいることになっていたりします。
そして原子物理学が、未来の科学として夢いっぱいに扱われています。このころは量子力学ができてきたり、中性子が見つかって原子の作りが解明していたり、ちょうど最先端なのです。
なので宇宙船のエンジンが、サイクロトロン(粒子加速器)です。荷電粒子を加速して噴射ということなら、はやぶさが積んでたイオンエンジンがそうで、こちらは予想的中とも言えますね。名前がそのままですけど、プロペラ機全盛のころに「サイクロトロン」がごうごうと鳴ってたら、夢いっぱいだったんだろうなあ。
この巻では「原子はそれ一つが宇宙なのだ」とか「原子核の周りを回る電子を速く回転させる時間加速機」とか、「ラジウムルーレット」とか、原子がらみのアイディアが多数。
実際の科学から一歩踏み出してわくわく感を作るのがSFだよなあと思ったのでした。自分のはどこで作ろうかな。
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