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2013/07/04

春色の汽車に乗って

ナベ先生の仕事中、曲をかけてたんですよ。ナベ先生厳選懐かしの名曲プレイリスト。

最近頼りない僕の記憶によれば、確か小室サウンド全盛の時に何かの番組だったと思うんだけど、シーンとか登場人物をわざとあいまいにするという話を聞いたのです。その方が「これは自分の事を歌ってるんじゃない?」と共感しやすいから。

今でもドラマが見えるような歌はあるのですが、ただ確かに昔の方が、はっきり場面が分かる歌、多いかもなあと。そんな話を思い出しながら聞いていました。

さて仕事から帰ってきて本日は、自分の作品を書き出す日。

漫画では1ページ目のつかみはとても大切と言われます。小説でもきっとそうだと思うのです。

普通に書き出したらだめだよなあと、ふと、そういう歌の歌詞を見てみようという気分になりました。特に歌は、印象的な心に残るフレーズが命なところがあるし、参考になるのではないかと。

いろいろ見ていて、その中でも特にうなったのがこちら。歌詞を引用。どーぞ。

赤いスイートピー

作詞:松本隆
作曲:呉田軽穂

春色の汽車に乗って海に連れて行ってよ
煙草の匂いのシャツにそっと寄りそうから

何故 知りあった日から半年過ぎても
あなたって手も握らない

I will follow you あなたに
ついてゆきたい
I will follow you ちょっぴり
気が弱いけど
素敵な人だから

心の岸辺に咲いた 赤いスイートピー

四月の雨に降られて駅のベンチで二人
他に人影もなくて不意に気まずくなる

何故 あなたが時計をチラッと見るたび
泣きそうな気分になるの?

I will follow you 翼の
生えたブーツで
I will follow you あなたと
同じ青春
走ってゆきたいの

線路の脇のつぼみは 赤いスイートピー

好きよ 今日まで
逢った誰より
I will follow you あなたの
生き方が好き
このまま帰れない 帰れない

心に春が来た日は 赤いスイートピー

松田聖子の「赤いスイートピー」です。とにかく出だしの「春色の汽車に乗って」が秀逸。「春の汽車」じゃなくて、「春色」なんですよ。

「色」がつくだけで、柔らかな日差しとか、暖かい空気とか、辺りに咲く花の色、その匂いと、ぱーっとイメージ膨らみます。二人の乗った電車の中の雰囲気まで感じるよ。

最初の一行で、舞台が出来上がってる。もうこのフレーズに感心しまくりなのですよ。こんな冴えた一行目を書きたい!

そして「赤いスイートピー」が三回出てくるんだけど、これがまた。

「心の岸辺」にはもう咲いているのに、現実の「線路の脇」ではまだつぼみ。心のうちと現実の差を見事に表すフレーズです。

彼女の方はもうずっとそばにいたいテンションだけど、彼は手もつないでくれない奥手だし、人影がないと気まずくなって電車まだかなと時計を見られちゃう。きっとこの日のデートも目立った進展はなかった。

あのころの時代もあるけど彼女の方も、そっと寄りそったりついていきたかったり、押しの強いタイプじゃないのです。はたから見てたらやきもきカップルですよ。

そんなもどかしい二人なんだけど、最後の「帰れない」の繰り返しが、彼女のあふれだす気持ちを表していて。

「心に春が来た日」になったということは、自分から踏み出したんだろうか。

「あの…あのね?」と、隣の彼を覗き込むように、ひざの上の手をぎゅっと握り締めてる彼女の姿を、線路の反対側から引いた絵で描いて手前にスイートピーというシーンが、僕の思いついたラストシーンでした。

歌詞だけじゃなくて、歌い方も、最初そっと大人しい感じで入って、だんだん盛り上がってっての「帰れない」は情感たっぷりで素敵。

動画見てたら他にもいろんな人が歌ってたけど、その中では徳永英明版が切なくてよかったです。

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